- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766129540
作品紹介・あらすじ
食事はすべてのはじまり。大切なことは、一日一日、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる暮らしのリズムをつくること。その柱となるのが、一汁一菜という食事のスタイル。合理的な米の扱いと炊き方、具だくさんの味噌汁。
感想・レビュー・書評
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NHKきょうの料理他のレシピ番組は拝見しているが、土井善晴さんの本は初読。しかも購読。この本については話題を聞いて珍しく手に入れて何度も読もうと思ったのである。
忙しくて料理をする時間がない人たちに対し、世の中は「時短レシピ」や「手抜きレシピ」を推奨した上で、毎度豪華(に映える)食卓を理想として掲げる風潮にある。でも、あえて土井先生は方向を変えた提言をする。
曰く
日々の食事は一汁一菜で十分。ご飯、味噌汁、お漬物等のおかず。味噌汁の具を工夫すればそれで十分日々の食事は賄える
と。
そして、実際に土井先生が日常召し上がっている、一汁一菜の食事メニューの写真が掲載されているのだが、確かに簡単そうで手抜きそうで丁寧で、美味しそうなのである。これなら出来るかなぁと思える。
一汁一菜は手抜きではないということである。ご飯を炊いて味噌汁を作る。具だくさんの味噌汁ならそれがおかずも兼ねる。あとはお漬物…それで十分自炊なのである。真心のこもった料理なのである。
シンプルライフ、ミニマムライフにあこがれを持っている俺、その神髄は最小限なモノを丁寧に使って丁寧に生活することだと解釈しているんだけど、土井先生の一汁一菜の考え方はまさに色のシンプル化ミニマム化に相当するんじゃないだろうかと思う。何も「一汁一菜」を絶対守れというものではない、中華や洋食を食ってもいいしパンでもパスタでもいいのである。ようは「一汁一菜」が根底にある、という余裕をもとうってこと。乾燥ワカメに出汁入り味噌を入れたお椀にお湯を注ぐ、後はご飯(作り置きのチンご飯でもいい)と梅干。根底がそこにある自炊生活なら、頑張れそうに思えてくるじゃないか。
共働きの我が家庭、最近は妻もどんどん忙しくなっている。でも一汁一菜なら俺だって、ひょっとしたら子供だって、炊事はできるはずである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
凄い本だった。
久々に時間が伸縮した。それだけ集中したのは何時ぶりだろう。
これは食べ方の話とか、調理の話ではない。生き方の話なのだ。ひいては、日本人としての哲学の話なのだ。
心打たれた。
日本人として生きるということを、食の面から考えたことがなかった。
これから何度も読み返すだろう。 -
題名も良かったし、有名な土井先生の本ということで、かなり期待して図書館で予約、
待たされてようやく手元にきました。
期待はずれ。
期待しすぎたのもあるんでしょうけど・・・・。
これは「提案」で、
なんというか・・・宗教?じゃないや、哲学の本???
「日本人観」を考える本、だと思います。
土井先生も「思想」「美学」「日本人としての生き方」と言ってます。
結局、土井先生のこの「思想」「美学」が好きかどうかが
この本を好きかどうかなんだと思います。
・・・残念ながら、私は苦手。
しかも個人的には「その歴史観はちょっと違うのでは。あまりに懐古的、昭和男子。」と思うところが多々あり、です。
土井先生は「読む」より「聞く」ほうが爽やかで素敵です。
一汁一菜で食べてたらこういう献立がありますよ、
その場合は、こういう栄養素が足りなくなる恐れありますよ、
とか、
その場合は、こういう食材足してね、とか、
サプリ飲んでね、とかいうことは書いてありません。
ご飯少な目にして、たんぱく質多めにね、とか、
そういうことは、一切書かれてません。
レシピ本ではないです。人生観なので。
味噌汁に何でも入れていいので、
でっかいピーマンが入っている味噌汁の写真も載ってます。
(目から鱗っていうか、ビックリしました)。
食事の「ハレ」と「ケ」の考え方は好きです。
でもちょっとついていけない感じがしました。
これだったら敬愛する荻野氏の「好きなものを食っても呑んでも」や
母にプレゼントした藤村氏の「罪ほろぼしレシピ」のほうが、私は好きです。 -
土井さーん!ありがとうー!
