白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784764105782

作品紹介・あらすじ

漢字学の泰斗が解き明かす漢字の世界をイラスト付きでやさしく紹介。

感想・レビュー・書評

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  •  白川静さんが亡くなった後、小山さんがこういう本を作って、遺髪を継いでいらっしゃる。「金儲けかよ」そんなふうに思っていたこともあったが、じつは大切なお仕事をなさっていると、今はおもう。
     この本には、最初から読み続けて、読み終えて読書したという読み方は似合わないかもしれない。気になったら取り出して、気ままに読む。トイレとかに常備していつの間にか読む、そんな感じがいい。
     小学生の子供たちに、「漢字の成り立ち」劇かなんかやってもらって、右手にお椀、左手に呪具かなんか持って、首を抱えて土饅頭の上にのせて、「さあ、いくつ漢字が出てきたでしょう?」とかやったら、面白い。そういうふうに、漢字を理解していく子供を育てる世の中になればいいのに。
     みんな機械が覚えてくれてるんだから、成り立ちの意味くらい、面白がらせてあげないと、子供たちがかわいそうじゃないか、そうそう、円城塔の「文字渦」を読む前に、読んでおくのも、いいかも。漢字は、生き物かもしれないし。

  •  白川静さんは、すごい学者と言われているが、初学者向けの本がなかなかないので勉強したかった。

     職場の本屋で偶然みつけて読んでみた。

     白川先生の漢字の意味の分析は、呪術とか戦争からの分析が多く、説得力あり。

     特にすごい解釈

    (1)道:切った首をもって道をいく姿。

     異民族の首をきって、その呪術で外に通じる道の邪霊を払った。(p64)

    (2)民:瞳を突き刺して視力を失わせる姿。

     このようにして視力を失わせた人を神に仕える奉仕者として、民といった。(p99)

    (3)眞:上のヒは、死者のこと、下の県は、首が逆さまになった姿。

     不慮の死でなくなった人の死は、それ以上変化しないので、永遠なもの、真実なものという解釈になった(p154)

     これら、結構有名な解釈だと思うけど、改めて古代殷時代の、呪術や死生観がわかるようで、おも・怖い。

  • 借り物。

    興味深いんだけどやっぱりこういう本は
    自分で買って、自分が読みたい時に読むべきだな。
    書き込みもしたいし。

  • リズムにのるまでに時間がかかったが、内容に入り込んでからはスラスラ読み進めることができた。

    一見、漢字の成り立ちの物事でカテゴライズしているように見えるが、全編一貫して「サイ」という、神事の道具が関連している。
    本書を読むことで、漢字の成り立ちよりも、古代中国の物の見方や考え方をしることができて面白い。
    これらの知識が自然と湧き出るような人になりたい。

  • 漢字の成り立ちについて、いくつかの種類に分けて系統だてて解説されている本。あとがきにもある通り、この本を漢字を実際に習う年齢の時に読んでいたら、関連するいろんな漢字をいっぺんに学ぶことができて良かっただろうなぁ、と思いました。

    とは言え、紹介されている漢字の中には常用漢字ではないものも多数含まれているため、大人でも読むに値します。教養として読んでおいて損はない。

  •  漢字とわたくし
    幼時よりなぜか漢字に親しんでゐたわたくしは、小学校入学前に小2までに習う漢字をほぼ覚え、小学1年生の終りには、小学校で学ぶ漢字はおほむねマスタアしてゐました。「すごいねー」と周囲が褒めるので、わたくしはたちまち天狗になり、親は「神童か!」と期待した模様です。もちろんさういふことはございませんでした。結局「二十歳過ぎれば只の人」どころか、極端な慇懃無礼さをもつ、いびつな人間になつてしまひました。
    ま、それはともかく、漢字好きのわたくしは、プライヴェイトで文章を書く時は可能な限り漢字を駆使するやうになりました。常用漢字など糞喰らへ。現在はまた考へが変つてゐます。大人になつたといふべきか。この文章も漢字が少ないですね。若いころのわたくしには考へられない文章と申せませう。
    漢字は元来すこぶるシステマチックなものであります。法則性に気付くと面白く感じます。新字体ではピンと来ない部分もあるのですがね...

    『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』は、タイトル通り白川漢字学のさはりを楽しめる書物であります。
    例へば「辛」といふ漢字。つらいとか、からいなんて読みますな。音読みはシン。この辛さは、元々入墨を入れるときの痛みを表してゐるさうです。
    「辛」と「女」を組み合わせて「妾」。額に入墨をされた女性のことだといふことです。
    「妾」の男性版が「童」。受刑者として入墨をされたので、「奴隷」「しもべ」の意を持つ。その労働歌が「童謡」。現在と違ひ子供の歌ではなく、恐れられたのであります。

    こんなふうにテムポよく漢字の謎を解き明かしてくれます。快感であります。
    頭から通して読んでもいいし、気になる漢字から見てもいいでせう。
    比較的新しい本なので、入手も容易であります。良いことづくめなので、興味を持つた方は是非どうぞ。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-166.html

  • へー、なるほど、と思うことばかりの連続。知的刺激の連続。
    白川静さんて本当にすごい人だとおもう。
    最初に出てくる、右と左の漢字が意味することから漢字の海を漂うような感覚を味わった。
    右と左のナの違い、書き順が違う理由も、ストンと頭の中に入りました。

  •  約3200年の歴史を持つ漢字。【手】をめぐる漢字、【足】をめぐる漢字、【人】をめぐる漢字…というように、関連のある漢字をまとめ、その成り立ちを古代文字の形やイラストなどを使い、分かりやすく紹介。

     漢字には、呪術的なものを表現したものが多い。例えば、「道」の字は切った首を持って道を行き、道に潜む邪霊を首の呪力で祓う様子を表している。
     常用漢字として字形が改められたため、元の意味が分からなくなった漢字もある。「臭」は本来は自+犬、自は正面から見た鼻の形、動物の中でも嗅覚の鋭い犬の鼻で、におう、におい、くさいという意味を表す。(「嗅」という字は、犬のまま)

  • 口は、祝詞をいれる箱の意味だったんだ、とか
    真(眞)は死、不慮の事故で死んだ横使者を意味し、もうこれ以上変化しないものだから永遠のもの、真の存在といいう意味になったんだとか、
    子どもに名前をつける時は、絶対これをみて確認しようと思った。

  • 購入した本。

    面白かったです。
    白川先生の文字学が正解だとは思ってないのだけれど、
    こんな国語の授業があれば、もっと漢字を楽しく覚えられたかも。
    ただ、画数が多くてもそこに意味があるのならば、安易に書きやすくしちゃダメだよな。
     漢字に限らず、だけど。

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著者プロフィール

著者略歴

小山鉄郎(こやま・てつろう)
1949年、群馬県生まれ。一橋大学経済学部卒。共同通信社編集委員・論説委員。村上春樹作品の解読や白川静博士の漢字学の紹介で、日本記者クラブ賞受賞。著書に『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』(共同通信社・新潮文庫)、『白川静入門 真・狂・遊』(平凡社新書)、『村上春樹を読みつくす』(講談社現代新書)、『村上春樹を読む午後』(文藝春秋、共著)、『村上春樹の動物誌』(早稲田新書)、『大変を生きる―日本の災害と文学』『文学はおいしい。』(作品社)『あのとき、文学があった―「文学者追跡」完全版』『白川静さんに学ぶ これが日本語』(論創社)など。
2009年から白川静博士の業績を学ぶ同人会「白川静会」の事務局長を務めている。

「2021年 『白川静さんに学ぶ 漢字がわかる コロナ時代の二字熟語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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