考えの整頓

著者 :
  • 暮しの手帖社
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本棚登録 : 2239
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766001716

作品紹介・あらすじ

NHK教育テレビ「ピタゴラスイッチ」や「2355/0655」を世に送り出し、東京藝術大学で教鞭をとる筆者が、日々の暮らしの中で、心の網にかかった物事を独自の学殖と考察で紐解いてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • ネタバレになりますが、面白かったものを2つ紹介。

    【1】ふるいの実験というエッセイ。

    条件を付けて読み進めることができる人をしぼっていく。

    ・40歳以上である。
    ・メガネorコンタクトをしている。
    ・女性である。…… (私はココで脱落)
    ・一男一女を育てた。
    ・入院して手術をしたことがある。
    ・今、家で犬とインコを飼っている。
    などなど。

    ほとんどの人が脱落しそうな条件が次から次へと出てくるが、佐藤雅彦さんの姉がこの条件に該当するのだとか。

    そこで、ふと思った。「これは、(一部の?)政治家や利権者が都合のいい人や法人を選定するのに使う手と同じじゃないか。」
    最初から選ばれる対象が決まっていて、そこに行きつくように後付けで条件をでっち上げる。


    【2】無意識の引き算というエッセイ。

    「次の引き算をサッとといてみてくだい」

     1-1 =
     4-1 =
     8-7 =
    15-12=

    サッとできますよね。
    「では次に、12から5までの間で、頭に浮かんだ数をひとつ選んでください」

    選びましたか?
    「その数は、*ではありませんか」
    私が選んだ数はまさに*だった。佐藤雅彦さんも*を選んでいた。
    80%くらいの人が*を思い浮かべるらしい。
    あなたも*でしたか?

    *の答えはレビューの最後 ↓↓













    無意識に12-5を計算しているらしいのだが、私には引き算をした意識はない。
    私は最初に8が浮かんだが、なぜかすぐに7に変えた。
    私の思考プロセスははこんな感じだった。
    まず、12と5は除外。2桁の11と10も除外。1桁の数字は9,8,7,6の4つ。ならば8か7。今回は7にしよう!

    多分、最初の引き算で15-12がイヤだったので2桁の数字は除外した。
    その上の8-7が頭に残っており、8か7が選ばれやすいように誘導されていた。
    なんとなく答えの数字(0,3,1,3)の足し算(答えは7)をしようとしていた。
    無意識に12-5も計算していたのだろうか???

    * は 7 です。

  • 『ピタゴラスイッチ』でお馴染みの佐藤雅彦さんが、日常で不可解に思っていることについて「文章を書く」ことで自分の考えを整頓されたもの27編。
    雑誌『暮しの手帖』で2007年1月から2011年5月まで連載されたもの。

    佐藤さんの頭の中は実に論理的。文章もスッキリしていて分かりやすいし、物事の見方もちょっとユニーク。
    あとがき『歩きながら考える』とあるように、不可解な事に対して、止まることなく常に周りをぐるぐる歩きながら理解していって自分なりの理論を生み出していく感じが面白かった。
    「面白い」とは本当のことが分かって目の前が開けて明るくなるという語源を持つ、という。
    『ピタゴラスイッチ』の中で生まれる面白い発想の数々も、こうやって形付けられているのだいうことが分かった。だから子供から大人まで幅広く楽しめるのだろう。

    ●私も仕事や子供のことで頭の中がぐじゃぐじゃになった時、整理するために箇条書きにしたり簡単な図にしたりする。煮詰まった時、一度冷静になって問題から少し距離を置くとより良い案が生まれることも。佐藤さんのようにユニークな発想が加えられるといいのだけれど…凡人にはなかなか難しい。

    ●佐藤さんも言っておられたけれど、私も寝起きに閃くことが多い。前日の夜、なかなか考えがまとまらなかったことも翌日の朝、洗顔したりハミガキをしている時にふっと答えが見つかったりする。やっぱり夜はさっさと寝て翌朝に備える方がいい。

    ●事件を解決するのに、指紋ならぬ「耳紋」が重要だなんて初耳。確かに耳って無防備かも…気を付けなくては。

    ●「差」について色々書かれてあった。なるほど日常において何かと何かの「差」は重要な要素となる。色々な数値も絶対的な数値よりも相対的な数値で見られて、それで他者と比較してしまって病むこともある。佐藤さんのように「差」を良い方向(マイナスを逆にプラスにする人間の余地←この発想がまたいい)にとらえられるといいのだけれど。

  • 佐藤雅彦さんの本はやっぱ好きだ。考えることが楽しくなる。まずは押し付けがましく無いところがなんといっても彼の本の魅力。さりげなく、日々の生活の中で、違う角度で物事を考えてみるのも良いな、と自然と思える。
    抑揚も好きだ。
    本著は、雑誌「暮らしの手帖」の連載をまとめたもので、「日常に見え隠れている不可解なことの整頓」がテーマ。
    発想がホントに面白い!気付く視点もやっぱ面白くて。
    「敵か味方か」も納得出来たし、「おまわりさん10人に聞きました」の地図の隠し場所案件ケート、「ハプニング大歓迎」、「ふるいの実験」も何度も読みたくなる魅力を感じた。
    「一敗は三人になりました」の情報の伝え方の妙も、好感が持てた。

