戦後アジア・ヨーロッパ関係史:冷戦・脱植民地化・地域主義 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

著者 :
制作 : 細谷 雄一 
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766422894

作品紹介・あらすじ

▼戦後国際政治史を問い直す。

▼これまでの戦後国際政治史における「アメリカ中心の視点」を相対化し、冷戦期の四つの分断国家(ドイツ・中国・朝鮮半島・インドシナ)の誕生、脱植民地化以降のアジア・ヨーロッパ諸国の水平的な関係への移行、そして多極化・地域統合から地域間関係への萌芽、という変化を読み解く試み。

感想・レビュー・書評

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  •  2015年刊、若手〜中堅研究者の論文集。複数の論文から感じるのが、戦後直後の英仏は世界大国、植民地帝国という自意識をなお有していたこと。一方、特に東南アジアでは脱植民地化と冷戦の論理が交錯することになる。宮下は、仏がインドシナの復興に充てるための対日賠償を試みたことや日本の再軍備を警戒したことを指摘。水本は、英のSEATO参加(=在東南アジア英軍の参加)、ラオス内戦介入可能性をめぐる米とアジアのコモンウェルス諸国の間での英の股裂き状態、そして英軍の東南アジア撤退決定までを「帝国の終焉と同盟の解体」として描写する。
     その他、東西ドイツと南北朝鮮を比較する山本論文、日欧の安全保障関係を見る鶴岡論文が興味深かった。前者については、両者の違いは主に朝鮮戦争の存在と、北朝鮮の統一願望から来ているようだ。後者については、冷戦中はイラン米大使館人質事件とINF問題への関与、そして冷戦後は日欧の国際的な安全保障における役割拡大に伴う関係強化、を指摘する。

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著者プロフィール

慶應義塾大学法学部教授、東京財団政策研究所 研究主幹。
1971 年生まれ、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。国際政治、イギリス外交史。主要著作:『外交による平和──アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治』(有斐閣、2005 年)、『迷走するイギリス── EU 離脱と欧州の危機』(慶應義塾大学出版会、2016 年)ほか。

「2024年 『民主主義は甦るのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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