ヨーロッパの中世

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766422061

作品紹介・あらすじ

近現代に結実する、豊穣なる中世

―― 中世とは真に暗黒の時代だったのか。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権」「都市」「国民」「科学」など、ヨーロッパの基底となるキーワードから読み解く。

▼ヨーロッパ史を学び直したい人のために。

中世ヨーロッパは確かに暗黒の時代であった。しかし、近代において飛躍するヨーロッパを育んだ豊かな苗床の時代であったともいえる。
「ローマ」「キリスト教」「世俗権(王権・帝権)「都市」「国民」「科学」などのキーワードから中世ヨーロッパ史を読み解き、近代の「人間」の時代へと誘う。

▼中世を読み解くための6つのキーワード

【ローマ】中世人は模範として仰ぎ見た。政治的にも文化的にも深い刻印を残したが、中世は古代ローマの繁栄を1000年以上も超えられなかった。
【キリスト教】中世人の心を絶対的な規範として律した。人々はそのメッセージを遵守し、理想に殉じたが、時に軽んじ、自らの利益を優先した。
【世俗権】君主個人の能力やカリスマに基づいたが、教会との闘争を経て宗教性を減じ、官僚制と軍を備えた近代国家へと脱皮した。
【都市】西欧の復活にともない、社会全体の成長のエンジンとなった。生活を向上させるだけでなく、新興階層を出現させ、新しい文化を生み出した。
【国民】帝国でもなく宗教でもない、ヨーロッパが生み出した新しい統合の絆である。現在に至るまで世界を支配している。
【科学】近現代におけるヨーロッパの繁栄の源泉となった。技術を手がかりに、理論を実験や観測と結びつけ、新しい合理的な世界観を生み出した。
・・・そして【人間】へ・・・

感想・レビュー・書評

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  • 中世ヨーロッパを理解するのに必要な事柄を章立てて述べていく。この本の良いところは、中世の実態を解説しながら、それが近世や現代のヨーロッパへとつながっていくあり方なのだと意識させてくれるところだろう。ヨーロッパを理解する上でも価値ある内容。元々、大学の通信教育用のテキストだったということもあり、記述は教科書然としている。ひとつ残念なのは、参考文献欄が無いこと。つまり入門者がこの本で興味を持った分野について、さらに知識を深めようと参考文献欄から別の文献を拾うという次の一歩を踏み出すための案内にはならないのだ。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:230.4//Ka59

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著者プロフィール

略 歴:1957年生まれ。1989年3月慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。慶應義塾大学文学部教授。
専 攻:ヨーロッパ中世史
主要著作:『断絶と新生』(編、慶應義塾大学出版会、2016年)、『自然を前にした人間の哲学――古代から近代にかけての12の問いかけ』(編、慶應義塾大学出版会、2020年)、ジャン・ルクレール『修道院文化入門――学問への愛と神への希求』(共訳、知泉書館、2004年)、「ヴェッティヌスの幻視 Visio Wettiniについて」『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』26、1994年など

「2022年 『新版 ヨーロッパの中世』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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