みらいめがね それでは息がつまるので

  • 暮しの手帖社
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本棚登録 : 668
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766002126

感想・レビュー・書評

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  • 評論家の荻上チキさんのエッセイに絵本作家のヨシタケシンスケさんがコラボ!
    荻上さんの体験にはシンパシーを感じるところもあったし、その体験ゆえに考え方や行動を広く柔軟であろうとする姿勢は尊敬する。
    ヨシタケシンスケさんの作品は初めてだったけど、ユニークな上に味わい深くて良かった。こんな作家が売れるなんて日本も捨てたもんじゃないなと思った。

    以下、気になったところを引用。
     「僕は、パレードを見ると、涙が出る。自己分析するに、どうも自分は『多様萌え』なようだ。異なる者同士が、それぞれ自由に行進していている姿を見るだけで、涙腺が緩む。」
    「確かに新しいメディアは、社会に新しいトラブルを持ち込む。でも、それによって救われる人もたくさんいる。片面ばかりを見てはいけない。それが一体、人に、社会に、どんんな役割を果たし得るものなのかを見なくちゃなと思う。」
     「(略)人生は全てが教材になる。ゲームでも、ユーチューブでも。」
     「ライフストーリーをどのように語るのか。過去をどう捉え、今をどう評価し、未来になにを望むのか。そのイメージが崩れた時、人は危機に瀕する。今までの自分や、世間の『べき論』と比べることで、否定のループに陥っていく。」
    「何もかもに、その考えを押し付けるな。何も知らないくせに、勝手に噂するな。何もしないくせに、土足で踏み荒らすな。何も疑わないままに、そこから査定するな。こうやって生きているんだ。何が悪い。」

  • 荻上さんは淡々とした口調で世の中の矛盾や自身の病気について語るので「自分には何ができる?どういうスタンスでいく?」と目を背けてきた問題を考えるきっかけになった。ヨシタケさんはいつもの優しく可愛らしいイラストで「一緒に考えて行こう」と伝えてくれている感じ。装丁もいい!

  • 庶民の生活を独特の感覚で見続ける荻上チキさんとヨシタケシンスケさんのコラボ本。
    視点を変えれば(めがねを付け替えれば)生活の見え方も変わることを教えてくれる。

    荻上チキさんは、子供の頃いじめに遭ってきたので、他人を平気で全否定するような意見に敏感になったことや、ウツになって悩み苦しんで生きてきたことを公開している。
    ラジオやテレビでの発言と変わらぬ優しく丁寧で少し控え目な語り口は本書でも同じです。

    最初のエッセイ「女の子の生き方」で、チキさんが多様性というものにすごく敏感なことが分かります。
    自分が子供だったころ「女の子らしくしなさい」という男の都合のいい女性像の押し付けが世間に蔓延しており、それが幸せになるための常識だった。
    ディズニー映画でも昔はそうだったが、近年はアナと雪の女王でもわかるように「ありのままの姿で自信を持って生きる」ことを良しとするように変わった。
    子どもに影響力の大きいディズニー映画について、そんなこと考えたこともなかったので改めてチキさんは鋭いなと感じた。

    大学でテクスト論を学んだことがチキさんの思考能力の基礎になってるようだ。
    作品や作者の時代背景などを検証し「これが正解」という読みはやめる。
    人それぞれの読み方があるのだから、さまざまな立場から読むという思考実験を繰り返す。
    うまく要約できないが、このような接し方を鍛えたようだ。
    勝手に作り上げた「正解」以外はダメという排除の姿勢はありません。

    本書はあくまでも荻上チキさんのエッセイがメインですが、各エッセイから感じ取ったヨシタケシンスケさん目線の世界がセットで楽しめるという構成になっています。

  • ヨシタケシンスケさんの絵が好きで、次は何を読もうか選んでいたときに111108さんの本棚にこちらを見つけました。
    荻上さんの本は災害支援手帖ぶり、なんとなく生きていることを襟元ただす思いになる。
    相手を尊重し距離感を保ち、不器用ながらも丁寧に生活されているのがエピソードが随所にみられる。
    無意識のうちに「特定の読み方=イデオロギー」を内面化している、いろいろな解釈の可能性について読みの多様性可能性を追求するテクスト論に興味を持った。
    いじめ研究に触れる中で「表情罪」「態度罪」という表現、攻撃の正当化ですごくわかりやすい制裁。体験があるからこそわかる、あの感覚あの場面がありありと浮かぶ。
    「人と話して呪いを解こう」これはお守りになりそう。
    「他人を適切に嫌いになる作法」他人を無駄に呪わない、他人を厳しい言葉で否定したら、その言葉は規範となって自分を縛る。何度も振り返りたい部分。
    ヨシタケシンスケさんの挿絵も途中の漫画も風刺が効いて最高。素敵な小休止になって次に進める。

