移民とAIは日本を変えるか

著者 :
  • 慶應義塾大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784766426113

作品紹介・あらすじ

救世主か、破壊者か?

21世紀に入り、人口減少に転じた日本。早くから日本経済の長期低迷の要因の一つとして人口構造の変化に着目すべき、と唱えていた著者が、現代日本の喫緊の課題として昨今俄然クローズアップされている人口減少下の日本社会の変容を、移民とAI(人工知能)に焦点を当てて丁寧に解いていく注目作!

▼人口減少とAI化、入管・難民法改正の流れの中で、正確な実態把握に努め、現時点での全体像を一挙に俯瞰できるタイムリーな一冊!

▼ニュートラルな立場で、巷間伝わるAIへの過度の期待と恐れや人口減少についての諦観ないし悲観に疑義を投げかける骨太の総合解説書。

高齢化社会の到来は数十年前より議論されてきたが、人口減少が問題視されるようになったのは比較的近年のことであり、日本社会の今後の展望や選択肢を統計や理論的成果に基づいて解説した本(特に、日本人の著者によるもの)はまだ少ない。
本書は、いまや金融のみならず、現代日本社会全体をウォッチする論客の第一人者のひとりとなった翁氏が、喫緊のテーマを人口減少下での日本社会の将来像について国民的選択の観点で捉え、AIと移民の影響 について広範な視点から考察。

感想・レビュー・書評

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  • ・冒頭の金融政策うんぬんは、著者毎度の主張なので、本書の主題にはあまり関係ない。
    (=「移民とAI、将来の日本経済」の本に、いきなり「金融緩和政策への批判」の章を加える必然性は、「国土強靭化」や「電力政策」や「年金」を加える必然性と同じくらい)。

    ・著者は本書の最後に「中立の立場をとって、どの方向性がよいか示さなかった」と書いている。本心からだとしたら、政策議論に関してあまりに純粋な人である。

  • SDGs|目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/748330

  • 【図書館の電子書籍はこちらから→】  https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000078487

  • ▼移民とAI
    ■移民は、AIが不得意とする社会的コミュニケーションや現場での対応などの局面で、国内労働者を補完する
    ■AIはタスクの効率化や精度を高める

    ◉人口減少の日本にとってkeyとなるのが移民とAI

  • 本来、金融論が専門の著者であるが、日本の金融政策は限界に直面しているという認識の下、副作用とリスクの大きい更なる実験的金融政策を追究する前に、日本の構造問題である人口問題についてもう一度考えてみる必要があるという問題意識で本書は執筆されている。人口ペシミズムへの2つの異論(①日本における人口減少は確定的未来ではなく、(移民受入れによる)日本国民による選択の余地が大きい、②AIが飛躍的に進化を遂げ、労働がAIによって代替されていくことを展望すると、懸念すべきは人手不足ではなく大失業が発生する可能性のほうだ)を取り上げ、それらに大きく関わる「移民」と「AI]について、経済的な影響だけでなく、社会に与える長期的な影響を踏まえた分析を行っている。
    本書の結論は、以下のとおりである。日本における人口減少は確定的未来ではなく、日本国民による選択の余地が大きい。移民の増加は、すでに人口ピラミッドに大きな影響を与えつつある。他方、AIの深化は労働者のタスクを一部代替していく省力化で労働需要を一部緩和し、かつ労働需要を二極化させる可能性が高い。しかし、中期的に人口減少を相殺し、大失業を発生させる可能性は小さく、むしろ人口減少圧力がまさることが予想される。結果として、移民への期待は今後も高まるだろう。したがって、移民の受け入れ拡大に見合う包摂体制を構築しなければならない。
    本書は、人口減少問題への対処としての「移民(外国人労働者)」と「AI」について考えるための、まさに「共通基盤」となるものである。著者がこれらの問題の専門家というわけではないからこそ、初心者でもとっつきやすい形で、これらの問題に関する様々な研究成果やデータが上手く整理され、組み立てられているように感じた。
    特に、移民の社会的影響に関するドイツの経験と日本の比較、最近外国人労働者急増の主役となっているベトナムと日本との関係の分析、AIで代替できるのは「事務」であり、トータルでマルチタスクをこなす「人間」の代替は難しいという視点などは、とても参考になった。

  • 東2法経図・6F開架:334.3A/O52i//K

  • いまいち

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著者プロフィール

1951年生まれ。74年、東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83年、シカゴ大学でPh.D.取得。以後、筑波大学社会工学系助教授、日本銀行調査統計局企画調査課長、企画局参事、金融研究所長等を経て2006年、中央大学研究開発機構教授に就任。
09年、京都大学公共政策大学院教授。17年より法政大学大学院政策創造研究科客員教授、京都大学公共政策大学院名誉フェロー。
主著
『期待と投機の経済分析』東洋経済新報社、1985年、日経・経済図書文化賞受賞
『金融政策』東洋経済新報社、1993年
『ポスト・マネタリズムの金融政策』日本経済新聞出版社、2011年
『経済の大転換と日本銀行』岩波書店、2015年、石橋湛山賞受賞
『金利と経済』ダイヤモンド社、2017年など

「2019年 『移民とAIは日本を変えるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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