- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784766429152
作品紹介・あらすじ
言語の不可能性を乗り越え、自由の思想を追究した井筒俊彦。
自己と他者、自文化と異文化の「世界観」を架橋するために、「対話の哲学」を築いた軌跡を辿る。
井筒俊彦は英文による最初の著作『言語と呪術』(1956年)で言語思想を彫琢し、それをその後の著述活動では、一貫して「自由」を求める思想として発展していった。井筒は、詩的直観を哲学の言葉で再現し、言語の限界を切り開き、囚われなき自在な心を求める。それを理解する手掛かりとなるのが、『言語と呪術』である(本書第一章)。
『言語と呪術』の執筆以降、井筒は、「世界の経験」をあるがままに言語で表現しようとする思想を、古代の詩歌やクルアーン、東洋の古典思想に見出し、それらが提示する「世界観」を類型化し、対話させることを目指した。この「東洋思想の共時的構造化」の軌跡を、『言語と呪術』『スーフィズムと老荘思想』『意識と本質』等の代表作を読み解くことで辿り、その一貫した追究において、井筒が、「言語とアイデンティティ」「文化の均一化」という同時代の問題に対して、相対主義と本質主義を超克する〈自由なる思考〉を紡いだことを明らかにする。
感想・レビュー・書評
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難しかったし、気になるところしか読んでない
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第1章 記憶の彼方の言葉―『言語と呪術』とクルアーンの詩学(言葉が魔力を発動するとき;感情喚起の仕組み;意味は経験を実体化する;像はいかに喚起されるのか;存在の夜の密語)
第2章 存在の夜の黎明―意味分析論の行方(言語と文化―「イスラーム三部作」;発話の現場に降り立つ;和歌の織り成す意味連関;クルアーンの意味世界;存在の夜の黎明;ソシュールとベルクソン―バロール-コトバ-suppositio;垂直的なコミュニケーション)
第3章 生々流転する世界―「存在が花する」のメタ哲学へ向けて(『スーフィズムと老荘思想』の理念―「哲学と世界共同体」とエラノス会議;イブン・アラビーの「新たな創造」―時々刻々と変容する存在;自己顕現と意味化のプロセス;「存在」のメタ的操作;「存在が花する」のメタ哲学に向けて)
第4章 存在零度の「眺め」―本質主義を解体する存在の哲学(『意識と本質』をどう読むか;「存在一性」―共時的構造の基礎;東洋の本質論と流出論;善の絶対無とその言語化;「眺め」の技法―『新古今和歌集』の形而上学)
第5章 世界と対話する哲学―自由なる思考を求めて(アンチコスモスの創造性;文化と言語アラヤ識;東洋思想の脱構築;非連続の世界;意味の継承;自由なる思考を求めて)
著者プロフィール
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