シモーヌ・ヴェイユの詩学

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766417289

作品紹介・あらすじ

本書では、美学・詩学の視点からヴェイユの思想を体系的に論じ、その真髄を明らかにする。自らの「工場生活の経験」(1934‐35年)を遠景にもちつつ発語された「労働者に必要なのは、パンでもバターでもなく、美であり、詩である」というヴェイユの言葉は、社会科学と美学・詩学との連続性を問うものであり、本書は、「見える世界」が極度に重んじられる現代にあって、「見えない世界」が根をもってはじめて「見える世界」が豊かに花開くことを提示する。

感想・レビュー・書評

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  • ヴェイユは若い日にはデカルトに傾倒し、その後はキリスト教プラトン主義者」ともいうべき立場だったとのこと。その詩的な文章には若い日に惹かれたものです。プラトンについて触れる部分などは本当に美しいです。そして彼女の詩的な叙述における詩と哲学の交差点において表わされるものが、「十字架上のキリスト」であるというということは私にとっても非常に共鳴するところです。<しかし、もし魂が神を愛することをやめないのであれば、いかなる答えにも優る「神の声」として「沈黙」を聴く。魂はこのとき、「この世での神の不在」は「天にいます
    神のこの世での隠れたあらわれ」であることを知る。>(P115)は凄い言葉でした。ヴァレリーが彼女の文章を「教育的・・・」と批判的に評したとのことが、本書の中で書かれていますが・・・。ヴェイユが、最も惹かれたのがデカルトであるとして理由が書かれていました。それは「デカルトが感覚を信じることを峻拒し、デカルトはただ理性のみを宛てにし、デカルトの世界体系はア・プリオリな方法と言われるものの勝利である。」[あらゆる精神のうちに偉大な天才を見出すのみならず、もっとも凡庸な思惟のうちにも人間の精神を見出す」などと書かれています。途中で5つの映画の評論がヴェイユの思想の関連から紹介されているものも楽しく読みました。「千と千尋の神隠し」の象徴するものの解説の中で、千尋が親が豚になることにより、自ら仕事をするようになって成長していくことから、聴衆にとって「美しく」見えるようになっていく!考えたこともありませんでした。このほかゴダールの映画「女と男のいる舗道」、「アメリ」、「ライフ・イズ・ビューティフル」、「ガイサンシーとその姉妹たち」などの解説も納得!でした。

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プロフィール

哲学/芸術批評。著書に『シモーヌ・ヴェイユの詩学』、訳書に『前キリスト教的直観』、ヴェトー『シモーヌ・ヴェイユの哲学』、編著に『現代詩手帖特集版 シモーヌ・ヴェイユ』など。

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