- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784767820286
作品紹介・あらすじ
剣歯虎、カブトムシ、シオマネキ…「軍拡」の道を選んだ生物たちの壮絶な物語!そして人間の武器との共通点とは?気鋭の生物学者が、進化の謎を情熱豊かに解き明かすポピュラー・サイエンス。
感想・レビュー・書評
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オスの上位数%しか交尾できない競争の結果、明らかに生存に不利な不自然に大きな武器を備える個体が生まれてしまう。穏やかな進化へと導く自然淘汰と比較して過激なのが性淘汰の特徴。また、競争に勝つことを優先する為に武器に非常に大きな資源を割り振ってしまい環境の変化に対応できずに絶滅したり、正面からの競争を避けたライバルオスの忍び込み行動による交尾を許してしまったりとういエピソードも面白い。
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何度も繰り返し読みたい。
先生の研究室で見せてもらったサーベルタイガーとかカブトムシとかヒゲナガヘリカメムシとかのことが詳細に書かれてあって凄く面白かった。
動物の武器についてちゃんと意識したことはなかったけれど、海の生き物から陸の生き物まで、また、昆虫などの無脊椎動物から哺乳類まで、様々な生き物が武器を保有していることがわかった。各々が自分の繁栄を目指しているけれど、結果的にそれぞれが異なる形態を持つようになったことが興味深いなと思った。武器と一言にいっても武器にかけるコストも違うし、例えばフンムシを例にしても種によってツノの形とかツノの有無が違っていて、武器と生物の性質が密接に関わっていて面白かった。
あと、こんなにも動物の武器が人間の武器と共通点があることを知らなかったし、バイオミミックリーのように、生き物の生態から学んで次の人間の武器を類推できるのが面白いと思った。次の戦争では人類が次の軍拡競争を生き延びる可能性が少ないとエムレン先生は推測していてやはり恐ろしいなと思った。
オーストラリアコウイカの生態が面白い。オスに対して繁殖可能なメスがひどく少ない。そこで、争えない小型のオスは、オス同士が戦っている隙に鮮やかな色彩に色を変えてメスを魅了させるが、それは体の反対側だけで、逆側のオスから見える側はメスのような色のままにして警戒させないようにしている。
テナガカミキリも縄張り争いで武器を持っているけれど、カニムシはテナガカミキリの背中を繁殖地にしていて、そこで縄張り争いをするから、節足動物の上に節足動物の状況がここにもあって興味深い。(初めに節足on節足を知ったのはカニ&フクロムシ)
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第1部 初めは小さい
擬装と鎧
歯と爪
つかむもの、捕らえるもの、巨大なあご
第2部 軍拡競争の引き金
異性をめぐる争い
コストパフォーマンスのよい資源管理
一対一の決闘
第3部 軍拡競争の産物
コスト
戦闘能力を示すシグナル
抑止力
忍び込みとだまし
軍拡競争の終わり
第4部 人間の武器
砂と石の城
船、飛行機、国家
大量破壊 -
ヘラジカの角、マンモスの牙、カブトムシの角、シオマネキのハサミ。
その身体に不釣り合いなほどに大きな武器は、なぜ、どのようにして進化したのか。
本書で提示されるその条件は3つ。
・オス同士での性闘争
・限られた資源を効率よく守れるような生態学的状況
・1対1での戦い
論として疑問を挟む余地があるわけではないのだが、筆者のフィールドワーク体験談や、人間社会との相似性比較であったりとエッセイ的で、学術論としてどこまで信じられるのかはわからない。
ただそのおかげで読みやすくはあるので、一つの仮説として話題にする分には楽しめる一冊。 -
「動物たちの武器」D.J.エムリン◆昆虫から人間まで、武器と戦い方について。専門書臭くなく、読み物として読める。スケッチではなく写真ならなお良いのに。「動物」の中に人類も含まれているところが面白くて、鎧着て剣を振り回すのと空から爆弾をばら撒くのとは同じ戦争でも何かが違う気がする。
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☆5つ(今回はちょっと長いぞ。すまぬm(__)m)
これは、シーナ兄いがもしもまだ読んでいなければ拙わたしから激しくオススメしたくなる本である。
思えば今までシーナ兄いのオススメでいろんな本を読んできた。
『十五少年漂流記』などは、その物語に出てくる島をめぐってのシーナ兄い自身の書いた本にまでとうとう行き着いてしまった(そして今、渡辺葉さんが原書のフランス語から直接日本語に翻訳した『十五少年漂流記』も手を出そうと・・・、いやもう手に入れてしまったw)
渡辺葉さんではないです、外国の本だってこうやって全く違和感のない日本語に翻訳できるのではないですか。
いや実に読みやすいです。文書に特徴があるわけではないのに、少し読んだだけでどんどん内容が頭に入ってきて読み進められる。
翻訳本でこれだけ読みやすいのは他にはエドモンド・ハミルトンの『キャプテン・フューチャー・シリーズ』を野田昌宏氏が訳したやつだけです。あ、いやなんともマニアックでしかもとても古くてすまぬすまぬ。でも翻訳ものなんてSF娯楽作品くらいしか普通は読まんよね。
読み易いだけでおもしろいわけではない。内容が面白いから読みやすいのだ。そんなことは当たり前なのだ。でも、ここでその内容がどのように面白いのかは書かないでおこうかなぁ。いひひ。書いたら読まんでよくなるぢゃんよぉ・・・。再びすまぬ。
なんというか、大変に興味津々で為になる本なのだけれど、じつわちょっとエッチなのだ。
でもこの本を読んでそういう風に夢想するのはわたしだけかもしれないすまぬ。
が、読んでみるとたぶんそう思う人は居るw。
そして実に特徴的なイラストが本書を更に格段に読みやすくしていることを伝えておきます。のっけのPageにはとても印象的な写真も載っていて「読みたいなこれ」と思わせてくれる仕掛けでございます。
どうしても気になって書いて置きたいので、今回はかなり深く本の内容について触れてしまう。誠にすまぬ。
本書最後の章では、核ミサイルや生物兵器に代表される「大量破壊兵器」分散の危機について書いている。
要約すると 「(大量破壊兵器は)大裕福国が持ってこそ抑止力になるのであって、今の様にあるいは今後、小貧国や無法者国家までが持ってしまうとその先は人類全体の滅亡しか考えられない。残念ながら本書『動物たちの武器』の研究/執筆行為の中ではそれを回避する方法は見つからなかった」
続巻を待ちたい。一人類として。。。m(_ _)m -
20150823朝日新聞、紹介