たてもの怪談

著者 :
  • エクスナレッジ
3.37
  • (10)
  • (30)
  • (39)
  • (8)
  • (4)
本棚登録 : 293
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767822037

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 色々な怪しいモノを「視る」加門さんの建物に纏わる体験談集。「道の話」では被害者続出だし「お化け屋敷の話」の得体の知れなさとか遭遇したらめっちゃ怖いのが想像出来るのに怪しげなモノ達は「いるもの」前提で話が進むので語りとしてはあんまり怖くない。というかそんな世界に全然縁の無い身としては寧ろ悩まされっぷりが面白い。ほぼ半分を占める「引越物語」での風水とか色々気にして氏神様にも丁重に対応したのにやっぱり出た、とか「ホーンテッド·スウィート·ホーム」の友達の平常心ぶりとか。「着信アリ」より怖い我が家って。ネタか!

  • 「家」をテーマにした怪談(『残穢』)を以前読んで、その類いだろう、つくりもの、つまり嘘だろう、と思って読んでみたら......違った。
    著者自身の経験、つまりエッセーだ。
    もちろんこれは巧妙に見せかけた「物語」かもしれない。
    そう思わせておいてやはり事実なのかもしれない。
    どちらにせよ、少しばかりの寒気を感じる代物だ。

    「お化け屋敷の話」では私自身も感じていたことが書いてあった。
    東京タワーの蝋人形館、花やしきのお化け屋敷。
    もともと怖がりで、夫が帰宅しただけでも飛び上がって驚くほど(大不評だ)。
    しかしそれとは別に、なんとなく長居してはいけないところというのは感じる。
    動物的な勘、第六感、いろいろ言い方はあるだろうが、やめた方がいい、という体の声には耳を傾けた方がいい。
    私はお化けは見たことはないが、それはその体の声に従っているからではないか。
    もちろん避けようのないこと、例えばタクシーの客となった幽霊、は確かにあるだろうけれど。

    「道の話」は、『残穢』を思い出させる。
    人の念というものはあるかもしれない。
    一番恐ろしいものである人が残したもの、実体がないからこそさらに制御不可能になっていくもの。

    本書を馬鹿馬鹿しいとか、非科学的だと評することもできようが、私にとってはそうやって周囲の声に耳を貸さないことの方がよっぽど恐ろしく感じる。
    くわばらくわばら。

  • 建物にまつわる心霊的な随筆。
    筆者の作品は創作物よりやっぱり実話が好きです。

  • 加門さんの心霊ものにハマってしまった。この本も心霊体験が書かれているが加門さんの体験はちょっと変わっている。例えば自分の部屋に別世界の部屋を見る、とか。どういう意味があるのか不明なのが残念。ユーモラスな出来事もあり。格式高いF神社とのやり取りはちょっと笑ってしまった。それにしても著者の怖い霊的なもの、怖くない霊的なものの基準は何だろう。霊を一喝する著者はカッコいい。

  • 前半は著者のマンション購入と引っ越しの話、後半は建物にまつわる怪談や風水の話でした。
    前半を読んで思ったことは引っ越しも簡単にできないな、と言うこと。相性や方位や氏神様etc気にしだしたらいつまで経っても出来なさそう…。
    本だけで段ボール250箱は引っ越し業者の人もそうそうしない体験だったのでは。

  • 住宅や施設などの建物に関わる、筆者によるエッセイ風怪談。
    家探しでの出来事や、筆者や友人の体験談、東京の建物に関しての考察など。
    筆者が怪異慣れしているおかげか、現象としては絶対怖いはずでも淡々と対処されていて、怖いというよりちょっと面白いと思えてしまった。

  • 加門七海2016年作品。

    30歳を過ぎたあたりから、家を買おうと考え始める加門。
    本来は、日本家屋平家、庭付きを考えていたが、資金をはじめ、毎年のように起こる天災に考えを変える。

    そんな家探しから、実際にある都庁などの建築を始め、勉強を重ねた風水で読み解く。

    もちろんいつものように、家に住みつく不思議な現象なども!

  • 住む家、寺社、お化け屋敷、建物に入り込んだり既にいたりする、生きた人間ではないもの、幽霊や妖、神様などについての随筆風の階段実話集。
    半分は著者の引っ越しをするまでの話。
    実際に、良くないものがいるだとか、風水が良い悪いとか、そういうものは人それぞれである。
    実在するのか、思い込みなのかはわからないが、嫌だ、怖いというものは簡単には変わらない。ましてや自分が生活する建物ならなおさら。怖いものは怖いものとして、その感覚を信じてよい。それが自分の中で納得できるものなのだ。
    私も神社好きなのだが、なんだか落ち着かない、不安な気持ちになった神社があった。天気や明かりだけのせいではないようなうすら寒くなるような地下室があった。私は特に霊感とかそういうものはないと思うが、自分の中にある忌避感は無視してはいけない。
    それが思い込みであっても、特に自分の家であれば自分自身に悪い影響となってしまうから。

  • ちょっと立ち読みしていたんだけど、思っていたのとは結構違った。
    基本的にはほんとにエッセイ。
    ちょっとぞくっとなるお話もあるけど、
    何故か和んでしまうお話もあるのは…加門先生の書体なのか。
    読みやすくて、
    夜眠れないというほどの怖さはなくて、
    でも、不思議だったり「人ならざるものはどこにでもいる」感じになるので、
    とてもお薦め。

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

加門七海
<プロフィール>
東京都生まれ。美術館学芸員を経て、1992年『人丸調伏令』でデビュー。伝奇小説・ホラー小説を執筆するかたわら、オカルト・風水・民俗学などへの造詣を生かしたノンフィクションも発表。自身の心霊体験をもとにした怪談実話でも人気を博す。小説に『203号室』『祝山』など、ノンフィクション・エッセイに『大江戸魔方陣』『お咒い日和』『墨東地霊散歩』『加門七海の鬼神伝説』など、怪談実話に『怪談徒然草』『怪のはなし』など多数。

「2023年 『神を創った男 大江匡房』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加門七海の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×