日本の資本主義とフクシマ―制度の失敗とダイナミック・ケイパビリティ

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  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766419917

作品紹介・あらすじ

世界は原発危機から何を学ぶべきか。

感想・レビュー・書評

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  • <内容>
    本書は経営学におけるケイパビリティ論に基づき、なぜ「福島第一原発事故」が発生したかを論じている。まずケイパビリティ論に基づき、ア世界関数を定義し以前の経験から得られるソースから学習する主体としてアクター定義する。
     加えて様々な資料を用いて、電力会社・政府・原子力技術者による原子力村は「物理的に安全な原子力発電」をおこなうケイパビリティに欠如しており、「社会的に安心とされる発電」をおこなうため、障害を排除するケイパビリティのみを増やした事で今回の大惨事を引き起こしたとする。

    <感想>
    電力・エネルギー論のなかで、もっとも優れた作品と断言できる。本書は多くの文献から得られた知見と、それを経営学の理論とを接合させることで、日本の資本主義のあり方に再考を促している。まさに、知的営為の手本である作品であるし、今後の社会科学はこのように「現実問題に対してどう政策提言・問題提起」をスマートにおこなうかが問われているといえる。

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著者プロフィール

慶應義塾大学商学部教授。ケンブリッジ大学企業研究センター(イギリス)招聘フェロー。南開大学商学院(中国)訪問研究員。2010-2011年ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネススクール(イギリス)アカデミック・ビジター、2008年-2011年仮想制度研究所(VCASI)フェローなどを歴任。専攻は比較制度分析、戦略経営論、会社と持続可能性。著書に『経営原論』(培風館、2012年)、『組織の実学』(NTT出版、2008年)、『戦略の実学』(NTT出版、2006年)、『企業の境界と組織アーキテクチャ』(NTT出版、2006年)など。訳書にD.ティース『ダイナミック・ケイパビリティと経営戦略』(共訳、ダイヤモンド社、2012年近刊)、R.ラングロワ『消えゆく手』(慶應義塾大学出版会、2011年)、青木昌彦『コーポレーションの進化多様性』(NTT出版、2011年)などがある。


「2012年 『日本の資本主義とフクシマ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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