    • 111108さん
      ベルガモットさん、はじめまして。こんばんは。

      私のつたない文章でも「面白かったよ」が伝わったようでうれしいです!
      荻上さんのしみる言葉とヨ...
      ベルガモットさん、はじめまして。こんばんは。

      私のつたない文章でも「面白かったよ」が伝わったようでうれしいです!
      荻上さんのしみる言葉とヨシタケシンスケさんのハズしたイラストの絶妙なバランスがいいですよね。めがねがはずれる装丁も素敵。
      2021/04/15
    • ベルガモットさん
      111108さん、はじめまして。勝手にお名前出しちゃって失礼しました。 
      少しだけ読んだ本がかぶっていたり、短歌の本も紹介されていて魅力的...
      111108さん、はじめまして。勝手にお名前出しちゃって失礼しました。 
      少しだけ読んだ本がかぶっていたり、短歌の本も紹介されていて魅力的な本棚ですね。
      そうそう、「しみる言葉」と「ハズしたイラスト」の絶妙さもよいですし装丁も気に入りました!
      これからも楽しみにしています。
      2021/04/15
    • 111108さん
      こちらこそ、本棚楽しみにフォローさせてくださいね!
      こちらこそ、本棚楽しみにフォローさせてくださいね!
      2021/04/16
  • 「みらいめがね それでは息がつまるので」
    荻上チキ ヨシタケシンスケ(著)

    2019 5/24 初版第一刷発行 暮しの手帖社
    2020 7/6 読了

    荻上チキのエッセイの巻末毎に
    ヨシタケシンスケの絵エッセイが描かれている魅力的な本。

    初めて知った荻上チキって男の容貌を検索して
    「あー確かに理屈っぽそうだ」と納得。
    (ぼくは理屈っぽい男が嫌いだ)

    素直に共感したくないんだけど
    共感してしまってちょっと悔しい。

    ヨシタケシンスケの絵があるのとないのでは
    評価が断然違ってくるよね。

    ヨシタケに救われたなチキ。

  • 夏頃に図書館で予約し、漸く回ってきた本。
    荻上チキさんのお名前は知っていたが、どんな方かはよく知らなかった。

    暮しの手帖に連載されていた物をまとめた本。
    世の中で、影になっている部分やマイノリティと言われる様々な'当事者'に会い、寄り添いながらその問題の核心について、私達に分かりやすく伝えてくれている。
    ご本人も、小中学校時代に酷いいじめを経験し、人との距離感を掴むのが苦手だと書かれている。当事者の事をより深く理解しようと仕事量が増えてしまい、鬱病になったことも。今は病気と上手く付き合いながらお仕事を続けられているそうだが…。

    全体的に重いテーマなのだが、そこにヨシタケシンスケさんの小話的マンガが添えられていることで、フッと抜けるような安堵感がある。
    ヨシタケさんの書かれたイラストあとがきは、「そう!そうだよね!」と何度も頷いてしまった。最後のオチもさすが!2020.1.8


    以下本文より

    ○ 何かの属性を持つなら、このように振る舞わなくてはならないとする規範の数々。自分の人生に関係のない他人が、遠くから自分の人生を勝手に査定し、嘲笑うために規範性を振りかざすなら、それは「呪いの言葉」にほかならない。
     どんな規範の言葉に呪われ、苦しめられてきたのか。自分と合わない相手と、規範で縛られて無理に付き合っていないか。人生のどのタイミングでも、重荷を下ろすことは赦される。114ページ

    ○ 小説経由だろうとテレビ経由だろうと、ネット経由だろうと同じこと。それをどう血肉化するかは、これから何を学ぶかによって変わるんだろう。166ページ

    ○生きづらさを取り除くこと。現在の社会のノーマティビティ(規範)を疑うこと。外に向けて発信はできても、内面化された自分の価値観を変えることはなかなか難しい。
    178ページ

