常用デザイン: 21世紀を生き抜くデザイン (常用デザインマニュアル)

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  • グラフィック社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766114720

感想・レビュー・書評

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  • 生活を活性化させ潤いをもたせるデザイン生活文化創造の担い手
    それでも価格重視の状況の中、軽視されているものでもある

    80-90年代のデザイナーがデザインを感覚的なものにした。バブルデザイナー、アートとデザインの混同

    常用デザインの時代だからこそ人間中心のデザインへ

    消費者物価の指数は、年々下がり傾向。
    物価が下がるとデフレが進行する。
    企業は収益を上げようと生産量を増やす。その結果、市場にモノあまりの現象が起き、在庫を抱えることに。
    消費者は安くものが買えるので、支出するお金を抑えることに。企業の売上は減退する。
    それに対して企業は、生産量を減らしたり、給料を抑えたりする。
    生産量を抑えれば労働力が余分になり、リストラが実施され、失業者が増える。


    地球と世界
    国と民族 武器のデザインほど悲しいものはない
    環境と汚染 デザイナーがデザインしたものが地球を汚染している
    自然を利用した形 開発が生態系を壊す 環境アセスメント 自然と共存「借景」
    環境への配慮 エコロジーマーク 市場原理主義によるスクラップ・アンド・ビルド
    未知の災いへの備え デザインを通じて訴える

    衣食住、娯楽と教養×年代別

    道具の道は人生の意
    道具は持つ人の人格や思想が反映されている
    パートナーシップ 近年では使い捨てが当然

    文化とは人間が自然に手を加えて作り上げた物心両面にわたる成果を言う
    人が作ったものは全て文化
    文化的エレメントの全てにデザインが関わっている

    文化的エレメントに関わる生活環境と精神性に影響する組織への参加による結びつきの強弱がその人のスタイルを作る。
    生活の充実感や生き甲斐をえて、幸せを感じる

    購買手段の多様化。デザイナーは買う喜びをどのように演出できるかがテーマ

    構造主義 ソシュール
    →人間の知性を実態として見ることはできないが、根底に言語的な流れがある。ここから構造的に種々のものが創造されていると主張した。


    平面、立体、空間という三大ステージに加え、音と時間

    デザインの持つ3つの性格
    1.社会性 不特定多数の人をターゲットとしている点。社会に貢献し、責任が問われる。
    2.科学性 色やフォルム、感覚的な言葉で表現するのでなく科学的裏付けを必要とする
    3.審美性 美的な効果を発揮する性質。アートと重なる部分

    人のこころに働きかける美的情報は人を快適にする

    デザインにおける個性はそれほど重要ではない。機能や環境との調和が優先されるからだ。
    あくまでユーザー視点。強いて言うなら差別化のためのアイデアに個性が必要。
    非個性=個性がないのでなく、個性を超然と超えているという意味。デザインは非個性の世界。

    市場とは消費者であり、ユーザーである。その消費者が何を求めているかを探るのがマーケティング・リサーチ
    欲しがるものを作る→欲しがるようにしむける→生活を含めた提案をする(今ココ)

    電話の役割の変質
    通話、映像、メール、ナビ、情報端末、音楽
    電話を意味する動詞の数が増加。
    電話×動詞

    ユビキタス=いつでもどこでも

    色=電磁波 電磁波をRGBに置き換えて感じている
    感覚ではなく科学の領域。企業のCIのカラーを決めるにしても十分な根拠が必要である。

    デザインは機能美を追求する行為。スタイルの美しさではない。
    機能美の主役は道具でなく人。
    バタフライ・スツール 柳宗理

    リサイクルの時代に新築を建てる意味。
    ヨーロッパの建築は100年平気で建っている。
    時々、中をリニューアルするが、リニューアル自体も10年以上の時間をかけ培ってきた歴史を踏まえながら現在のスタイルと未来のスタイルの予測をしながら建てる。

    バウハウス
    芸術家と職人の共同作業での授業。
    「すべては建築に統合される」
    平面、立体、色彩、時間というデザインエレメントが集合し、生活空間を構築しているのが建築
    「建築」「生活」というキーワードで全てのデザインは繋がっている。
    シンプル・イズ・ベスト コンパスと定規によるデザイン 現代は穏やかな装飾の時代

    大量生産のデザイン。それを支える技術力。
    企業が求められるもの→製品のクォリティをあげるための技術力と、それを実現するための技術力。
    投資家が見るのは、設備投資と研究開発。

    日本は古代より、具象より抽象、明快より曖昧、理念より観念に重点をおいて生活してきた。

    未来は現在にあるものの組み合わせでしかない。一見複雑に見えるが後から考えれば起こるべくして起こった。

    キャラクター文化。日本人の80%が何らかのキャラクターを持っていると言われるくらいキャラクターが好きな国民性。

    デザインが時代を変えるエネルギーを持つ。

    常用デザイン Standerd Design
    1.人と人を結ぶメッセージである
    2.ユーザーの視点に立つ、ユーザーのためのもの
    3.誰でも制作することができる。あらゆる人をターゲットにする
    4.生活の中で機能し、喜びを生み出す
    5.生活の円滑化をはかり、潤いを与え、美しさを引き出す
    6.喜びを生み出し、幸せを実現するためのもので、自然と社会とのインターフェイスを図るためのものである
    7.社会に対して、クライアントと共に責任を負う
    8.現在のためのデザインであると同時に、過去と未来のインターフェイスを図るためのものである
    9.環境にたいしての責任を持ち、一般への注意を喚起する
    10.ベーシックデザインの基本に立つ、新しい手法によるデザイン運動であり、既成に対する革命である