料理研究家が、「食育?一汁三菜?そんなの言い出したの最近!一汁一菜で充分!」と言ってくれるのは、実行しなくとも気持ちを楽にしてくれる。
更に、味噌汁は薄くても濃くても美味しいとか、家庭料理は素材をいじくらないでなるべく手間をかけないのが美味しい、いつも同じでいいそれが安心になる、などなど抱きつきたくなる発言がいっぱい。
料理書というより土井さんの思想エッセイ。
でも載っているお味噌汁はどれも最高に美味しそう。
味噌汁と香の物を続けると塩分大丈夫なのかなというのと、日本人ならではの〜日本人らしさ〜日本人の繊細さ〜という辺りは私には合わなかったが(国によって表れ方が違うだけだと思う)、毎日の献立に苦しんでいる人、苦しめている人、苦しめていることにも気づいていない人、皆様是非。 -
ひとり暮らしを始めてから、毎日ちゃんと頑張って食事(イメージは一汁二菜ぐらい)を作らないと…と気負っていた気持ちがふわっとほどけた。
具沢山のお味噌汁と白いご飯、それからお漬け物。
それだけで体も心も満たされるDNAが、我々日本人には元来組み込まれているのだと、この本に教わった。
確かに、まずお味噌汁をひとくち飲んだときの安心感は、言葉にできないものがあるもんな…。
しかし土井先生、話し言葉だけでなく文章もやわらか。
美しい言葉で決して押しつけがましくない本文は、『提案』というタイトルがぴったり。
この本、是非想像力の中での五感をフル活用して読むことをお勧め。
日々のごはん作りが、ゆったりとした気持ちでできそう。 -
温かく優しい一冊だった。
うちの母は料理嫌いな人だったし、わたしは朝ご飯は菓子パンがふつうという家で育った。当然、料理を教えてもらう機会などなかったし、家庭科で習った料理を家で作ろうとするのも嫌がられた。そんなわたしも、一人暮らしを始めてからは最低限の料理ができるようにがんばったけど、大学に入ったころは目玉焼きも本を見ながら作るありさま。苦手意識はずっと消えず、元夫にはおかずがワンパターンで飽きたと、作ったお弁当を捨てられる始末だった。
こうなると、ますます料理が苦手になるどころか恐怖になる。今、登山教室というところで時々食事担当を受け持っているけれど、面倒とかいう以前に実は恐怖のほうが大きかった。誰も食べてくれなかったらどうしよう。こっそり捨てられたらどうしよう。
実際はもちろんそんなことはなく、山では何でもおいしくて、恐怖心もすこしずつ消えてきた。誰かに食べてもらうということへの恐怖心が。肩に力が入りすぎていたかもしれない。
今は一人暮らしなので、毎日の食事もどんどん適当になっていた。でも、「適当」にもいろんな方向性があるんだなぁと。こんなふうに力を抜いていいんだなぁと。本当の意味で適当になっていけるように、もうすこし毎日の食事に気を配っていきたいなと思った。たとえ、自分だけが食べるごはんでも。
お手伝いさんのいるような家で育った母も、力の抜き方がわからないまま料理が嫌いになってしまったのかもしれないな。初めて、そんなふうに考えることができた。
まずは、おいしいお味噌を買ってこよう。 -
食事の基本形は一汁一菜(お味噌汁とお新香)でよい。無理して何品目も作るより、一汁一菜を毎日続けることの方が、心身の健康を自然に維持できるし、食を通した教育にもつながる。
和食ってユネスコ無形文化遺産に登録されていたと知らなかった。生まれが田舎なので、季節の食材を使った食べ物などが頻繁に食卓に並んでいた。子供の頃は何とも思わなかったけれど、大人になって考えると、それは結構手間がかかる大変なこと。自分はちゃんと愛情を受けていたんだという確かな思い出として蘇ってくる。おばあちゃんとお母さんには感謝しないとなー。 -
自炊を頑張りたいけどしんどいな、と思っていたところでこの本を知ったので天啓のようだった。
なるほど、型にはまりすぎていたのだなと。おかずを頑張っていくつも揃えなくても、味噌汁(あるいはスープでもいいのだと思う)にいろいろと入れてしまえば、それだけで食としては調う。あれこれ思い悩んで、結局作りきれなくて外食に頼ったりするよりは、この思想の方が余程健康的なのではないか。昔の日本人がそうだったからそれでいいんだ、というのは理屈とは違うようには思うが(時代状況も、食に対する科学も当時と異なるのだから)、そういう考え方もあったのだ、という相対化としてはとても頷ける。しかしこれをどう読んだら「日本人すごい本」に読めるのだろう。滔々と語るだけで、持ち上げてなどいないし、むしろ現代的家庭料理からは、ある種「質を落とす」話ではないか。
食事だけに留まらず、生活全般におそらく敷衍できる話で、こうでなくてはならないと、高いレベルを勝手に設定してあくせくするのではなくて、頑張りすぎなくていい、程々のものでいいと言うのは、何事にも言える。 -
3人の子の母となり、日中は上2人の送り迎えと習い事の送迎、赤ちゃんのお世話などみんなやってることだけど、結構大変で参っていた。
参るのは辛いからでも忙しいからでもなく、
自分が思っている理想の母ができていないから。
食卓に所狭しとおかずを並べて家族とにこにこ食事をしたい。
私の母がそうだったからこれが普通でこうすべきと思っている。
でも無理だ。
そういう時に出会った本。
ちょっと涙が出て励まされた。
一汁一菜でも愛情がないわけじゃない。
一汁一菜でも栄養はとれる。
これならできる!と思えたし、それで質はさがらない。
「絶対こうすべき」ということじゃない。
著者の経験と研究を基礎に、食事をするという営みの意味が解かれている。
愛情あふれる本だった。
実際、毎日一汁一菜とは行かず作るけれど、
一汁一菜の時にもなんの不満も出ず、
子供達はいつも残す味噌汁を綺麗に平らげたり
お代わりしたり、たくさん食べてくれる。
土鍋でご飯を炊いて、大きなべに味噌汁を作って具沢山。
手作りふりかけ。
漬物。
か野菜炒め。
我が家は週末、肉や魚たっぷり。
平日は、一汁一菜、時々プラスアルファ。
いつまでも夕飯に手が回らないわけじゃない。
黄昏泣きする赤ちゃんもいつかは1人で遊べるようになる。
できるようになったら理想を追い求めよう。
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確かに、なるほど、と頷けることばかりで・・・
家の普段の料理は、「ケ」の料理。
毎日を淡々と繰り返せるリズムで刻むべし・・・ということで、具沢山みそ汁とごはんという基本の組み合わせを提案されているんだけど、そう考えると毎日の料理が楽になるというか・・・肩から力が抜ける。
で、たまに、余裕があるときにごちそう、ということでいいんだなと。
ありがたい、ご「提案」でした。
著者プロフィール
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