意識と目的の科学哲学 (慶應義塾大学三田哲学会叢書 ars incognita)
- 慶應義塾大学三田哲学会 (2024年5月21日発売)


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本 ・本 (120ページ) / ISBN・EAN: 9784766429626
作品紹介・あらすじ
進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む
科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待
私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。
感想・レビュー・書評
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意識を、生物学という科学領域でどう位置づけるか、という話。正味87ページなので、読むだけなら2時間かからないくらい。新書とはいえガチの学術書なので、自分では理解しきれない所も多かったが、関心のあるテーマなので面白く読めた。
(一応、評価の星を付けてるけど、自分にとっての理解度込みなので、内容については評価していない(できない)ことを補足しておく。)
意識を科学的に扱うのは難しいという前提のもと、本書では「目的」という概念(これも科学としては扱いが難しい)を橋渡しに、意識を進化論的に説明し、生物学に取り込むアプローチを論じている。最終章で結論的に取り上げられる「生成評価の塔」というモデルは、これらを説明する際にスッキリとした理解を与えてくれる。厳密なモデルではなく、分かりやすさのための近似モデルだとの注釈は入っているけど、それでも自分の認識が更新される面白さを感じた。
以前読んだ戸田山 和久『哲学入門』と同じテーマを、生物学からアプローチしている、という理解で読んだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【書誌情報】
『意識と目的の科学哲学』
田中 泉吏
鈴木 大地
太田 紘史
新書判/並製/120頁
初版年月日:2024/05/25
ISBN:978-4-7664-2962-6(4-7664-2962-1)
Cコード:C0310
定価 770円(本体 700円)
私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。
[https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766429626/]
【目次】
はじめに
意識のあらまし/意識の問題は解決困難か/意識の進化研究
第1章 意識
形態失認/盲視/意識的な視覚と無意識的な視覚/鳥類の視覚/「皮質中心主義」への批判/「意識を定義する特性」/生物学的自然主義と神経生物学的自然主義/意識の段階的な創発/相同のスコープ依存性/脊椎動物における視覚意識の進化/進化と多重実現/階層離断/意識は生存に貢献するか/半側無視/意識と報告能力を結びつける見解
第2章 行為者性
意識と行為者性を結びつける/意識と歯ブラシの掴み方/意識の役割/行為者性に高度な認知能力は不要である/理由と理解/行為者性の程度問題と多様性/人間中心主義とアナバチの「愚かさ」について/本能/理性二分法の崩壊
第3章 目的
ラマルクの目的論/アリストテレスの四原因説/ウォレスのラマルク批判/機械論/機械論と目的論の緊張関係/目的論のジレンマ/プラトンの目的論/アリストテレスの目的論/アリストテレスの目的論は従来の批判を免れる/目的指向性/目的論の自然化と目的律/目的論の自律性/表現型可塑性
第4章 意識と目的の進化
「進化の総合説」の拡張/双方向的な修正/目的指向性の進化/「生成評価の塔」/意識はどの段階で進化したか/意識と行為者性の進化/理由と理解の進化/「生成評価の塔」を評価する/意識と生存をどのように結びつけるか/意識は適応的な行為選択の土台である/意識研究の今後
あとがき
注
参考文献 -
私のようなものにいただきましたありがとうございますありがとうございます勉強させていただきます。
著者プロフィール
田中泉吏の作品





