- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784764103245
作品紹介・あらすじ
バングラデシュで、旧ユーゴで、ソマリアで、チェルノブイリで…人びとはいま、なにを食べ、考えているか。熟達の記者・芥川賞作家の著者が、世界の飢餓線上を彷徨い、ともに食らい、語らい、鮮やかに紡いだ、驚愕と感動のドラマ。現代報道の壁を突破し抜いた、世紀末の食の黙示録。
感想・レビュー・書評
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「食べる」をテーマに,戦争,飢餓,感染症といった過酷な社会で生きる世界の人々を取材したルポルタージュ。訪ねたのは,エチオピア秘境の先住民族の村,ウクライナのチェルノブイリ原発跡地など。約20年前の取材であるが,現代の世界的な食料危機や食の安全の問題等について改めて考えさせられる。
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食べることにまつわる、長い旅の記録。作者の綴る言葉で情景がありありと浮かぶ。久しぶりに良い本に出会えたと思う。
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こんなに読むのに時間がかかり、
読了後に言葉にできない作品は初めてだった。
どのテーマも平和ボケした日本人にはずっしりと重い。
ページを捲るのがつらい。
多様な風景描写から読み取れる人々の機微。
一つひとつの出来事が惨く無情な事実のうえに成り立っていることを示すには十分すぎて、何とも筆舌に尽くし難い。 -
今まで「事実」という認識だったニュースを、「ものを食う」という行為と結び付ける。そこで初めて、同じ人間の話なのだと自覚を呼び起こす感覚になります。そして自らの無知を知る。
キャスターとしての櫻井くんが興味深く読んだのも納得のルポタージュ。 -
◯「ダルとバット(飯と味噌汁的な)を全ての人に」@バングラディッシュ
◯アルコールや薬の普及と暴力の増加
◯羊<イルカ<豚<野豚<牛<ジュゴン@フィリピン
◯人と動物がひっくり返った生産・消費構造@ー猫缶詰
◯「食う楽しみに宗教も政治も身分も関係ないね。だから商売ができる」@タイ
◯フォー;恋人 ⇔ ご飯;妻or夫
◯100年経っても変容せず回っている観覧車
◯底なしの腐敗@ロシア
◯いただきます文化「ウムシカム」@韓国
◯表現も中庸が良い@儒教韓国
◯50年前は昨日from記憶の力
◯人間の正邪善悪の価値体型が、主として冷戦構造の崩落により割れ散らばり、私たちはいま大テーマのありかを見失っている。 -
食を通して、90年台初頭の世界が見える。
ショッキングな話ばかり。
今の世界は、どうなんだろう。 -
様々な国の人の食生活を筆者の目線でダイレクトに描写。とてもひきこまれた。
背景にある社会情勢、文化も描かれており知らなかったことも多々あった。
興味深かったり、悲しさを覚えたり、一冊の本の中で多々な感情が入り乱れた。短いお話の集まりでこんなに新鮮だったのは衝撃。
新境地を見る気がした。