政治思想史入門

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  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766423365

作品紹介・あらすじ

▼ホメロスからルソーまで
批判的思考を鍛える新しいテキスト

古代ギリシア、プラトンから近代までのさまざまな思想家の理論や学説に言及し、政治思想の多様な観念とそれらの歴史的展開について論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 古代ギリシャからルソーを扱う政治思想の教科書。現代の政治理論が登場しないとはいえ、各章はいずれも濃密な内容になっている。全体の構成としては、第一章で本書全体を通して登場するカテゴリー、「コスモス」、「運命」、「時間」、「法」についての説明が加えられる。第二章~第四章では、まず古代ギリシア世界、そしてプラトン、アリストテレスの思想が検討される。第五章「ワープ!」で、タイトル通り、古代ローマからヨーロッパ中世の思想の要点が概観される。その後、第六章~第九章で、マキアヴェリ、ホッブス、ロック、ルソーが順次検討されていく。個人的には、ルソーの解釈については異論がある。ルソーが『社会契約論』で構想した国家においては、息子が戦争で死ねばそれに喜ぶような母親がいるだろう。そうでなければ、人間性を変えるほどの力量を持った立法者は必要ないのではなかろうか。――とはいえ、このように批判的に本書を吟味できるのも、教科書にしては珍しく膨大な量の脚注がついているおかげである。そのため、どのタイプの研究が解釈の基礎になっているのかがよく分かるようになっている。

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著者プロフィール

1966年生まれ。1989年慶應義塾大学経済学部卒業、1996年ケンブリッジ大学Ph.D取得。現在、慶應義塾大学法学部政治学科教授。専攻は近代政治思想史、フランス自由主義思想。主要著作に、『コンスタンの思想世界 ―― アンビヴァレンスのなかの自由・政治・完成可能性』(創文社、2009年)、「コンスタン ―― 立憲主義の基礎づけを求めて」宇野重規編『岩波講座 政治哲学3 近代の変容』(岩波書店、2014年)、「ルソーと東アジアのデモクラシーの未来」『法学研究』(85巻6号、2012年)、“Nineteenth Century French Liberalism: Its Belated Victory and New Challenges”, Keio Journal of Politics, no. 13, 2008、「ケンブリッジ・パラダイムの批判的継承の可能性に関する一考察(一・二)『法学研究』(72巻11号、73巻3号、1999―2000年)、「自由のパラドックス ―― ルソー・コンスタン・バーリン」『思想』(883号、1998年)、など。

「2016年 『政治思想史入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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