小さな倫理学入門 (慶應義塾大学三田哲学会叢書 ars incognita)

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766422764

作品紹介・あらすじ

人間の弱さや卑しさに眼差しをむける小さくて深い倫理学の入門書

▼愛とは何か、正義とは何か、欲望とは何か、なぜ過去の記憶に悩まされるのか、偶然性とは何か、人生に意味はあるのか、そして〈私〉とは何か。身近な物事を通して、人間の弱さや卑しさに眼差しをむける、倫理学の入門書。

三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。
シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。
ラテン語で「未知の技法」を意味する。
単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。

感想・レビュー・書評

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  • 倫理学に関する小論考集。20のトピックが扱われている。深く共感する箇所もあれば、理解の及ばない箇所もある。トピックを通底しているのは、倫理学は形の定まらないやわらかい要素を持って人を包み込むということだろうか。

  • 人生論が欲しい人は読めばいいし、そうでない人は読まなくていい。

  • 2021.66
    ・人間は欲望を自分で作れず、他人からこっそり盗んでいる。
    ・答えがないからこそ、人生は生きるに値する。
    ・非日常こそが規範性の起源。

  • .

  • 弱さや迷いを抱えつつ、生をどう考えていくかを専門的哲学をベースに平易に解説した本

  • ツイッターのタイムラインにちょくちょく現れていたのでそんなに評判なのだろうかと思って買って読んでみた。

  • 哲学

  • 何のために生まれて何をして生きるのか。倫理学は人間とは何か、なぜ生きるのかということを考える学問。要は哲学。

    負けず嫌いな人は欲望に関する真面目な勉強家。妬みも攻撃性もない人は欲望を持ちにくい人。嫉妬とは他者から欲望を学習する機会。

    倫理で重要なのは隠すべき事と顕にすべきこととを明確に区別する事。

    呪いと怨みに生きる人は無時間的な時間を生きている。反復の中で退屈する事がない。
    記憶とは人間を苦しめる為だけに存在しているとは考えにくい。記憶は過去を永遠に後悔する為の苦痛の道具?

    何故自分の考えは正しいと、かなり無根拠に主張出来るのか?目立つ事、人の上に立つ事、権力、勝負の好きな人に多い。

    ブッダの言う様に、生老病死を四苦として受け止めるのが人生なら、人生は修行の過程であって快楽や幸福を求めるためだけにあるというのは、環境に恵まれた者の甘えや奢りでしかない様に思う。

    人生とは事実の積み上げから構成されるというよりも「なぜ?」と問われて答え=理由が与えられる様な出来事から出来上がっている。過去と未来との絆となる物語が示され、人間的行為の連鎖が見られる時「理由」となり得る。

    正義の味方とは…ロールズの正義論は裁くためにあるのではなく、育てるためにある。互恵性。互酬性とは異なる。

  • ぶっちゃけ倫理学んだことない人は読むの大変…倫理学の入門書というよりは著者の考え方のまとめに近いかも。

  • 倫理学の入門書として本書をとったが、読みやすい文量にも関わらず入門的よりも寧ろ非常に深い思索を流す本であった。中でも最終章の「<私>とは何か」については、借り物としての客観的な<私>への意識から、子どもの生誕という眼前に迫り来るリアリティに直面したことにより、筆者が演劇の客席から舞台に突然放り込まれた経験が書かれており、この眼前性又は真正性は教育においても非常に重要な示唆があると感じた。

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著者プロフィール

山内 志朗(やまうち・しろう):1957年山形県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は哲学。著書に『天使の記号学』『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(以上、岩波書店)、『ライプニッツ――なぜ私は世界にひとりしかいないのか』『〈つまずき〉のなかの哲学』(以上、日本放送出版協会)、『普遍論争――近代の源流としての』(平凡社ライブラリー)など多数。共編著に『世界哲学史(全8巻、別巻1)』(ちくま新書)などがある。

「2023年 『中世哲学入門 存在の海をめぐる思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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