- 本 ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766001600
感想・レビュー・書評
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本書は、昭和23年の暮らしの手帖創刊号から昭和32年にかけて掲載された食にまつわるエッセイが集められています。
食は食でも、副題にもあるとおり"昭和の食"。
戦争を経験した著者のみなさんのエッセイは、好きなものを好きなときに好きなだけ食べられる幸福を思い出させてくれます。
それと同時に、現代の食について考えさせられる内容もあります。
著者のみなさんが現代のインスタント食品やコンビニおにぎりが愛好されている様子を見たら、あきれられてしまうかも…。
お釜の底についたお焦げをこそげとって作ったおむすびや、噛んだときのぱりっという音が聞こえるような香の物。
石井好子さんのパリでの自炊料理も相変わらずおいしそう!
また、武者小路公共さんの寺田寅彦先生とスケートに行ったときのエピソード、思わず笑ってしまいました。
その他の著者もすごい面々です。
坂口安吾、井伏鱒二、幸田文、サトウ・ハチロー、石井桃子、草野心平などなど…。
読みごたえがあり、かつ食べることや食べるものについてじっくり見なおしたくなる1冊です。 -
筆者の大半が戦後の飢餓を経験し、それゆえ「食」に対する強い執着を有している。そも「食」とはファッションなどではなく、生きて此処に在るための原点なのであって、その意味で本書は昨今の美食ブームに対する強烈なアンチテーゼと言えるだろう。飽食の時代にこそ読まれるべきエッセイ集。檀ふみの選球眼が光ります。
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食に関するエッセイ集。
妖怪みたいな坂口安吾と病的な甘党の寺田寅彦が面白かった。
天野貞祐の「生は悩みだと云えます」から始まる段落はとても良い。 -
名エッセイ。これらを選びだした檀ふみの選択眼もいい。ユニークなタイトルだがそうきたかと膝を打つ思い。2008年発刊なので10年以上前に「昭和は遠くなりにけり」と書いているが、第二次大戦周辺の食の記述などは「少し前の記憶」ですらなくなっており平成も遠くなりつつあると感じる。おむすびやお茶漬けなど懐かしい味の記述が多いが、堀口大學がニューヨークの名ホテルでシャトー・イケムとクラムを食し、ブカレストの王族の社交界パーティに赴き、ランボーを訳す文章などはただ感心するばかり。坂口安吾が血を吐きながら飄々と食べても痩せないオジヤを紹介するのも味わいがある。肉も野菜も入り手間もかかるようだが確かに栄養たっぷりみたいだ。
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ふと通りかかった棚にあった一冊。手に取った後よく見れば今朝話題の暮らしの手帖社。さぞかしと思い読み始めると.. 知らぬ間に背筋が伸びてw 書き手のかたがたももうとっくにご逝去された方ばかりで内容もさることながら、高貴な文章にまた背筋がww
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ああおむすび食べたい、深夜に読むものじゃない。日本人の素朴な食卓はつい最近まで普通に見られたのだ。食べ物をないがしろにせず真剣に向き合っているし、何でも手に入る今よりも食事を大事にしているなあと思いました。
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雑誌「暮しの手帖」に掲載されたエッセイから、「食」に関するものを厳選。
昭和23年(創刊号)から昭和32年発行分までの間で選んだものということで、戦後の空気が「現在」のこととして書かれているものが多い(当たり前なのだが)。
平塚らいてう、野村胡堂、井伏鱒二などなど、多彩なメンバーの記事が選ばれているが、いつの記事なのかについての情報がないのが残念。 -
2015初読了。まぁ年またいで読んでいたんですが。食エッセイはいつの時代も面白い。たまたまなのか時代柄なのか身分や地域の差別に対して規制する気持ちが弱い。特に平塚らいてうが地方の人を差別するような発言をしていて意外だった。
本のタイトルはサブタイトルだけにした方がいいと思う。
著者プロフィール
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