企業 契約 金融構造

制作 : 鳥居 昭夫 
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766417173

感想・レビュー・書評

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  •  「組織理論において長く課題となっていた問題に、企業境界の決定問題~どのような取引を企業内で行い,どのような取引を市場で行うか、という問題」(本書P.8)があります。言い換えると、ある2つの企業が、独立した企業として契約を結んで取引するのと、合併して1つの企業となって内部取引するのと、どちらが良いのか?という問題です。
      新古典派理論では、「企業は完全に効率的な『ブラック・ボックス』として、扱われ」(本書P.21)、「プリンシパル・エージェント理論」もコースやウィリアムソンの「取引費用理論」もこの問いに答えることができませんでした。
     本書は、およそ経済取引において、全ての起こりうる状況を網羅し何が起こっても対処しうる完璧な契約を結ぶことは本来不可能である、という前提で構築された不完備契約理論の古典であり、「契約の不完備性」の下では、「所有権=残余コントロール権」が企業の境界問題に決定的役割を果たすことを示し、この問題に初めて一つの回答を与えました。
     第II部「金融構造を理解する」では,負債の役割、現行の破産手続きの問題点,株式の議決権などをどのように設計すべきかという問題を扱っています。
     本書で使われる数学は、「第2章 2 統合のコストと利益についてのモデル分析」で微分が使われるのを除き、(多少確率や積分がありますが)殆ど中学レベルですが、きちんと理解するには、言葉で説明してある部分を式・図等に直して行く作業が必要かと思われます。本書の前に、
    柳川範之(2000)『契約と組織の経済学』http://www.amazon.co.jp/%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%81%A8%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E6%9F%B3%E5%B7%9D-%E7%AF%84%E4%B9%8B/dp/4492312722  の該当箇所を読むと理解が早まります。
    『比較制度分析・入門』(中林 真幸、 石黒 真吾偏)の第6章 契約の経済理論(2) は、「第2章 2 統合のコストと利益についてのモデル分析」の解説で、方程式と不等式だけのみで関係特殊的投資の無い場合から順番にモデルを組んでいるので、見通しが良いです。

    安田先生の本書の解説
    http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50655859.html 
    伊藤先生の特別寄稿
    http://www.keio-up.co.jp/kup/sp/kykk/ 
     また、90年代末に不完備契約の理論的な基礎付けが問題となりますが、これについては、安田先生が以下↓のブログポストで、
    http://blog.livedoor.jp/yagena/archives/50026629.html  
    不完備性の原因の一つである、予測不可能性(記述不可能性)は、当事者がリスク回避的であれば、解決できる(メカニズムを設計できる)ことを、平易に(四則演算レベルで)解説した論文↓
    Maskin (2002) "On indescribable contingencies and incompete contracts" EER 46, 725-33
    http://scholar.harvard.edu/files/maskin/files/on_indescribable_contingencies_and_incomplete_contracts_e._maskin.pdf 
    を中心に、解説されています。

  • 自分にはレベルが高すぎた。抽象的な話ばかりでわからなかった

  • なにこれすごい、評判のとおり名著中の名著。

    契約理論のエッセンスがこの1冊に易しくコンパクトにまとまっている。
    これを読まずに企業やガバナンスについて語ることはほとんど不可能、というのもまったく大げさじゃなく、本当に示唆に富む理論ばかり。
    これを読んでしまうと、会計士や弁護士の言うコーポレート・ガバナンスって一体何だったんだと思えてくる。
    「現代の古典」「必読文献」という賛辞が贈られるのも納得。


    こういう本が翻訳されるまで15年もかかってしまうというのは大きな損失だと思う。

  • Oliver Hart, "Firms, Contracts, and Financial Structure"の邦訳。

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