日本キリスト教史

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  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784764274198

作品紹介・あらすじ

政治・宗教政策から観る通史!
キリシタン禁教、治安維持法、文部省訓令12号……。支配者の迫害に耐え、抑圧に抵抗し、時に屈服してきた信仰者たちの歴史は、信教の自由獲得を希求する歴史でもあった。体制変革をはらむ「カミの国」の思想と運動が、日本に投げかけたものとは何だったのか?
巻末に年表(1490~2017年)を収録。

感想・レビュー・書評

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  • キリシタン伝来に始まり、鎖国の際にも日本入国した宣教師シドッチ、そしてキリシタンの発見事件(くずれ、と呼ぶらしい)、明治期に至る幕末・維新後にも高札撤去までの迫害、1865年のプロテスタント最初の殉教者・市川栄之助。しかもこの時代はキリスト教式の葬儀は何と禁止され、罰金を科せられた!明治の初めには僧侶としてスパイの如く洗礼を受け教会に入ってきた人たちまでが多くいたなどとは、今では及びもつかない。「愛」という言葉は元々仏教では「欲望」に近い悪い意味だったとは、可笑しい。用語の世界ではキリスト教が勝利したのだ。足尾銅山事件、大逆事件、内村の不敬事件などの迫害の嵐が吹き荒れ続き、その中で、教育、福祉、市民運動、文学など幅広い分野でのキリスト教の良い影響力の拡大があったことが力強い筆で書かれている。しかしながら、15年戦争に限らず、日清・日露、第1次大戦などにおいてキリスト教界が軍国主義の旗を振っていたことが、おぞましい歴史として突き付けられた気がする。戦争末期の1944年8月20日の決戦態勢宣言文書が日本基督教団の名前で出ていたのには、吐き気さえ感じる。
    黒崎幸吉、本多庸一、海老名弾正、澤山保羅など、内面的倫理性を重んじる人たちを「陽明学的キリスト教」と呼んでいるのは、興味深かった。1933年の美濃ミッション事件については、初めて詳細な事実を知った。信教の自由を制限された中で苦労した子供たちを考えると心が傷む。一方、ゴー・ストップ事件で軍と警察が対立し、クリスチャン警察部長・粟屋仙吉の勇気ある態度は心強い。

  • 東2法経図・開架 192.1A/Su96n//K

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プロフィール

1935年生まれ。専攻、宗教学宗教史学。立教大学名誉教授。近代日本キリスト教研究、とくに内村鑑三研究と日本語の聖書翻訳研究の第一人者。著書:『内村鑑三』『聖書の日本語』『内村鑑三の人と思想』(ともに岩波書店)、『内村鑑三日録』全12巻『近代日本のバイブル』(ともに教文館)、『聖書を読んだ30人』(日本聖書協会)ほか多数。編集:『内村鑑三全集』全40巻(岩波書店)ほか。翻訳:内村鑑三『代表的日本人』(岩波文庫)など。

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