     

  • 私が好きなラジオ番組「荻上チキ Session-22」のパーソナリティである評論家荻上チキ氏のエッセイ集。
    内容は雑誌「暮らしの手帖」に掲載されていたものを集めたものとのこと。
    挿絵を担当されたヨシタケシンスケさんの絵も印象的な本である。

    世間の固定観念に対してそれでいいのか、世界はそれだけではないと問いかけるような本である。
    一番印象に残っているのは、「ガラスの天井」という言葉から、荻上氏の母親が語る話のところ。
    女には教育は不要とか、女だからといろんなものが阻まれる時代の感覚は次の世代には味わってほしくない。

    私は男であるが、共感する。

    このほか、誰かを傷つけたり息苦しくしたりすることが一言も書かれておらず、できる限りそれを排除して行きたいと考える著者の考えに頷くところが多い。

  • 今 人気の若手評論家さんのエッセイ集を読んだ。この方はきちんと少数派や多様な人々に大事に寄り添うことができる人ですね。だからこそ人気が高い評論家でありリスナーが多いのでしょうけど。またヨシタケさんのイラストもとても効いていて楽しく読了しました。こうした若い評論家さんが人気なのも時代の流れを感じます 笑。良いエッセイ本でした。

  • 荻上チキさんのラジオリスナーの私は、思わず「え!ヨシタケシンスケさんとのコラボ?!」と手に取った。

    最終章の「生きづらさを取り除け」
    “どんなに「規格外」だと思われようと、その生活を陳腐な言葉で自らを否定しないでほしい。どうか呪いをかけないでほしい。その規格・規範が自分の中でどれだけ大切なものか、見極めてほしい”

    登校しないことを選んだ子どもさんへの言葉。自分の心にもグサっと刺さって、涙で視界がぼやけてしまった。就活に馴染めずに苦しかった私。やりたいことなんてすぐ見つからないし、黒髪にスーツでESを書きまくって自分を規格内にはめ込む感覚が嫌だった。思い切って就活を辞めて、ゲストハウスで働き始めると楽になった。自分がいつの間にかけていた「就活しなきゃいけない」という呪いから解けると呼吸が楽になった。チキさんの言葉に、救われたなぁ。

    ヨシタケさんの「女の子の生き方」のイラスト、好き。ちょっとだけ読むつもりが一気に最後まで読み切っちゃいました。ノートに書き留めたい言葉とたくさん出会えた1冊。

  • ヨシタケシンスケさんの絵と、「みらいめがね」というタイトルがいいなと思い、手に取りました。

    評論家の荻上チキさんによるエッセイに、ヨシタケシンスケさんが挿し絵をつけたもの…ではありますが、1つのエッセイにつき2ページのヨシタケシンスケさんの“挿絵”は、とってもおもしろかったです。
    ヨシタケシンスケさんの“挿絵”は、ページ数こそ少ないものの、単なる挿絵ではなく、「荻上チキ、ヨシタケシンスケ」の共著クレジットになっているのも、大きくうなずけます。

    荻上チキさんについては「みらいめがね」ではじめて知りました。
    荻上チキさんのうつ病について書かれた「人生病、リハビリ中」や、生い立ちについて触れた「母の思いと僕」、今の仕事に就くまでの様子がわかる「アルバイト雑談」「今の仕事に巡り合うまで」「僕の声とラジオ」は、現在うつ療養中のわたしにとって、特に気になるエッセイでした。
    そして「人生病、リハビリ中」に描かれたヨシタケシンスケさんの“こんなうつ病の薬があったら”的な想像が、とてもいいなと思いました。

    お2人を通して、世の中にはこんな方向から見ることもできるよ、世の中にはこんな風に生きている人(お2人)もいるよ、ということがわかる1冊。
    ちょっと自分の息がつまってきてしんどいとき、気になるところから読んでみると、すこしずつ息が抜けるかも?!しれません。

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著者プロフィール

1981年生まれ。評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO法人ストップいじめ!ナビ代表理事。ラジオ番組『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)メインパーソナリティー。同番組にて2015年度、2016年度ギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティー賞およびラジオ部門大賞)。

「2019年 『ネットと差別扇動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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