美術史の基礎概念―近世美術における様式発展の問題

制作 : Heinrich W¨olfflin  海津 忠雄 
  • 慶應義塾大学出版会
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766408164

作品紹介・あらすじ

西欧の盛期ルネサンスとバロックの美術を対象に、様式の発展に注目した形式分析=フォーマリズムの方法論の原典。美術史の深層をなす視覚の発展史。古典となった名著の完全新訳。

感想・レビュー・書評

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  • ハインリッヒ・ヴェルフリンは美学という哲学領域が専門であるが、エウヘーニオ・ドルスやアンリ・フォションと同じく、連綿と続く芸術の展開を「様式の発展史」として捉えた。この考えによれば、特定の時代に、形態における同一の特徴を持った作品群が登場し、その諸特徴を「様式」(ルネサンス、バロック、印象派等)としてまとめ、そうした諸様式の盛衰が視覚芸術の発展史、つまり美術史であるとする。

    ヴェルフリンはそうした立場をこの著書によって打ち出し、近代的な美術史観の先鞭をつけた。
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    そんなモニュメンタルな書物なのです。
    かつ、美術史を学ぶ際の古典的名著として確固たる地位を持っています。
    (しかしこの本の論拠に関しては批判も多いですが。。)
    ぼくは最近読んだので完全にこのヴァージョン(慶應義塾大学出版会)です。それぞれの版の序文も網羅してるし図版も奇麗だしいいと思いました。
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    本書の概要としては
    「ルネサンス」と「バロック」を特定の様式概念として対比しながら、その対比の軸として視覚芸術(建築も入る)における5つの『基礎概念』を提唱します。
    その基礎概念とは以下

    ルネサンス     バロック
    ①線的なもの  ⇔ 絵画的なもの
    ②平面     ⇔ 深奥
    ③閉じられた形式⇔ 開かれた形式
    ④多数性    ⇔ 統一性
    ⑤明瞭性    ⇔ 不明瞭性

    懐疑的な態度で読み進めていたのですが笑、以外と読み物としておもしろく説得力があり、ヴェルフリンの総合的な姿勢にもかなり共感できるところがありました。対比や基礎概念の妥当性はそれなりに説得力がありますが、この見地に対しての反駁はかなり多いです。彼のこの議論が批判統合され、その上に今の美学があるのです。

    ま、おもしろんですが、あまり趣味として読む本ではないですねw
    ぼくは大学のレポートのために読みました。

  • 2009年2月25日
    原題:Kunstgeschichtliche Grundbegriffe(英題:Principles of Art History. The Problem of the Development of Style in Later Art)、1915
    作品は「視覚的」図式の上に成り立っている。
    同じ「自然の模倣」を行っていたとしても、「視覚的」図式が異なれば違うものができる

    16世紀(クラシック)→17世紀(バロック)の発展の定式化された5つの概念
    ?線的(Linear)→絵画的(Malerisch/painterly)
    ?平面的(Fläche/plane)→深奥的(Tiefe/recession)
    ?閉じられた(Geschlossen/closed (tectonic) form)→開かれた(Offen/open (a-tectonic) form)
    ?多数的(Einheit/multiplicity)→統一的(Vielheit/unity)
    ?絶対的明瞭性(Klarheit/absolute clarity)→相対的明瞭性(Unklarheit und Bewegtheit/relative clarity)
    ↑これらは下部の層を成す

    ?線画的様式は線で(事物の意味と美がまず第一に輪郭に求められる)、絵画的様式は塊(マッセ)で見る(輪郭が注意を引かなくなり、斑点現象としての事物が印象を左右する)
    様式の相違 線的にみること…形と形の間をしっかり分けてみること
    事物をあるがままに表現(=客体に照準を合わせ、事物をその確固たる可触的関係に従って把握し、事物に語らせようとする様式) 
                  存在(Sein)の芸術 触覚図
                  確固たる形態がある 恒常的な形があり、測定可能で限界付けられている それぞれ独立した事物がある
          絵画的にみること…事物全体の表面をかすめ過ぎる運動をねらうこと 
                   事物をあると見えるように表現する(=主体に照準を合わせ、幻像(Bild)を表現の根底に据える様式)
                   仮象(Schein)の芸術 視覚図
                   変化する現象がある 運動と機能する形がある 事物と事物の関係がある 非実体的なものの美を知る

     モチーフ自体も絵画的/非絵画的になり得る
     
     全ての表現様式の変遷に装飾的感情の変遷が伴っている。(模倣の問題だけでない。)

    ?16世紀には平面への意思があり、図像を舞台の前端と並行に置かれた層として考える。17世紀には眼から平面を取り除き、平面の価値を低下させ、平面を見えなくする傾向がある。


    ?閉じられた形式=構築的(tectonic 垂直線・水平線、正面観・側面観など)形式/開かれた形式=非構築的(a-tectonic)形式

    重切…Überschneidungの訳(英訳 overlap)「隠蔽 Deckung」(=前後に置かれた事物が完全に重なり合う)のに対して、重切ではそれらが脇にずらして置かれ、後の事物が前の事物の陰に部分的に見える。

    p. 203 「イタリア人ほどの説得力をもって、構築的様式を裸体画で呈示することができなかった。…人間の肉体のすばらしい体格は、一般に『建築の相のもとで sub specie architecturae』把握される時以外に、それを正当に評価することができない」という考え

    イタリアは構築的感覚を、北方はより非構築的感覚を備えている。

    啓示された合法則性の美/隠された合法則性の美
    非構築的なものは常に構築的なものの伝統の中に姿を現す。法則の解消は、法則がかつて自然であった者にとっておのみ、何らかの意味をもつ

    ?クラシック様式…各部分を自由に動く肢体として独立させることによって、それなりの統一性を獲得
             諸々のアクセントが等位関係にある
     バロック様式…各部分の均等な独立性を、むしろ統一的な総体的モチーフのために断念する
            諸々のアクセントの間に従属関係がある

    ?クラシック様式…あらゆる形を隅々まで明らかにする(=明瞭性)
     バロック様式…全てを明らかにせず、意図的に隠蔽する(不明瞭性)

    人間はおそらく常に、自分がみたいと欲した仕方で見ていた。

  • 西洋美術における様式発展をまとめたヴェルフリンの名著。
    美術史学の基礎を築いた。
    けど難しい。
    あくまで論文の参考にする程。

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