- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766128499
作品紹介・あらすじ
久野さんと民藝が歩んだ45年間を、いま、ふたたび-1971‐2015。
感想・レビュー・書評
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<閲覧スタッフより>
百円ショップが台頭し安くて丈夫な食器が食卓に並ぶことが多くなりました。個性のない食器ばかり使っていませんか?職人さんの手作りの器は、ひとつひとつに趣きがあり味わい深いものです。長く民芸の世界に携わってきた著者ならではの視点で職人さんとうつわが紹介されています。
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所在記号:750.21||クノ||1
資料番号:20105168
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鎌倉で民藝店を営み、2015年に逝去した久野恵一が、自身が関わってきた窯元との交流について語った一冊だ。
本作では、その多くが小鹿田焼、小代焼、やちむんについて語られている。
柳宗悦に師事した人たちと交流を持ち、自分の目に自信をもって、職人たちに「こういうものを作れ」と指導する、そういう人物は現代にはいないのだろうなぁと思う。
実際、今は「作家」を目指したい人が多く、無名の美というのは、喪われつつあるジャンルだし、そういう作家たちはアドバイスは聞いても指導は受け入れないだろう。
作中でも言われている通り、「民藝」というのも言葉だけが残ってその美がなんなのかというのは紛れてしまい、現代で言われる「用の美」とは、ただ「民藝」的なものであればなんでも美しい、という話になってしまっているようにも思う。
久野さんの姿勢は強引で上から目線なようにも感じてしまうけれど、巻末で小鹿田焼の職人たちが彼を偲んでいる対談やインタビューを読むと、敬愛された人だったんだな、本気で人やものと関わった人なんだなと思った。
職人の考え方や、窯元のしきたりなど、いろいろ裏話的な内容もあって、読んでいて興味深かった。