    アメーバ、Amorphous

    ターゲット⇔喜ばせるには⇔どのような方法で⇔伝えたいことは

    デザインの社会性
    =社会は一人では成立しない。二人以上で社会が成立する。そこにはあるルールがある。人が多くなればそれは法律となる。
    より合理的に生活するため道具が使われる。道具によって生活のリズムやスタイルが変化する。道具はデザインによって作られる。ただ、デザインするにあたって社会のルールに従わなければ成らない。

    機能を追求する中で形がつくられていく=スタイライゼーション
    民具は生活の中で必要に迫られて形作られたもの。機能美優先型のデザインである。
    自然の良さを引き出すのもデザイナーの仕事

    デザインの構成要素
    1.分割
    2.広がり
    3.位置
    ベーシックデザイン 構成エレメント
    分割、位置、広がり
    バランス、シンメトリー、ムーブメント
    リズム、グルーピング、放射(開放)

    ダダ→コラージュ、オブジェ
    表現に決まりはない。視点を変え、見る位置を変える。

    工とはたくむことであり、手だてや企ての意味である。芸術や技術を表す日本語である。
    道具=仏教用語 道は人生 具は物 人生を共に歩む物
    日本の道具は古くから多機能だった。(無限定デザイン)ヨーロッパには無い発想。(限定デザイン)(現代では携帯電話が多機能)
    →古くからある多機能カタログ!!!!!!!!!!!!

    デザインの価値は物質的な物ではない。
    メッセージに価値がある。
    価格は安いが使う人にとって大きな価値がある。ジーンズ
    リーバイスのジーンズほど常用デザイン

    デザインとはユーザーや消費者の満足、感動、癒し、意欲、安心をつくり出す重要なものである。

    景気の影響が消費に影響する年代は30代が最も高い。
    総務省 家計調査 20年間で消費する力がかなり落ちている。

    道具と共に情報が集まり、急速に文化は発達し始める。
    使い方の難しい道具はデザイナーのレベルが低いことを表す。
    デザイナーは道具を通じて未来の生活を提案する。そこにビジョンがなければならない。
    デザイナーも未来を語る。未来都市を意識した道具からユニークさが生じる。

    アイソタイプ=世界共通の絵文字
    ♡マークほど世界で共通認識されているマークはない。
    文字の場合、算用数字が世界で使われている
    言葉よりも視覚で直接メッセージを伝える。

    使うためのデザイン「ユーザビリティ」
    必要→使い易い→気持ちよく使える→満足

    目の不自由な方でもホームページを利用できる「アクセシビリティ」
    見えないところは音声がフォローする。音声ページへのアクセスのしやすさも考えられている。
    点字で出力されるプリンターとか?

    複合発想(古代の基本ユニットから〜)
    未来は現在あるものの組み合わせによって作られる

    デザインマネジメント
    =経営戦略に結びついているもの。プロデューサー的な機能を果たすと共に管理する責任を負う。
    経営におけるデザインを戦略的に運営すること。どの部分にデザインを導入し、どのようなデザイナーを含むメンバーを組織し、スケジュールを組みプロジェクトを進めるか。また活動の記録を残し、次のプロジェクトに繋げる。

    必要な要素
    =デザインを知り尽くしている。人脈を持っている。全体をまとめる力とアクシデントを乗り越える強いリーダーシップが必要である。
    =常にスケジュールを意識し、何を優先し何を中止すべきか即時に判断する能力
    =物理的な環境と人的な環境の両方を的確にマネジメントする。

    1.組織をつくる
    2.スケジュールを組む
    3.費用の予算組み
    4.活動しやすい環境
    5.企画に対する判断
    6.制作進行記録

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著者プロフィール

デジタルハリウッド大学名誉教授・大学院教授。先端色彩研究室室長。
金沢美術工芸大学産業美術学科卒業。 1968年よりデザイン教育に携わる一方でグラフィックデザイナーとして活躍。
研究テーマはデザイン理論と表現技術。
長年にわたる研究と「カラーイメージチャート」によって、実戦向きのデジタル色彩システムを実用化させた。
国内10万人以上が「カラーイメージチャート」による配色を行っており、デジタル色彩システムは高い評価を得ている。
特に中国での普及は目覚ましいものがある。中国の大学でも教鞭を執り、デザイン教育に力を注いでいる。
中国メディア大学・上海音楽学院教授。
日本カラーイメージ協会・国際カラーイメージ協会理事長。色彩関連著書多数。

「2020年 『日本の美しいことばと配色』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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