- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766408164
作品紹介・あらすじ
西欧の盛期ルネサンスとバロックの美術を対象に、様式の発展に注目した形式分析=フォーマリズムの方法論の原典。美術史の深層をなす視覚の発展史。古典となった名著の完全新訳。
感想・レビュー・書評
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高いよね!
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借り物
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2009年2月25日
原題:Kunstgeschichtliche Grundbegriffe(英題:Principles of Art History. The Problem of the Development of Style in Later Art)、1915
作品は「視覚的」図式の上に成り立っている。
同じ「自然の模倣」を行っていたとしても、「視覚的」図式が異なれば違うものができる
16世紀(クラシック)→17世紀(バロック)の発展の定式化された5つの概念
?線的(Linear)→絵画的(Malerisch/painterly)
?平面的(Fläche/plane)→深奥的(Tiefe/recession)
?閉じられた(Geschlossen/closed (tectonic) form)→開かれた(Offen/open (a-tectonic) form)
?多数的(Einheit/multiplicity)→統一的(Vielheit/unity)
?絶対的明瞭性(Klarheit/absolute clarity)→相対的明瞭性(Unklarheit und Bewegtheit/relative clarity)
↑これらは下部の層を成す
?線画的様式は線で(事物の意味と美がまず第一に輪郭に求められる)、絵画的様式は塊(マッセ)で見る(輪郭が注意を引かなくなり、斑点現象としての事物が印象を左右する)
様式の相違 線的にみること…形と形の間をしっかり分けてみること
事物をあるがままに表現(=客体に照準を合わせ、事物をその確固たる可触的関係に従って把握し、事物に語らせようとする様式)
存在(Sein)の芸術 触覚図
確固たる形態がある 恒常的な形があり、測定可能で限界付けられている それぞれ独立した事物がある
絵画的にみること…事物全体の表面をかすめ過ぎる運動をねらうこと
事物をあると見えるように表現する(=主体に照準を合わせ、幻像(Bild)を表現の根底に据える様式)
仮象(Schein)の芸術 視覚図
変化する現象がある 運動と機能する形がある 事物と事物の関係がある 非実体的なものの美を知る
モチーフ自体も絵画的/非絵画的になり得る
全ての表現様式の変遷に装飾的感情の変遷が伴っている。(模倣の問題だけでない。)
?16世紀には平面への意思があり、図像を舞台の前端と並行に置かれた層として考える。17世紀には眼から平面を取り除き、平面の価値を低下させ、平面を見えなくする傾向がある。
?閉じられた形式=構築的(tectonic 垂直線・水平線、正面観・側面観など)形式/開かれた形式=非構築的(a-tectonic)形式
重切…Überschneidungの訳(英訳 overlap)「隠蔽 Deckung」(=前後に置かれた事物が完全に重なり合う)のに対して、重切ではそれらが脇にずらして置かれ、後の事物が前の事物の陰に部分的に見える。
p. 203 「イタリア人ほどの説得力をもって、構築的様式を裸体画で呈示することができなかった。…人間の肉体のすばらしい体格は、一般に『建築の相のもとで sub specie architecturae』把握される時以外に、それを正当に評価することができない」という考え
イタリアは構築的感覚を、北方はより非構築的感覚を備えている。
啓示された合法則性の美/隠された合法則性の美
非構築的なものは常に構築的なものの伝統の中に姿を現す。法則の解消は、法則がかつて自然であった者にとっておのみ、何らかの意味をもつ
?クラシック様式…各部分を自由に動く肢体として独立させることによって、それなりの統一性を獲得
諸々のアクセントが等位関係にある
バロック様式…各部分の均等な独立性を、むしろ統一的な総体的モチーフのために断念する
諸々のアクセントの間に従属関係がある
?クラシック様式…あらゆる形を隅々まで明らかにする(=明瞭性)
バロック様式…全てを明らかにせず、意図的に隠蔽する(不明瞭性)
人間はおそらく常に、自分がみたいと欲した仕方で見ていた。 -
西洋美術における様式発展をまとめたヴェルフリンの名著。
美術史学の基礎を築いた。
けど難しい。
あくまで論文の参考にする程。