一汁一菜でよいという提案

  • グラフィック社 (2016年10月1日発売)
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  • 本 ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766129540

感想・レビュー・書評

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  • ひとりでサッと作って食べるといえばついつい炒めものになりがちだけど、この本を読んで、軽く炒めたあとにお湯とダシを足して煮てから味噌を入れて豚汁風にして食べてみるとおもったより美味く感じた。それはこの本の影響が大きいのだろうけど、急に味噌の味が好きになってしまった。日本人として日本人であることに、食の話を通じてすこし誇りも持てるいい本でした。

  • NHKきょうの料理他のレシピ番組は拝見しているが、土井善晴さんの本は初読。しかも購読。この本については話題を聞いて珍しく手に入れて何度も読もうと思ったのである。

    忙しくて料理をする時間がない人たちに対し、世の中は「時短レシピ」や「手抜きレシピ」を推奨した上で、毎度豪華(に映える)食卓を理想として掲げる風潮にある。でも、あえて土井先生は方向を変えた提言をする。

    曰く
    日々の食事は一汁一菜で十分。ご飯、味噌汁、お漬物等のおかず。味噌汁の具を工夫すればそれで十分日々の食事は賄える
    と。

    そして、実際に土井先生が日常召し上がっている、一汁一菜の食事メニューの写真が掲載されているのだが、確かに簡単そうで手抜きそうで丁寧で、美味しそうなのである。これなら出来るかなぁと思える。

    一汁一菜は手抜きではないということである。ご飯を炊いて味噌汁を作る。具だくさんの味噌汁ならそれがおかずも兼ねる。あとはお漬物…それで十分自炊なのである。真心のこもった料理なのである。

    シンプルライフ、ミニマムライフにあこがれを持っている俺、その神髄は最小限なモノを丁寧に使って丁寧に生活することだと解釈しているんだけど、土井先生の一汁一菜の考え方はまさに色のシンプル化ミニマム化に相当するんじゃないだろうかと思う。何も「一汁一菜」を絶対守れというものではない、中華や洋食を食ってもいいしパンでもパスタでもいいのである。ようは「一汁一菜」が根底にある、という余裕をもとうってこと。乾燥ワカメに出汁入り味噌を入れたお椀にお湯を注ぐ、後はご飯(作り置きのチンご飯でもいい)と梅干。根底がそこにある自炊生活なら、頑張れそうに思えてくるじゃないか。

    共働きの我が家庭、最近は妻もどんどん忙しくなっている。でも一汁一菜なら俺だって、ひょっとしたら子供だって、炊事はできるはずである。

  • 凄い本だった。
    久々に時間が伸縮した。それだけ集中したのは何時ぶりだろう。

    これは食べ方の話とか、調理の話ではない。生き方の話なのだ。ひいては、日本人としての哲学の話なのだ。
    心打たれた。
    日本人として生きるということを、食の面から考えたことがなかった。
    これから何度も読み返すだろう。

  • 料理をしなければならないという義務感があり、解放されたいなぁと思っていたところ手に取った一冊。
    脳が感じる美味しい食事より、体が感じる美味しい食事の方が日常的には良いという考えは、すっと入ってきた。
    和食の良さにも改めて気付かされ、読んでよかった。
    家族が品数が少なくても納得してくれるかは…?

  • 一汁一菜でよいというのは、ご飯、お味噌汁、お漬物、この3つが基本ということで、場合によっては、二菜なり、三菜になっても良いということです。

    季節の食材を楽しみ、丁寧に下ごしらえをし、相手のことを思って食事を作り、おいしくいただく。忙しい毎日では、毎食毎食このような料理は不可能です。私もできません。だから忙しい時は、一汁一菜でよい。時間があったらおかずを一品増やす。そんな感じでいいんだということを、教えてくれます。

    この本では、色々なお味噌汁のバリエーションが、写真入りで多く載せられています。具だくさんのものが多く、これだけでお腹いっぱいになりそうです。出汁も、必ずしもとらなくていいと書いてあります。食材からいい出汁が出るものもあるので、これだけでも、作るハードルが低くなります。何よりもお味噌汁を食べるとホッとします。

