プラットフォームと国家 How to settle the battle of Monsters (怪獣化するプラットフォーム権力と法 I)

  • 慶應義塾大学出版会 (2025年1月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784766429787

作品紹介・あらすじ

「怪獣化するプラットフォーム権力と法」と題する本講座は、グローバルなメガ・プラットフォームを、海獣リヴァイアサンと二頭一対の陸獣として旧約聖書に描かれる「ビヒモス」に喩えて、リヴァイアサンとビヒモスの力の対抗と、その制御のあり方を法学的に検討し、自由と民主主義の行く末を展望しようとするものである。

「最強」だったはずの主権国家リヴァイアサンは、デジタルプラットフォーム(DPF)という新たな怪獣の挑戦を受け、その絶対性を失いつつあるようにも思われる。仮にDPFを、旧約聖書に登場するもう一頭の怪獣――「神の最高傑作」と称され、「造り主をおいて剣をそれに突きつける者はない」と形容される陸の怪獣――「ビヒモス」に擬えるならば、現在は、あらゆる領域において、リヴァイアサンとビヒモスとが激しくせめぎ合っているとも言えるだろう。その衝突ないし対決は、当然、以下のような規範的な問いを提起する。
どちらの怪獣がデジタル空間を「統治」すべきか、また両者の関係はどうあるべきか。国家とDPFとの衝突ないし対立は、デジタル空間における秩序のあり方を根源的に捉えなおすよう考えるよう、我々に迫っているのである。

リヴァイアサンとビヒモスとのあるべき関係性が検討される第Ⅰ巻。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:007.3A/Sh88s/1/K

  • 1. デジタル空間の統治に関する提言
    - 国家に対する制裁: DPF(デジタルプラットフォームファーム)は、国際法に違反する国家に対して共同で対応すべきであり、デジタル資源の提供を停止することが提言されている。
    - 具体例: ウクライナ戦争において、MetaやYouTubeがロシアのプロパガンダメディアを遮断した事例が挙げられ、国際法違反への非難とウクライナへの共感が広がった。

    2. プラットフォームの影響とその力
    - 「惑わしの力」: 現代のプラットフォームは、AIアルゴリズムを用いてユーザーの心理的脆弱性に付け込み、刺激的なコンテンツを提供することによって「弱き魂」を操作する力を持っている。
    - ホップズとの関連: トマス・ホップズの「リヴァイアサン」において、国家と教会の関係が現代のデジタル空間におけるプラットフォームの力に似ているとされ、国家が持つ主権とプラットフォームの権力の対立が描かれている。

    3. デジタルビヒモスと国家の関係
    - 主権の回復: 国家はデジタルプラットフォームに対抗する形で主権を回復しようとする動きがあり、特にEUがデジタル領域での規制を強化している。
    - 協力と競争: 国家とプラットフォームの関係は競争的でありながら、協力の可能性も示唆されている。国家は公共サービスの提供を通じて市民の権利を保障しようとする一方で、プラットフォームはその効率性を利用している。

    4. 国際的な枠組みとソフトロー
    - 企業の人権尊重: DPFは国際人権法を尊重し、ユーザーの権利を保護する役割を果たすことが求められている。このため、国際的なソフトローの枠組みが重要である。
    - 国家の限界: 国家による人権保護が不十分な場合、DPFがその役割を補完することが期待されている。

    5. 公衆衛生とデジタルツール
    - 感染症対策: COVID-19パンデミックにおいて、国家はデジタルツールを活用しつつ、DPFとの協力を模索しなければならなかった。フランスの接触アプリの事例が示すように、国家は自らの公衆衛生システムを強化する必要がある。
    - リスクと期待: DPFに公衆衛生を委ねることにはリスクが伴い、国家はその管理を行うべきであるとの見解が示されている。

    6. デジタル主権の確立
    - EUの取り組み: EUはデジタル主権を取り戻すための政策を進めており、デジタルサービス法やデータ法が制定されている。
    - 国家の役割: 国家はDPFと協力しつつも、その権限を保持し、公共サービスの保障を続けることが求められている。

    7. 結論
    - 未来の展望: 国家とDPFの関係は今後も変化し続けるが、デジタル主権の確立と市民の権利保護が重要なテーマとして浮上している。国家はDPFに対抗しながら、効果的なサービスを提供する方法を模索する必要がある。

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