凛とした女の子におなりなさい: 日本人らしいひと

著者 :
  • 暮しの手帖社
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本棚登録 : 118
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766001594

作品紹介・あらすじ

暮しの手帖に連載。著者渾身の傑作詩「日本人らしいひと」より、表題作をはじめ「縁側のご意見番」「おせっかいな案内人」「かつてあったやせがまん」など全9篇を完全収録。

感想・レビュー・書評

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  • 阿久悠さんの詩集ですね。
    暮しの手帖に寄せられた、九篇の詩です。
    「日本人らしいひと」のテーマに沿った傑作ですね。
    阿久悠さんは、ヒット曲の作詞で、知られていますが、詩集を目にするのは初めてです。
    どの作品も、阿久悠さんの気持ちの大きさを感じさせてくれる趣のあるものです。
    詩篇には、阿久悠さんのコメントも寄せられています。

      窓辺で本を読む親

     どんな親がいい親だろうね
     何でも許してくれるやさしい親か
     小遣いをたっぷりくれる甘い親か
     喧嘩の仇をとってくれる親か
     勉強しろとうるさく言わない親か
     いろいろ考えられるけど
     どれだろうね
     どれだろうね
     威張り返っているのも厭だし
     妙にへらへらしているのもご免だし
     世間に弱く家族に強いってのも
     迷惑な話だし
     どれだろうね
     どれだろうね
     そこで一人一人お前はどうだ
     何か思うところがあるだろう
     厭でたまらないところでも
     愛おしい何かでも
     どんな親だと
     説明しなくていいから
     これは厭 これは好き
     それだけでいいから言ってみなよ
     酒呑んで吠えるのは厭だね
     夫婦喧嘩は恥ずかしいね
     裸で人前に出るのは不作法だ
     そこで僕に順番がまわってきて
     親の好きなところはね
     本を読む姿だなと答える
     いいよ すごくいいよ
     窓辺の明るいところで
     親が真面目な顔で本を読んでるって
     何かぼくの親はものを考えたり
     他の人に敬意を払ったり
     そういうところが見えて
     いいよ すごくいいよ

    すごく共感できる詩だと思います。
    素直な気持ちがよく現れていて、呼び掛けるような言葉の響きはさすがですね。
    詩篇の他に、阿久悠さんのエッセイもあり、都倉俊一さんの解説と阿久悠さんの奥さまの深田雄子さんのあとがきも、楽しいものでした。

  • 図書館ふらふらして、たまたま見つけた本。
    もともと詩は好きなので借りてみた。
    『母は父の専属通訳』『おせっかいな案内人』『少年が憧れたおとなの男』『窓辺で本を読む親』『凛とした女の子におなりなさい』などなど……どの詩を読んでも映像が目に浮かぶようだ。

    詩の後に書いた、背景となるコメントも、その他の文章も、こころの中にしっとりと落ち着く感覚。

    ずっと手元に置いておきたい本。

    (後に、購入)

  • 素晴らしい一冊でした。
    読んでいる間、何度もシャキッと姿勢を正して、文字ひとつひとつを真剣に追っていました。
    父や母の姿を思い浮かべ、子供から大人へ向かって行く自分を懐かしく思い出しました。何が自分らしかったか見直すよい機会を得ることが出来ました。

  • ここに収められた詩には現在の自分がどんなだろうかと、考えずにはいられない強さがある。私はちゃんと子供に正しい父親を伝えてこられただろうか。自分自身が手本になって美しい所作を身につけさせてこられただろうか。大正生まれの祖母が見苦しいことをすると「お里が知れる」という言い方で私を叱ったのを思い出した。ある程度年齢を重ねた私でも「凛とした女の子になりなさい」は響く。いつまでも凛として生きていきたい。「少年が憧れた男」「かつてあったやせがまん」もとても好き。構成も素晴らしかった。この本に出会えてよかった。

  • どうしても
    ジェネレーションギャップを感じてしまった。。。

  • 自由で強く優しいこと

  • 人には勧めたくない。だって、こんな詩集を薦めたら、自分への賞賛を求めていると思われちゃいそう。
    と、思ってしまうから。
    きっと、いらない心配なのだろうけれど。

    でも、お守りみたいに、時折ひとりきりで声に出して読むことで、自分自身を確認したい。そう思える本だ。

  • 阿久悠さんの文章が好きです。考え方が自分に近くて共感できる。大柄で闊歩するような女性が好きだったとか。大概の女は男より強い。弱く見せようとする女は小賢しいね。

  • ポカラ移住化計画のざざサンがブログで紹介していて。表題詩「凛とした女の子におなりなさい」の詩を読みたくて、急いで図書館で借りました。

    妊娠しているときに この詩を読んでいたら、娘の名前を「凛」にしていたかもしれない(大笑)。
    思春期~20代位の女の子なんかにも、心の指針にいいのでは。

  • 私はこれを祖母から贈られました。最初、私は「誰かに理想像を押し付けられたくない」と思って、恥ずかしいことにこれを読みませんでした。しかし、1年ほど経った頃、ふと本を手にとって読んでみると、驚くほど共感してしまいました。「凛とした」という言葉に、力強さを感じたのだと思います。私自身が、サバサバしている、つまり世間一般に「女の子らしくない」と言われる人間なのですが、これを読んだ後、「ああ、悪くないものだ」と思いました。彼の詩は、心の奥底に響くものがあります。世間で誰にも流されることなく、媚びることなく、胸を張って生きればいい、そんな気にさせてくれました。

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著者プロフィール

1937年兵庫県生まれ。明治大学文学部卒業。82年『殺人狂時代ユリエ』で横溝正史賞、97年菊池寛賞、99年紫綬褒章、2000年『詩小説』で島清恋愛文学賞、03年正論新風賞を受賞。2007年、逝去。

「2018年 『君の唇に色あせぬ言葉を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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