    私は、土井先生のレシピ本を何冊か持っています。よく作って家族にも好評です。今流行りの、時短料理ではありません。一つ一つ丁寧に作る料理が多いです。この本はレシピ本ではないですが、60年に渡り、食に関わってきた土井先生の哲学を感じます。毎日の生活を見直すのにも、よい本です。

  • 温かく優しい一冊だった。

    うちの母は料理嫌いな人だったし、わたしは朝ご飯は菓子パンがふつうという家で育った。当然、料理を教えてもらう機会などなかったし、家庭科で習った料理を家で作ろうとするのも嫌がられた。そんなわたしも、一人暮らしを始めてからは最低限の料理ができるようにがんばったけど、大学に入ったころは目玉焼きも本を見ながら作るありさま。苦手意識はずっと消えず、元夫にはおかずがワンパターンで飽きたと、作ったお弁当を捨てられる始末だった。

    こうなると、ますます料理が苦手になるどころか恐怖になる。今、登山教室というところで時々食事担当を受け持っているけれど、面倒とかいう以前に実は恐怖のほうが大きかった。誰も食べてくれなかったらどうしよう。こっそり捨てられたらどうしよう。

    実際はもちろんそんなことはなく、山では何でもおいしくて、恐怖心もすこしずつ消えてきた。誰かに食べてもらうということへの恐怖心が。肩に力が入りすぎていたかもしれない。

    今は一人暮らしなので、毎日の食事もどんどん適当になっていた。でも、「適当」にもいろんな方向性があるんだなぁと。こんなふうに力を抜いていいんだなぁと。本当の意味で適当になっていけるように、もうすこし毎日の食事に気を配っていきたいなと思った。たとえ、自分だけが食べるごはんでも。

    お手伝いさんのいるような家で育った母も、力の抜き方がわからないまま料理が嫌いになってしまったのかもしれないな。初めて、そんなふうに考えることができた。

    まずは、おいしいお味噌を買ってこよう。

  • 土井さーん!ありがとうー!
    料理研究家が、「食育?一汁三菜?そんなの言い出したの最近!一汁一菜で充分!」と言ってくれるのは、実行しなくとも気持ちを楽にしてくれる。
    更に、味噌汁は薄くても濃くても美味しいとか、家庭料理は素材をいじくらないでなるべく手間をかけないのが美味しい、いつも同じでいいそれが安心になる、などなど抱きつきたくなる発言がいっぱい。
    料理書というより土井さんの思想エッセイ。
    でも載っているお味噌汁はどれも最高に美味しそう。
    味噌汁と香の物を続けると塩分大丈夫なのかなというのと、日本人ならではの〜日本人らしさ〜日本人の繊細さ〜という辺りは私には合わなかったが(国によって表れ方が違うだけだと思う)、毎日の献立に苦しんでいる人、苦しめている人、苦しめていることにも気づいていない人、皆様是非。

  • これ読んでから味噌汁をなるべく付け足すようにしてる。読後一夫一妻を思い出し趣旨と変わってもとても良かったです。

  • 「ご飯、味噌汁、漬物」という一汁一菜の型を突き詰めた本。味噌汁はスーパーフードとも言われ、栄養価の高さは認識していたが、何となく食卓の中では脇役のような、地味な印象のままだった。ところが、この本を読んで、具材の自由さと役割の大きさを思い知らされた。決して気負わなくても、食事の型が完成するのは素晴らしいと思った。本書を通して、日本の食卓に根付く和の心の大切さも説かれており、食育としても参考になる。

  • 丁寧な暮らしに憧れるけど
    なかなか...
    やっぱりジャンクフードは美味しいし
    好きな甘いものばかり食べちゃうし
    せめて本の中で
    食を通じて丁寧に生きるという
    バーチャルを味わう

    本ひとしずくにて購入

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著者プロフィール

1957年大阪生まれ。料理研究家。十文字学園女子大学特別招聘教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、甲子園大学客員教授。スイス・フランスでフランス料理、味

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