    珍しく本は購入。佐藤雅彦さんの本は図書館じゃなくて毎回ちゃんと買って読んでる。
    側に置いておきたい、バイブルにしたくなるような魅力がどの本も凝縮されている気がします。またしばらくしたら買います。全冊揃えてコーナー作りたいな。

  • こういうモノの見方ができるアタマの柔らかさと、常識にとらわれない感性を持っていたいなあ、と強く思います。

  • 現代人は忙しい、といいます。本当に忙しい人もいるけど、"考えてる暇はない"ほど、そうなんでしょうか?
    著者の佐藤さんだって忙しいはずですが、彼は考えています。考える楽しさを教えてくれます。
    文体は、"硬派"な学術的な感じと"軟派"な(?)エンタメ的な感じがあって変化に富んでいます。くすり、と微笑みながら読めるところもある。「シラク・ド・ウチョテ」のような童話みたいなものもあります。
    また、佐藤さんのバックグラウンドに故郷の伊豆半島があることも分かります。最終篇に、東日本大震災に遭われた時の事が書かれていますが、その時思い出されたのが故郷の歴史だったのが、佐藤さん自身、巡り合わせみたいなものを感じたのでしょうか。

  • 天才。学ぶことが面白いということをこれ以上上手く伝えられる人を他に知らない。文章までセンスが良くて惚れ惚れする。ピタゴラスイッチのようなちゃんと仕組みのある文章の構成が大好きです。

  • ピタゴラスイッチでおなじみの佐藤雅彦氏の「暮らしの手帖」掲載の連載を単行本化した一冊。

    氏の書く文章はいつも新鮮な視点を与えてくれるだけに期待して手に取りました。ただ個人的には普段感じている氏の文章の魅力がちょっと薄れているように思う部分がありました。連載している雑誌のターゲットとなる読者層によるものか、自分自身が十分感じ取れていないだけなのか…。

  • 考えたことを自分なりに整頓して、そこからルールを見つけたり、新しい気付きを得たりする楽しさを、読みながら体感できた。自分の周りにも、気づいていないだけでたくさん面白い要素が転がっているのではないか…?「これはなんだろう?どうしてだろう?」と疑問を持つ、その答えを自分なりに考え、(なんとなく、ではなく)言語化し、整頓する。今すぐにでも習慣化していきたい。簡潔な言葉で綴られた文章には、ところどころ佐藤雅彦さんの人柄、大切にしていることが垣間見られて、暖かく、綺麗だと感じた。自分も、体温のある文章を書きたいなぁ。

  • 「混沌とした日々の中できらめく、気づきと思索」
    ―― 帯に書かれたこの言葉が、まさにぴったりな佐藤雅彦の考察集。

    雑誌「暮らしの手帖」に連載されていた記事をまとめて1冊にしています。毎号、連載を追っかける必要がないのは助かるのだけど、佐藤雅彦のエッセイの面白さって、雑誌や新聞のページをめくって「あった!」と見つけて読む行為そのものに、醍醐味があるのかも!と改めて発見。

    昔、毎日新聞で連載していた「毎月新聞」しかり、今はなき「オリーブ」の「プチ哲学」しかり。

    それはふと散歩に来た川の流れの中に、キラっと光る小石を見つけるみたいな、本来の目的とは違う寄り道みたいな、不意打ちで、はっと意表をつかれる真理に出会う楽しみみたいな。新聞や雑誌の1ページに載る短いワンテーマのコラムは、膨大な情報量の中に打たれた、一本のくさびのようだった。それは佐藤雅彦が繰り返し書いている「気づき、発見のオドロキ、ヨロコビ」にすごく合っていたのだと思う。

  • ピタゴラスイッチでおなじみ、佐藤雅彦先生が暮しの手帖で連載していたエッセイを1冊にまとめたのが本書。
    こんな風に考える方だからピタゴラ装置みたいなおもしろいものが生まれるんだな、と納得させられました。

    特に興味深く読んだのは下記のエッセイです。

    「敵か味方か」
    人は本能的に相手が敵か味方かを見極めようとする、というのは自分の経験と照らし合わせて納得。
    意識的に敵と味方に分けているわけではありませんが、後から振り返ると結果的にそうなってるのですよね。

    「~と、オルゴールは思い込み」
    開閉式のオルゴールは蓋の突起で聴く人の有無を判断する。
    佐藤先生が幼いころにその仕組みを発見したエピソードは、身近なおもちゃで似たようなことをしたなぁと思いました。
    本当はちがうのに「そうだと思い込んで」動く機械は、いたずら心をくすぐられつつ愛着も感じたものです。

    「中田のスルーパスと芦雪」
    なにもしないこと・なにもないことが眩しい。

    「ふるいの実験」
    佐藤先生の遊び心がつまった1編。
    ルールに従えば途中で読むことを止めなければならなかったのですが、こっそりルールを破って最後まで読んでしまいました。
    ちょっとの罪悪感もありつつ、いたずらをしている最中のどきどきを感じながら、楽しく読みました。

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著者プロフィール

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

「2024年 『宇宙ビジネスのための宇宙法入門〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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