特命全権大使米欧回覧実記 1 普及版 アメリカ編―現代語訳 1871-1873 (1)

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766414868

作品紹介・あらすじ

サンフランシスコでの熱烈歓迎、大陸横断鉄道での旅、ワシントン、ニューヨーク、ボストン…「何でも見てやろう!」の精神でどん欲に観察し、記録する。

感想・レビュー・書評

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  • こんな本があったのかと、正直びっくり。しかし考えてみればあるのは当たり前か。読みやすく現代語にも訳してくれた方々に感謝。明治の立ち上げに関わった人々の息吹と、当時の世界の様子が手に取るように分かる、こんな良い資料はない。これは、米国編だが、欧州編を是非読みたいと思った。
    内容としては、一段下げになっている考察部分が面白い。見聞きしたことを解釈しているその部分こそ、当時のアメリカの様子の深層を物語るものであろう。ニューヨークのところでは、宗教にも踏み込んで議論しているところがあったり、ボストンのところでは、ヨーロッパとアメリカの成立の違いを取り上げ、スタートの遅さを取り戻そうとした人がアメリカを作っているということを考察していた。

  • (欲しい!)成毛眞(今のところ)オールタイムベスト10

  • 英語版との比較がしたくなった。挿絵が素晴らしい。蒸気機関車の車窓から見た風景もあるのだが、記憶力がいいのだろうか。

  • 学生時代に岩波文庫版を読まされた時は、全然面白くなかったが、いやはや実に面白い。今年の3冊に入る本。

    アメリカの都市の様子を読むと、この当時に、既に、現在の都市の骨格は出来上がっていたと言ってもよいかもしれないと思わされた。ボストンのダウンタウン、ワシントンDCの町並み、ニューヨークのダウンタウン。道路にしても、当時発明されたばかりのアスファルト舗装が、ところどころで試されていたという。大きな違いは、自動車。まだ、馬車の時代。鉄道も、まだ蒸気機関車の時代。でも、道路も線路も、その骨格は、今と大差ないようにも捉えることが出来る。

  •  本書は1871年12月23日に横浜を出発し、1873年9月13日に横浜に帰着するまでの、あしかけ3年、632日間の日時を費やして行われた、いわゆる「岩倉使節団」の記録である「特命全権大使」を現代語訳したものである。
     「岩倉使節団」は岩倉具視を特命全権大使とし、副使に参議・木戸孝允、大蔵卿大久保利通、工部大輔・伊藤博文、外務小輔山口尚芳、書記官・理事官を加え47人という多勢で編成された、最も活発な部分が長期海外に滞在するという世界史でも空前絶後の試みであった。(はじがきより)

     日本の近代は当時の指導者である彼らの一大見学旅行から始まった。というのも、明治維新の政治は(当時)いまだかつてない変革であって、開国したとなれば統一的政治をおこなう必要がある。内政の原則を定めてのち、外交に関する基本方針も定めるためこの特別な使節団派遣は必定であったからだ。

     彼らと一緒に旅行してる気分で読むと大変有益であると同時に、愉快であろう。

  • 本書は、明治政府の重鎮たちが、明治4年から足かけ3年、アメリカ・ヨーロッパを視察した際の日誌/記録である。主なメンバーは、岩倉具視、木戸孝允(桂小五郎)、大久保利通、工部大輔、伊藤博文などである。一般的に岩倉使節団と言われている。しかし、個人的に思うことだが、政府の主要メンバーが3年もの間日本を不在にし、海外を周り政治・経済・科学のあらゆる分野を学ぶというのは凄いことだと思う。
    最終的に彼らが帰国した時に、日本で留守を預っていた西郷隆盛たちと征韓論で意見がぶつかり、後にに西南戦争に発展することになるが、外国で様々なものを見聞きした人物と国内でずっと政治を取っていた人物とでは、モノの考え方が違っても仕方ないように思う。
    後者のほうがより、日本と海外、世界の中の日本という視点で政治ができるのではないかと思う。

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著者プロフィール

1839年(天保10)、肥前国、佐賀藩士の家に生まれる。藩校弘道館、昌平坂学問書に学んだ後、明治新政府に出仕。岩倉使節団に記録編纂係りとして随行し『特命全権大使 米欧回覧実記』5冊を編纂。後、歴史学者として帝國大学等で教鞭をとり、近代的実証史学、古文書学の領域を確立した。1931年(昭和6)没。

「2018年 『現代語縮訳 特命全権大使 米欧回覧実記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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