- Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766414455
作品紹介・あらすじ
好評につき、増補版刊行!
感想・レビュー・書評
-
ブログを元に再構成されているので、内輪ネタも多く含まれているけれど読みやすいかもしれない。興味が無い所は飛ばせる。コラム的に基本の考えがまとめられている所は頑張って読んで消化しないと、素人は他の部分が理解できなくってしまうと思う(自分も含め)。社会をどのように作ればこの閉塞感がなくなるのか、と思っている人は多いと思う。是非お勧めしたい。目から鱗だった考えが下記。
・混合診療の幅を増やす事は歯科ですでに行われ、富裕層へのリッチな医療が充実することになる。アメリカと同じで、それは基礎診療の贅沢化に繋がる。
・歳出項目トップ5(2006年)計84%は社会保障関係26%、国債24%、地方交付税交付金18%、公共事業関係費9%、文教及び科学関係費7%。先進国の中では公務員の人件費は低いほうで、公共事業はここ数年で大幅に引き下げられてきている。社会保障費21兆円のうち52%の11兆円が医療費国庫負担だが、対GDPで考えると先進諸国より(アメリカを除いて)低い。つまりすでに小さな政府。点数制度で自由市場にするより価格がコントロールできているのに、絶対額が少ない為医療崩壊が起きている。医療を平等な内容で国民に提供するには公共サービスとするしかなく、その為には税収を上げる他無い。
・ちなみにGDP費内の教育費水準はOECD29ヶ国中トルコと同率の29位。教育は既に混合診療化(基礎が痩せ、富裕層向けリッチサービスが充実する)している。
・将来の名目医療費を現在の医療費額と比べてこんな負担になる、と煽る論調があるが、名目医療費は予測なので無意味。将来の名目GDPとの比を現在のGDP比と較べるなら参考にできる。
・自分の時間を使って調査する人も衆愚なマスコミに流される人も同じ一票なので、基本的に人は政策に関してまじめに考えるインセンティブを持たない。
・消費課税が逆累進的なのは、所得の低い人ほど基礎消費を減らせず、そこに税がかかるから。しかし、社会保障財源と限定して、全国民に一定率で再分配するなら基礎消費への支えとなるため、再分配において基礎消費が高い家計への支えとする事が可能。社会保障の税率が大きい国は比例してその中の消費税の割合が高くなっているので、再分配を逆進的にして差を解消していると考えられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
判りやすい図表 明確な意図
-
社会保障論の課題図書、後期の1冊目。
権丈教授のHPにある文章を素材に、編集された本。
1章と2章で医療と年金を論じ、3章で社会保障を題材に国家を論じる、ダイナミックな1冊。
最終章、特に最後の無凝学問77が秀逸すぎて感動した。
これは権丈教授のHPで読めるはずなので、是非とも読んでみてほしい。
さて、この本の書評を800字で書いて提出せねば…。 -
「医療の不確実性への無理解」、この言葉に衝撃を受けた。
医療関係者は人間である。また、人間は必ず死ぬものである。にも関らず、医療行為を行う人への世間の目の厳しさ。完璧であらねばならないというプレッシャー。労働環境は悪化の一途。
筆者は、社会保障政策から政党を選べ、と言っている。
純粋に、政策評価で次の選挙を考えたい。 -
「医療崩壊」と併せて読むと分かりやすい。
「医療」を現場の視点だけではなく、財政状況など国からの視点も交えて書かれている本。 -
小さな政府、大きな政府どちらが住みやすいかということを考えさせられた。