日本の水産資源管理:漁業衰退の真因と復活への道を探る

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766425802

作品紹介・あらすじ

持続的な資源管理の実現に向けて

かつて漁業大国といわれた日本は、いまやその漁獲量が60年前と同水準にまで後退した。一方、世界では漁業は儲かる成長産業として躍進が続く。

本書は今日のわが国の水産業に必要なことは科学的根拠に基づく資源管理の推進と幅広い情報の開示だと考え、漁業法の70年ぶりの改正を契機に

再び漁業が勢いを取り戻すための方策を提示する。

▼衰退する日本の水産業の実態を探る!
▼客観的なデータから水産資源管理政策のいびつさを指摘。
▼漁業だけでなく養殖や加工・流通業の問題点にも言及。

世界の三大漁場の一つを経済水域内に持ちながら年々漁獲量を減らし、後継者不足の問題や近隣諸国の海洋進出も相まって、衰退著しい日本の水産業。この凋落の原因を水産資源管理政策に見出し、客観的なデータから国際標準との差異を指摘、さらに水産資源取引の現場の知見をふまえて解決策を探っていく。

感想・レビュー・書評

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  • [鹿大図書館学生選書ツアーコメント]
    著者が水産資源のプロフェッショナルなので内容には重みがあるが、硬くなくわかりやすい言葉で書かれている。

    [鹿大図書館・冊子体所蔵はコチラ]<水産学部分館所蔵>
    https://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27751231

  • 前半は片野氏、後半は阪口氏が執筆している
    分担制の本です。

    片野氏の主張は一貫して漁獲量の個別制限を
    設定すること。「獲れる時期に獲れるだけ
    獲ってしまう」という現在のやり方では、
    資源である魚が減るのは当然の成り行きと
    警鐘を鳴らします。

    阪口氏は世界の漁業における日本の立ち位置
    に不安を覚えています。

    日本の漁業は世界のトップを長く走っていた
    ため、独善的なのだそうです。他の産業では
    明治時代に欧米の仲間に入れてもらった経緯
    があるので、元から存在したルールに従って
    いるが、コト魚のことになると「ルールは
    俺たちが作る」というような姿勢になり、
    全く他者との協調は無くなってしまうそうで
    す。

    これって捕鯨につながりませんでしょうか。
    捕鯨に関しても色々と理不尽なクレームは
    あるものの、全く聞く耳を持っていないの
    が現状です。

    日本の漁業の本当の姿がわかる一冊です。

  • ふむ

  • 非常に良書。多くの統計をもとに日本の漁業がいかに衰退してきたかその原因について厳しく指摘している。

    今でこそ日本がうまくまともに水産資源管理をしていないって言う事は若干ながらも知られてきたが、その歴史的経緯についてはそんなに知られていないと思う。
    それが明らかにされている点で非常に良い。

    IWCの捕鯨の禁止については捕鯨禁止賛成国のエゴと文化的嫌がらせと言う見方が主流でそう感じていた。
    しかし本書の捕鯨禁止に至る歴史的経緯を見るととてもそうとは思えなくなった。
    日本の身勝手な主張と稚拙な外交の結果だと感じる。
    しかもその恥ずかしい過去を全く顧みることなく、同じようなことがまぐろや他の業種でも繰り返されている。

    日本がよくもこのような傲慢で身勝手なことを今も続けていられるのか、本当に恥ずかしい。

    原因は本書にもある通り業界との癒着が一端だが、他にも国民の無知、マスコミの嘘と恣意的な報道、政治家の無関心、漁民のレベルの低さ、全方位に問題がある。

    ぜひ多くの人に読んでほしいと思う。

  • 東2法経図・6F開架:662A/Ka82n//K

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著者プロフィール

1963年生まれ。早稲田大学商学部卒業、水産会社勤務。90年から北欧を中心とした水産物の買付業務に従事。95~2000年、ロンドンに駐在し、欧州を主体とする世界の漁業事情に精通。また、20年以上毎年ノルウェーをはじめとした北欧諸国に通い、検品・買付交渉を続けてきた。2015年、水産物の持続可能性を議論する国際会議「シーフードサミット」で日本人初の政策提言部門最優秀賞を受賞。著書に『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、『魚はどこに消えた?』(ウエッジ)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』(ウエッジ)がある。

「2019年 『日本の水産資源管理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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