近代日本と福澤諭吉

著者 :
制作 : 小室 正紀 
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766420487

作品紹介・あらすじ

待望の慶應オフィシャル「福澤諭吉」入門 !

▼近代日本の成立に多大な貢献を果たした福澤諭吉の生涯とその思想を、「男女観」「教育思想」「外交論」等多彩な切り口から、それぞれの専門家が分かりやすく解説する。福澤諭吉に初めてふれる初学者から関連著作を読みこんだ勉強家まで、読みごたえ充分の入門書。
▼福澤諭吉が抱いていた思想を理解することはもちろん、「なぜ福澤諭吉が一万円札の肖像でありつづけるのか?」「なぜ経済界で活躍する慶應義塾出身者が多いのか?」といった素朴な疑問が解消できる一冊。

感想・レビュー・書評

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  •  近年、各私立大学において自学史教育の重要性が叫ばれている。本書も、慶應義塾大学という日本における最古の私学における自学史教育の一環に位置づけられた「近代日本と福沢諭吉」と題する講義の副産物である。福沢諭吉が慶應義塾の創設者であることは、慶應義塾関係者はもとより誰もが知るところであるが、「慶應に学びながら、福沢諭吉が何者であるか、全く意識せずに卒業する学生が極めて多くなってきた」(あとがき)。慶應義塾関係者ですらそうであるのだから、ほかは推して知るべし、である。したがって、一般の人々にとっても近代日本最大の知識人と言って良い福沢の多面的な活動、その思想内容、そして近代日本にどのように位置づけられるべきなのかについて学ぶべきことは多い。本書はその福沢諭吉について啓蒙を試みたものである。
     目次を概観するとわかるように、福沢の医学観や法文化との関わりなど、類書にはあまり見られない視角からの福沢も積極的に論じられており、本書の特徴を形成している。逆に、宗教論や福沢が主に言論活動を展開した『時事新報』の言説分析などは章を立てて論じられてはいない。「まえがき」にもあるように、取り上げられている各分野においても重要なトピックスすべてに触れられているわけではない。また福沢諭吉の伝記・評伝ではないので、福沢の年譜的位置付けに明るくない読者にとっては、ややハードルが高い部分がなきにしもあらず、ではある。
     しかしながら、近代日本における福沢の思想や行動を多面的に位置づけようとする第一次的接近という意味で本書は、学生や一般読者はもちろん、広く研究者にとっても示唆的な内容に富むものとなっている。

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著者プロフィール

慶應義塾大学名誉教授。
1973年慶應義塾大学経済学部卒業、1978年同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。
主な編著書に『草莽の経済思想』(御茶の水書房、1999)、『日本の経済思想四百年』(共著、日本経済評論社、1990)、『福沢諭吉書簡集』(全9巻、共編、岩波書店、2001~2003)、『福沢諭吉著作集』第6巻(編著、慶應義塾大学出版会、2003)、『福沢諭吉の手紙』(共編、岩波文庫、2004)、『慶應義塾史事典』(慶應義塾、2008)・『福沢諭吉事典』(慶應義塾、2010)各編集委員、『近代日本と経済学』(共編著、慶應義塾大学出版会、2015)など。

「2016年 『幕藩制転換期の経済思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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