確率の出現

  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766421033

作品紹介・あらすじ

イアン・ハッキングの出世作、待望の邦訳!

▼科学史家・科学哲学者として高名な著者が、統計的推論(確率論)の考え方がどのように起こり広まったかを歴史的に説きおこした、学界への出世作(Ian Hacking, <i>The Emergence of Probability</i>, Cambridge University Press, 1975; 2nd ed., 2006)の待望の翻訳である。

▼該博で知られるイアン・ハッキングが、確率論史への新たな挑戦として問うた本書は、確率の歴史やその社会的影響に関する研究のブームへの火付け役となった。本書では確率の出現をパスカル等確率論史で知られた幾人かの天才達の功績とするのではなく、フーコーの考古学のスタイルを用い、1660年前後の10年間に、証拠などの関連概念の変化に伴って起こった歴史的必然として、医学などとの関わりの深いその前史から鮮やかに描き出す。

▼確率のもつ二元性、確率が出現して初めて可能となった帰納に対する懐疑、意思決定理論、リスクと確率など、現在まで続く論点の起源を示し、確率とは何か、という本質に迫っていく記述は、推理小説のようなスリルに満ちている。

感想・レビュー・書評

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  • 医学部分館2階書架 : 417.1/HAC : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170213

  • 【書誌情報】
    『確率の出現』
    原題:The Emergence of Probability
    イアン・ハッキング 著
    広田 すみれ 訳
    森元 良太 訳
    四六判/上製/404頁
    初版年月日:2013/12/28
    ISBN:978-4-7664-2103-3(4-7664-2103-5)
    Cコード:C3040
    定価 4,180円(本体 3,800円)

    https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766421033/

    【目次】
    第一章 欠落していた考え
    第二章 二元性
    第三章 臆見
    第四章 証拠
    第五章 しるし
    第六章 最初の計算
    第七章 ロアネーズ・サークル……(一六五四年)
    第八章 偉大な意思決定……(一六五八年?)
    第九章 思考法……(一六六二年)
    第一〇章 確率と法……(一六六五年)
    第一一章 期待値……(一六五七年)
    第一二章 政治算術……(一六六二年)
    第一三章 年金……(一六七一年)
    第一四章 等可能性……(一六七八年)
    第一五章 帰納論理
    第一六章 推測法……(一六九二年(?)、一七一三年出版)
    第一七章 初めての極限定理
    第一八章 デザイン
    第一九章 帰納……(一七三七年)

    二〇〇六年版序論 確率的推論の考古学
      一九七五年以後の確率と統計の歴史 / 考古学 / 現在の歴史 /確率〔出現〕前後の違い / 革命ではない / 断絶と連続性について /先駆けについて / 医術と法 / 省略の罪 / 帰納 / 近代的な意味での事実 /最後にもう一度、確率の二元性と帰納の問題

    訳者あとがき
    参考文献
    索引

  • 確率・統計学の数学的な理論の確立は16世紀頃のカルダノ、パスカルおよびフェルマーによる。

    昔から不思議に思っていたのだけれど、なぜ古代ギリシアやローマ(ローマ時代に新しい数学的な学問は発生しにくかったのはある程度理解できるけれど)で確率という概念が生まれなかったのか?

    実際にカルダノはギャンブラーであったらしく、その中で確率という概念を構築していったらしい。
    ギャンブルも捨てたもんじゃないですね。

    ここらへんの疑問をすっきり解決してくれるのかな、と思って読んでみたけれどあまり解決はしなかった。
    内容もやや哲学的であり、読んでいても何を言っているのかというところも少なくなかった。

    もう少し数学的な内容を期待していただけに少し残念。

  • 統計的推論(確率論)の歴史。

  • 確率の概念の誕生の歴史。
    著者イアン・ハッキングの確率の歴史についての見方はこんな感じか。
    確率という概念は17世紀中ごろのある特定の時期に誕生したが、何もないところから突然現れたわけではないし、だれか一人の天才の力によって現れたわけではない。そこには或る理由・必然性があった。その理由を明らかにするのが歴史(学)である。ではその理由とは何かと言えば、知識の確実性に関する認識論の変遷であり、「証拠」の位置づけの変化であった。それに伴ってprobabilityの意味も近代的な意味に変化し、今で言う「確率」の概念が誕生した。

  • これ原著で読んだらまったくわからなかっただろうな…。訳書が出てくれて本当によかった。

  • ちょっとターゲットがわからない本だった。
    確率自体は個人的にとても興味があるので、期待していた分、残念だったのかもしれない。
    素人向けにはまとめられてないので、その点は注意。

  • 1975年の本の改訂版?
    前半のところはなにがなにやらさっぱりわからなかった。久しぶりに理解できない本にぶつかった。最後までは一応読んだけど。

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著者プロフィール

トロント大学教授。
1936年カナダ生まれ。専門は科学哲学。ブリティッシュコロンビア大学卒業。ケンブリッジ大学にて博士号取得。ブリティッシュコロンビア大学准教授、スタンフォード大学教授などを経て1991年より現職。2001~2006年にはコレージュ・ド・フランス教授も務めた。
日本では以下の翻訳が出ている。『知の歴史学』(岩波書店、2012年)、『何が社会的に構成されるのか』(岩波書店、2006年)、『偶然を飼いならす――統計学と第二次科学革命』(木鐸社、1999年)、『記憶を書きかえる――多重人格と心のメカニズム』(早川書房、1998年)、『言語はなぜ哲学の問題になるのか』(勁草書房、1989年)、『表現と介入――ボルヘス的幻想と新ベーコン主義』(産業図書、1986年)など。

「2013年 『確率の出現』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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