感情がつくられるものだとしたら 世界はどうなるのか バレットの構成主義的情動理論をめぐる、さまざまな領域からの考察

  • 金芳堂 (2025年4月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (388ページ) / ISBN・EAN: 9784765320511

作品紹介・あらすじ

医学分野では、感情は生物学的な実体があるものとされてきました。その見解によって、例えばうつ病(不安障害)の薬物療法などが行われ、一方で同じうつ病でも社会的な影響によって生じているとされる部分は心理療法による治療が行われてきました。ただ、心理学者リサ・フェルドマン・バレットの主張するように、「感情とは根本的に社会的に構成されたものである」とすると、それは従来の見解をどのように変更したらいいのか、さらには実際の治療を変更しないといけないのか、という問いが生じます。これは精神科医に限らず、医療者全般、心理職の関心だけでなく、精神鑑定など社会制度にまで影響が及ぶ可能性があるでしょう。とはいえ、「社会的に構成されている」という言葉が指す内容は理解が難しいものです。そこで、哲学者・心理学者・神経学者によるバレット理論の解説を踏まえ、「感情が社会的に構成されている」という論に対する論説を並べました。

感想・レビュー・書評

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  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/586482

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000077233

  • 感情の社会構成主義について、その主張をいわば前提としたときに、哲学、科学哲学、神経科学、心理学など多様な分野から影響やさらなる問いを考察する内容。私自身は、自由エネルギー原理との関係での考察が比較的に楽しめた。

    また、全般的な人格の社会構成主義のなかで、特に感情の構成主義理論の基礎を、コアエフェクトとその認知として概念化を整理しされた解説として学べたところも私はよかった。

  • 【書誌情報】
    定価 4,840円(本体 4,400円+税10%)
    編者:植野仙経、佐藤弥、鈴木貴之、村井俊哉
    金芳堂
    判型:A5判・388頁
    ISBN:978-4-7653-2051-1
    2025年04月 刊行
    https://www.kinpodo-pub.co.jp/book/2051-1/

    【目次】
    はじめに

      第1部 感情概念は変貌する その科学と哲学
    1 感情の哲学から見たバレットの感情理論
    感情の哲学:歴史と現状
    バレットの感情理論
    バレットの感情理論:哲学的意義

    2 心理学における感情の理論―構成主義理論による批判と基本感情理論による応答
    はじめに
    基本感情理論
    構成主義理論
    バレットから基本感情理論への批判
    バレットの批判を検討する
    おわりに

    3 脳は感情と理性を対立させているか
    はじめに
    2つのこころ:感情と理性
    心理構成主義
    予測する脳とこころ
    感情と理性の対立を止揚する
    結論

    4 感情は科学の概念なのだろうか
    心理学・精神医学における概念使用の特異性
    「自然種」をどのように特徴づけたらよいか
    感情は自然種なのかという「論争」
    「論争」の評価
    ふたつの戦略を使い分ける
    自然種なんて怖くない?
    まとめ 

      第2部 心理学
    1 発達科学の立場から―感情の成り立ちと教育
    はじめに
    発達科学における感情研究
    感情語と感情概念の発達
    感情の教育
    おわりに

    2 文化によってつくられる感情―文化心理学の立場から
    畏敬感情の文化的構成
    フロンティア仮説
    ポジティブ感情の文化的価値
    感情そのものの理解と文化
    感情と健康
    まとめ

    3 シグナルとしての表情の進化―進化心理学の立場から
    はじめに
    「反射」としての表情 vs. シグナルとしての表情
    シグナル説再考
    おわりに

    4 動物の感情研究とは何か? 霊長類の表情と感情ラベリング研究からの見解
    バレットとダーウィン
    emotionとfeeling
    動物の「感情」研究は可能か
    類人猿の表情研究―何が「相同」か?
    表情認識の研究―顔はそんなに重要か
    感情ラベリング―とにかく難しいラベリング研究
    結論

      第3部 精神医学・心理療法
    1 バレット理論と精神医学
    はじめに
    バレット理論の概要
    バレット理論からみた「心の病」
    バレット理論が提起している問題
    理由のあるデプレッションと理由のないデプレッション
    おわりに

    2 では非難される主体はどこにいるのか―司法精神医学の立場から
    主体
    理性
    命令幻聴―二重過程理論による解釈
    感情
    命令幻聴―心理構成主義による理解
    意思

    3 心理構成主義的感情理論から見た心理療法―認知行動療法の立場から
    認知行動療法における感情の扱い
    心理構成主義的感情理論から認知行動療法へ
    心理療法から心理構成主義的感情理論へ

    4 感覚刺激から感情がつくられるまでに何が起こっているのだろうか―精神分析の立場から
    はじめに
    バレットの主張の要約
    快・不快という例外的な感情
    フロイトの最早期発達論における不快
    フロイトの経済論とバレットの経済論
    感情の構成プロセスにおける概念の役割
    ビオンの転換とバレットの構成
    ビオンの前-概念とバレットの概念
    さいごに―どのような他者になるか

      第4部 社会科学・工学
    1 AI・ロボットに情動は創発するか―AI・ロボット研究の立場から
    はじめに
    認知発達ロボティクスの思想的背景の概略
    身体性と感情・情動
    直感的親行動による情動マッピングの獲得
    社会的関係性に基づく共感発達
    心的機能創発の要としての痛覚神経回路と人工痛覚
    認知発達ロボティクスからの構成主義的情動理論考察
    大規模言語モデルのインパクト
    おわりに

    2 心理構成主義は政治的行為を捉えなおせるか―政治学の視点から
    「政治的なもの」とは
    感情の地位
    「政治科学」の登場
    「合理性」とは?
    政治学における感情論の再興
    政治学における構成主義
    感情は政治に欠かせない

    3 相互行為の人類学による感情へのアプローチ―人類学の立場から
    はじめに
    間主観性の基盤としての感情
    会話に用いられる感情語彙
    まとめ

      第5部 人文学
    1 モラルにおける嫌悪の役割を考え直す―倫理学の立場から
    序文
    誰が嫌悪を感じるのか
    暴露論証としての嫌悪懐疑論
    感情の認識的な合理性:構成主義からの再編成
    結論

    2 動物の感情は倫理的に重要か―動物倫理の立場から
    倫理学における価値論と福利論
    価値論における感情の位置づけ
    動物の感情についてのバレットの立場
    限界事例からの議論と一人称説
    構成された感情は価値を持つのか

    3 感情論再考―キリスト教学の立場から
    はじめに
    バレットの感情理論
    バレットの感情理論に学ぶ:キリスト教思想との交差点
    古代キリスト教思想における感情
    中世キリスト教思想における感情:トマス・アクィナスの感情論
    おわりに

    4 「こころ」と「感情」の概念とそのありかた―仏教哲学の立場から
    イントロダクション
    仏教とは
    「こころ」とは
    仏教哲学にもとづく「こころ」の位置づけ
    仏教におけるこころの構造と機能
    仏教における感情の位置づけ
    基本感情理論と心理構成主義のいずれが是であるか
    仏教倫理観にもとづく善きこころと感情のあり方

    あとがき
    索引

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