ワークショップデザイン論―創ることで学ぶ

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766420388

作品紹介・あらすじ

「ワークショップ」に携わる全ての人に贈る一冊。

企業や学校・文化施設など、近年さまざまな場で活用される「学びと創造の技法」=ワークショップ。このワークショップとは、どのようにデザインされるものなのか、またその活動を持続可能なものとするにはどうすればいいのか。本書ではワークショップのデザイン過程を「企画―運営―評価」というサイクルで捉え、それぞれの段階を、理論をもとにわかりやすく解説。ワークショップを企画し運営する人のための必携書。

感想・レビュー・書評

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  • ワークショップ企画からファシリテーションのポイントまで、自分の企画時に教科書のように役立った本。

  • 第2版が出ているようだ。ワークショップを企画し,運営し,評価する手続きにそった解説。ワークショップをデザインするという営みの解説。授業をワークショップ的にすることが多く,授業以外でも自分だけ話すスタイルが苦痛になっているのでワークショップ型にすることが多いが,何のためのワークショップなのかは常に考えておく必要があるだろう。ワークショップをする必要がないのにしてしまうとするほうも参加する方も疲れてしまう。デールの三角錐やコルブの経験学習理論など割と学術的な情報も含まれている。

  • WSの基本構造:導入→知る活動→創る活動→まとめ

    <WSの企画>
    ①WSのコンセプトを生成する
    コンセプトの形式は「〇〇を創ることで、〇〇を学ぶ」
    活動目標と学習目標が結びついていることが重要
    コンセプトを生成する際の順序は準備→生成→検証

    ②WSのプログラムを作成する
    1. 創る活動からプログラムを作成する
    「楽しさと葛藤」「自由と制約」「日常と非日常」の三つの観点でバランスをとる
    2. 創る活動で必要な情報を踏まえ、知る活動のプログラムを作成する
    知る活動の形式は講義形式だけでなく観察なども選択肢となる
    3. 導入を作成する
    導入は一般的に「イントロダクション」「アイスブレイク」「意見共有」で構成
    4. まとめを作成する
    まとめは一般的に「プレゼンテーション」「リフレクション」「ラップアップ」で構成

  • 発想する上で、情報を整理する上で、ワークショップを使っている。
    課題意識:
    ・ワークショップの中で情報を引き出しきれない
    ・議論の統制が取れなくなってしまう

    ■ワークショップとは
    創ることで学ぶ活動。創ることを目的として学びを得るワークショップと、学ぶことに主眼があり創ることを方法とするワークショップがある。

    ■ワークショップを企画する
    ワークショップのコンセプトの形式:
    「〇〇を創る(活動目標)ことで、〇〇を学ぶ(学習目標)」
    活動目標と学習目標が相互に関連していることが重要

    ■ファシリテーターの基本姿勢
    「経験学習理論の祖である、デューイの教師論」
    2つの態度
    1.アーティストとしての教師。学習場面をよく観察し、その場で起こる偶然の出来事を拾い上げながら授業に活かす。
    2.哲学的態度を持った教師。学習者の探究心をくすぐる新たな問いを立て、授業計画を立案する。
    どちらにも共通して、教材を画一的に与えるのではなく、学習者に対する観察を通じて即興的に授業を工夫することを求める

    「集団の創造性を専門とする、ソーヤーの教師論」
    学習者のコラボレーションによる創造的活動を即興的に支援していく姿勢が重要。教師には統制の取れた即興が求められる。統制のとれた即興とは、事前に計画されたカリキュラムと、当日の即興的な活動の展開を含んだ動的なプロセスのこと。

  •  「ワークショップ」に携わる人にとって必読の書である。
     この本を読んだからと行ってワークショップの実践やデザインができる訳ではない。ハウツーではないからだ。ワークショップがどのような知見で構成されているのかについて丹念に調査されまとめられたものである。
     しごくあたり前のことが淡々と並べられていて驚きはないのだがワークショップというものがこれらの積み重ねであのダイナミックさが出るというところが興味深いところである。

  • ・導入→知る活動→創る活動→まとめ
    ・何を創ることで(活動目標)、何を学ぶか(学習目標)
    ・実践共同体育成の7原則
    ①進化を前提とした設計で行う
    ②内部と外部それぞれの視点で取り入れる
    ③様々なレベルの参加を推奨する
    ④公私それぞれのモミュニティ空間をつくる
    ⑤価値に焦点を当てる
    ⑥親近感と刺激を組み合わせる
    ⑦共同体のリズムを生み出す

  • 1,2章が参考になる。

  •  「三人寄れば文殊の知恵」とはよくいったものだ。創造的な活動を一人で行うには限界があり、同じテーマや問題意識を他者と共有し情報交換することで、さらなるアイデアの飛躍が望める。ワークショップを行うことで、ワークショップという行為そのものが「学び」となり、参加者全員が1つの集合体として、個人ではなしえない多様性としての「創造力」も高まる。
     本書は、ワークショップとは何か、何を目的とするのかといった理念的な事項から、ワークショップの企画・運営に関する細かいノウハウまで、事細かに記されている。

  • 本書は、大半がワークショップ実践者が目を通す一冊だと思われるが、そんじょそこらにあるハウツー本とはひと味違う、単なる表層的な方法論だけにとらわれない、経験学習の系譜とワークショップのデザインモデルが深い洞察とともに非常によくまとまっている一冊。

    ワークショップ企画の要件として挙げられているのは、次の通り。

    1. 楽しさ(フロー状態を作り、感情や思考に揺さぶりを起こす)
    2. 葛藤と矛盾(やや困難な内容)
    3. リフレクション
    4. 実践者にとっての実験
    5. 余白のある内容

    「フロー状態」とは、そうでない時に比べて創造性を発揮しやすく、夢中になって感情や思考を揺さぶられる経験は後になって振り返るきかっけになるらしい。

    参加者にとって日常に意味をもたらす優れたワークショップとは。

    会議も準備9割で決まると言われるように、事前に本書に目を通してしっかり準備して、後は素敵な「余白」の空間を楽しめるようになりたい。

  • ワークショップのデザインで、新人とベテランは何が違うのか、
    どこの気をつけたらよいのか、
    興味深く読めました。

    誰でも、ワークショップって簡単に開催できますし、
    楽しければいいというようなものも少なからずありますが、
    学びや創造的な行為を生じさせるためには、
    デザインをしっかり考える必要があります。

    人々がワークに夢中になれるような、
    フロー体験や、グループ・フローをどう生み出していくのかは、
    デザインや準備にかかってきますし、その場でのファシリテーションも大きく関わってきます。

    教育や心理学の理論などももとにしながら、
    実際のワークショップ例も分析して、
    ワークショップの設計や評価について述べていて、ワークショップを開催したいと考えている方は、
    是非一読されることをおすすめします。

    読みやすいですし、
    企画、集客、準備、進行、振り返りと、
    様々な観点からポイントを指摘しています。

    “ベテランは、デザイン時に緻密なプランを決定することはせず、保留や選択の余地を残した「柔らかな決定」を行っていた。”

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著者プロフィール

東京大学大学院情報学環 教授
1967年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。博士(人間科学)。茨城大学講師、助教授を経て2000年東京大学大学院情報学環准教授。2014年より現職。専門は情報化社会における学習環境のデザイン。開発研究とフィールドワークを連携させた研究を展開している。著書に『ワークショップデザイン論』(共著、慶應義塾大学出版会)、『学習環境のイノベーション』(東京大学出版会)など。

「2022年 『活躍する若手社員をどう育てるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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