超限戦 21世紀の「新しい戦争」

制作 : 劉 琦 
  • 株式会社共同通信社
4.11
  • (4)
  • (3)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 32
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784764104983

作品紹介・あらすじ

「ルールのない戦争」が始まった。中国現役軍人による新戦争論。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 戦争の慈悲化とて、フローが変わるだけで目的や残酷な結果は変わらない。

    戦争は政治の継続である。クラウゼウィッツ

    変わらない友というものはなく、変わらない利益だけがあるのだ。

    現代の戦争と過去の戦争との最大の区別は、公の目標と隠されている目標とがいつも別である。

    兵器所有する国家の軍隊よりも、クラッカーのほうが脅威である。個人的なのか、国家なのか、非国家の組織なのかの区別がつかない。クラッカーに留まらず、ジョージソロスでさえ金融テロリストではないと、誰が言えようか。

    未来(現代)の戦争方式
    ・統合作戦…これまでの戦争
    ・精密交戦…GPS、ステルス
    ・情報戦
    ・非戦争の軍事行動…非戦争状態における軍隊の任務と行動→非軍事の戦争行動…戦争状態を人類の全ての活動領域に拡大すること。

    非軍事の戦争行動
    ・貿易戦…アメリカがイラクに対して8年禁輸したとか、関税障壁の恣意的な設定や破棄、経済制裁やスーパー301条
    ・金融戦…ジョージソロス、西ドイツのコール首相、李登輝、モルガン・スタンレー、ムーディーズ。金融戦はその動作の隠蔽性、利便性、破壊力の強さという特徴を持っている。
    ・新テロ戦…オウム真理教のサリンテロ、ハッキングするイタリアンマフィア。従来の、爆破、誘拐、暗殺、ハイジャックだけではない、最新技術を用いたテロリストの攻撃。
    ・生態戦…川、海、大気圏、地面への人工的な干渉で、降雨量、気温、海面高度、日照を操作する。地震。別の地域生態状況を作り出したりすること。
    ・その他、デマや恫喝で相手の意思をくじく心理戦や、視聴者を操り世論誘導するメディア戦、恩恵を施し相手をコントロールする経済援助戦、当世風を持ち込み異分子を同化させる文化戦、先手を取ってルールを作る国際法戦などなど。→ルールを作るのがやはり強い。

    戦争の目的は「武力をもって自分の意志を敵に強制的に受け入れさせる」だけでは満たされず、「武力と非武力、軍事と非軍事、殺傷と非殺傷の手段全てを利用し、敵を強制して自分の利益を満たす」ことになる。

    組み合わせは戦争手段をほぼ無限に増加させ、これまで人々が考えていた戦争の定義「現代的兵器と作戦方式で戦う戦争」を根本的に変えてしまった。言い換えれば、手段の増加が兵器の役割を縮小すると同時に、現代戦争の概念を拡大したのである。

    3000年前の戦争であれ、20世紀末の戦争であれ、「組み合わせ」の良い方が勝つ、という共通した形跡を残している。

    ピタゴラス0.618
    →こじつけ?

    大戦・戦策
    戦争・戦略
    戦役・戦芸
    戦闘・戦術
    各レベル内での対策では解決せず、また、違うレベルの対策がなされるのが現代戦。ハッキング(戦術?)レベルでも戦策レベルの攻撃が可能であったりする。

    超限組み合わせ戦
    ・全方向度…超限戦の設計。軍事・非軍事、戦場・非戦場等々、動員できる戦争資源を組み合わせること。
    ・リアルタイム性…同時、ではなく同一時間帯。
    ・有限の目標…目標は手段よりもできるだけ小さく。逆に言えば、目標にあわせた手段は大きくする。
    ・無限の手段…手段の選択範囲と使用方式を絶えず拡大していく傾向のこと。手段は目標から離脱してはならない。
    ・非均衡…戦力差がある場合、相手の予測できない領域と戦線を選び、相手に大きな心理的動揺をもたらす打撃を与えるなど。
    ・最少の消耗…三原則。節約より合理化。作戦様式が戦争の消耗の大小を決める。多くの手段をもって、少ない消耗を求める。
    ・多次元の協力…多種類の領域、力のこと。非軍事・非戦争の要素を直接的に戦争の領域に導入。具体的目標に向けて、異なる次元の協力。
    ・全過程のコントロール…開始、進行、収束の状況管理。全過程に対しフィードバックと修正を行う。

    われわれの祖先のように、武力による解決が最終手段でなく、政治・経済・外交、どの手段も軍事手段の代用品になる十分な力を持っている。
    流血の戦争に代えて、できるだけ流血を伴わない戦争をやろうとしているだけ。狭義の戦場空間は縮小したが、世界全体が広義の戦場に代わった。この戦場では、かつてと同じように、奪い合い、略奪し合い、殺し合う。手段はさらに巧妙になり、血なまぐささは多少減るが、残酷さは相変わらずだ。

    これが現実であり、人類の平和は幻のままである。戦争が忽然と後を絶つことはありえない。当然、起きることは結局起きるのだから、私たちのできることとしては、いかにして戦争に勝つかである。

    広義の戦争において、軍隊と兵器に頼るだけでは、国家の安全、国家の利益を維持することは不可能である。戦争は軍人・軍隊・軍事を超え、政治家、科学者らひいては銀行家の仕事になってきているり。戦争をどう遂行するか、という問題は軍人だけの問題ではなくなった。

    ロッカビー航空機墜落事件
    ナイロビ・ダルエスサラーム爆破事件
    東南アジア金融危機
    これらこそ、グローバル化時代の戦争である。

  • 本書は、「911を予測した」とかどーとか、そんな下らないレヴェルではない。中国人民解放軍現役空軍大佐2名による本書は、米国防大学において“分析対象”としても“テキスト”としても高い評価を受ける。彼らは、湾岸戦争からいくつかの重要な示唆をする。例えば、「非軍事の戦争」(テロ、サイバー等の非正規戦)、「非戦争の軍事行動」(≒MOOTW)、技術論、三軍統合運用、「霧の如き同盟」(現在の有志連合)等である。軍事研究者の必読書。ただし、本書後半の黄金率に関しては。。。

全2件中 1 - 2件を表示

坂井臣之助の作品

ツイートする