歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

制作 : ジャレド・ダイアモンド  Jared Diamond  ジェイムズ・A・ロビンソン  James A. Robinson  小坂 恵理 
  • 慶應義塾大学出版会
3.06
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766425192

感想・レビュー・書評

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  • 歴史にIFを持ち込む、ジャレド・ダイアモンド編による一冊。異なる分野のスペシャリストが、それぞれの分野の「歴史」について考察する。

    「歴史にIFはない」という正しいのか間違っているのか、よくわからない(根拠が明確でない)「縛り」を取っ払い、仮定をして実験してみる、とだけ聞くと「本能寺の変がなかったらどうなっていたのか」といった感じで正直うさんくさい。ただこの本で繰り広げられていることは、あらん限りの数値を用いて、考えられる限りの変数を持ち込んでいて、なかなか説得力がある。

    たとえば「奴隷貿易はアフリカにどのような影響を残したのか」という章では、結果「XXという結果を残した」という結論だけを重視せず、その結論を得るまでの過程、プロセスをいかにして組み立てたのか、因果関係と相違関係をどのようにして見分けたのか、得られた結果をどのように理解するべきなのか、に多くのページが割かれている。

    同様の内容が「仮に」新聞に掲載されたとすると、『今も残る帝国主義の爪痕』といったタイトルに、奴隷貿易がもたらした結果だけが記事として添えられ、貧しいアフリカの農民の写真も載せられていることだろう。(それが「なんとなく正しいあり方」であると感じるのはあまりに素朴だと思う)

    そういった素朴さと無縁の世界が覗けてとてもよかった。

    https://twitter.com/prigt23/status/1018133148100542464

  • ジャレド・ダイアモンドやダン・アセモグルなど、世界の知性と呼ばれる方々が、社会科学の領域で、自然実験の検証を行うもの。ドミニカとハイチは同じ島の東西に位置しているのに、どうしてドミニカは裕福で配置は貧困国から抜け出せないのか。フランス革命とナポレオン戦争の結果、フランスが支配した地域は他の地域と比べ発展しているというのはなぜか、など、人為的に「実験」できない事象を丁寧に比較して分析する手法。世界をみるのにこんなやり方がるのかと新鮮な驚き。

  • 比較研究法で、歴史を分析する。論文のような本なので、一般人よりも研究者向けかもしれない。私は研究者ではないので、内容が難しすぎてついていけなかった。まあでも、比較◯◯学といった分野はこのような研究をしているのだろうか。人々の営みを歴史的出来事や地政学的なこと、人の心理も含めて、統計的に分析するのは、よく分からないが、人類の未来をよくするためには重要な学問のように思えた。社会学を学ぼうとしている学生には、入門書として良いのではないだろうか。本書をきっかけに、さらに深く学べばいいような気がする。

  • 歴史でも物理と同じように実験出来るのか?
    条件さえ整えばある程度は可能だし、上手くすればかなり比較により事実が明らかになるようだ。
    奴隷の輸出が多い地域ほど発展が阻害されているという事実は、古い過去の事象がいまだに大きな影響を及ぼすという事例として広く認識されるべきであろう。

  • 比較すること、なんだけれど。人の肩に乗って遠くを見る話し。

著者プロフィール

ジャレド・ダイアモンド
1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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