- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784767804187
作品紹介・あらすじ
本書は、スペースシャトルが持つ問題点と、世界の宇宙開発に及ぼした影響を解説していく。
感想・レビュー・書評
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思い込みとは可能性を狭めるものだと改めて考えせられる内容だった.
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いきなり序章で「本書が目指す結論を言おう」と振りかぶり、
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・スペースシャトルは宇宙船として巨大な失敗作である。コンセプトから詳細設計に至るまで無理とムダの固まりだ。
・シャトルの運航が続いた結果、宇宙開発は停滞した。
・スペースシャトルに未来があるとだまされた世界各国は、シャトルに追従し、結果として宇宙開発の停滞に巻き込まれた。
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と、3球で三振を取ろうと直球を投げ込んでくるのがしびれる。引き続き、シャトルの概要から、事故の検証、どうしてシャトルが「失敗作」なのか……と続くのだが、なかなかハイテンポな投球で、読みやすくて面白く、するするとアタマに入ってくるぞ。こりゃ、要するに「組み立て」がうまいんだね。スペースシャトルという素材もいいのだが、捕手(編集者)との相性がよいんだろうか。
要するに、シャトルは「繰り返し使えるから安いですよ」というふれこみで開発したのに、高くて危険な乗り物になってるのだとか。とくに、本当に「翼」が必要だったのかという指摘については、まさに「コロンブスの卵」的な説得力。翼なんて道中ずっと重い荷物になるわりに最後の15分しか使わない、そのうえ弱点だらけで事故のもとになるとくれば、なんでそんなものつけちゃったんだろうという感じ。先入観というのは恐ろしいもんですなぁ。
言いたいことがバシっとまとまってる、キレイに三振をとれるよい本でした。こんど周りでシャトルの話題になったら、ぜったいこの本に載ってることしゃべっちゃうよ。GJ。 -
最先端なイメージを纏ったスペースシャトルの宇宙輸送システムとしての欠陥を技術面とコスト面から綴った本。後出しとの評価もあるのでしょうが、各国に大きな影響を与えたスペースシャトルの設計思想を含めて、宇宙開発の目的と、達成すべき目標は何か、を考える機会になります。ただ、1980年代製のオービターを最先端とは言えないと断定するはいかがなものかとは思ったけれども(B-52なんぞは初飛行が1952年なわけで)。
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スペースシャトル 完全否定ですねぇ~
まぁ、たしかに成功とはいえないけど、ここまで否定するか? -
盲目的に、スペースシャトルはかっこいい、すごいものだと思っていたけど、冷静に考えてみると、確かにたくさんの人とお金が振り回されてきたのだね。
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とても分かりやすく、読みやすい文章で、スペースシャトルの負の側面をすんなり受け入れることができた。また、簡単に紹介されていた「スニーカー」「ピッコロ」についてもっと知りたくなった。
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今年退役するスペースシャトル,子供のころは素朴にかっこいい!と思ってた。事故を乗り越えて頑張ってる感じだったが,そもそもまるっきりコンセプトから間違っていたという批判の本。
アポロの大計画が終り,次に何をするというので,関係企業はまたどでかい長期プロジェクトを望んだ。再利用可でコスト削減という大義名分。夢のような話にNASAも乗り気で始まったスペースシャトル計画だが,技術的困難から遅延,そして二回の致命的事故で逆風が吹き荒ぶ。それに,人も荷物も運べるという二兎を追うような設計。安全性では人に合わせ,積載量ではモノに合わせる非効率。翼をつけたのも何だか思いつきのようで,強度や空力加熱の点でものすごく不利だった。再利用回数も計画通りには全然届かず,コストも結局下がらなかった。
スペースシャトルと聞いて誰もがすぐに思い浮かべる特徴的な翼も,実際は無用の長物。地球に帰還する時,宇宙船は「落ちている」にすぎないから,翼はいらない。検討で翼の唯一の利点は,大気圏再突入後に進路を変えられることと判明。結局,ソ連の衛星を捕獲→すぐ米本土に帰還する能力を持たせるために国防総省がGO出したらしい…。 -
特にコレと言った得るものが無い本だった。
読み終わって、「・・・で?」という感じの本。
まぁタイトルからそんな内容であるんじゃないかと推測しておくべきだったかも。
要は、何かしらの生産性を求めて読むべき本ではないです。
大きな意味での愚痴本です。
なので、もう一回読もうとは思わない。気分悪くなるだけだし。 -
スペースシャトルは失敗だった..
スペースシャトルが世界の宇宙開発に与えた影響は大きい -
スペースシャトルの機体、NASAの問題点について鋭くえぐった内容で、衝撃的でした。
技術的に難しい内容も分かりやすく解説されてあるので、技術に疎い人でも読みやすいと思います。
また、問題点を提起するだけで終わることなく次にどうすればいいか、という提示もあり、著者の宇宙開発に寄せる情熱も感じる事ができるとともに、いろいろ考えさせられる良書だと思います。
著者プロフィール
松浦晋也の作品





