ケンブリッジの卵―回る卵はなぜ立ち上がりジャンプするのか

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766413342

感想・レビュー・書評

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  • 序盤は正直、興味の無い自伝的記述が続き、いかにも学者の硬い文章と相まって読むのがつらい。
    テーマとなる卵の回転の研究になってからは文章もこなれてくる。それでも、日本の学者の悪い癖「わかったことを書くので勉強して理解しなさい」という姿勢が続き、「何とかして人に理解してもらえるように工夫して伝える」努力の見られない文章が続く。解説も数式も無い専門用語の羅列は「何かわからないけど凄い」という、権威にとって誠に都合の良い反応しか生み出さない。
    全編通じて、面白いテーマがドラマチックに展開しているので、このような日記プラス報告書のような形でしか残らないのはもったいないように思う。

  • 早速私も、ゆで卵で試してみました。何故立つのかサッパリですが、この本を読み、エア説明してみます。

  • ゆで卵をテーブルで毎秒30回転程度の速さ回転させると、しばらくして卵は立ち上がってくる。しかも0.1mm程度ではあるが時々ジャンプするんだとか。これは昔から知られた現象(!)らしいのだが、その理由を流体力学の観点から明らかにしたものがNature 416,385-386、2002の記事。著者はサバティカルでケンブリッジにいる間に、共同研究者としてこの研究に関わっており、英国留学記と卵の謎の研究過程が一章毎に語られる。卵の謎についてはそもそもモーメントとか剛体とか、私の時代の高校物理にはなかった基礎知識が必要とされる上、「動径の球面調和関数による展開」みたいな記載も多くさっぱり理解できないが、「自動卵回転機」を開発したり、こういう狭い領域の特殊な課題を二年も研究できる環境というのはうらやましくもある。

  • ★爽やかだがもうひとつ欲しい★慶応大の物理の先生が英ケンブリッジに留学し、ゆで卵を回すとなぜ立ち上がるのかを解明するまでの留学記であり研究記。題材は身近だしケンブリッジでの研究室や暮らしなど下世話な話も多くて読みやすく、科学読み物として清々しいのだが、何かもうひとつひねりというかコクが欲しい。それがなんだかよく分からないので編集者にはなれそうもないが。

  • Jul.31, 2007 購入

著者プロフィール

慶應義塾大学法学部教授。1984年東京大学理学部物理学科卒、1989年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。同大学理学部助手、慶應義塾大学法学部助教授などを経て、2000年より現職。2006~2012年まで慶應義塾志木高等学校校長を兼務。
ケンブリッジ大学に研究留学中の2002年、「回転ゆで卵が立ち上がる」物理を解明した共同研究成果を科学誌『ネイチャー』に発表した。さらに「高速で回転する卵は立ち上がる途中でひとりでにジャンプする」ことを予測し、実証することにも成功した。現在は研究とともに、主に文系の大学生に物理学の授業を行っている。著書に『ケンブリッジの卵』(慶應義塾大学出版会、2007)、『卵が飛ぶまで考える』(日本経済新聞出版社、2013)など。

「2014年 『犬も歩けば物理にあたる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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