かわいい江戸の絵画史

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  • エクスナレッジ
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784767827292

感想・レビュー・書評

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  • 江戸期における動物画で、しかも愛らしさを感じるというくくりで集められた本。
    そこには、俵屋宗達から始まり、若冲、応挙、琳派から国芳の浮世絵、民衆の大津絵まで広い美術ジャンルとなる。
    成熟した文化と安定した生活があってこそ、かわいい絵の需要と供給が成り立つ。

  • 美術史の中でのかわいい絵をピックアップして紹介されている。
    風神雷神図で勇猛な絵が特徴の俵屋宗達のなんと可愛い子犬の水墨画から、伊藤若冲、与謝蕪村、円山応挙、歌川国芳、長沢蘆雪、仙厓和尚等を解説している。何より良いのは普段は馴染みのない個人所有の絵が沢山鑑賞できる事で、若冲の百犬図とか初めてで感動した。

  • 江戸時代の「かわいい絵」の魅力と歴史を語る。
    ・「かわいい絵」にも美術史がある
    ・江戸のかわいい造形史と現在
    ・単純化とデフォルメでかわいく描く・・・俵屋宗達、
       松花堂昭乗、中村芳中、伊藤若冲、耳鳥斎、鍬形惠斎
    ・拙い描写が「かわいい」を生む・・・与謝蕪村、
            遠藤曰人、三浦樗良、加藤逸人
    ・かわいい題材をリアルに表現する・・・円山応挙、
            森狙仙、原在照、歌川国芳、大津絵
    ・ゆるさで心を和ませる・・・長澤蘆雪
    ・“イカれた”形に表す・・・仙厓義梵
    掲載作品一覧有り。
    絵師についてと作品の紹介での構成。部分拡大有り。

    安定した世になった江戸時代に生まれた、町人文化。
    その中で誕生した「かわいらしさ」は、単純とデフォルメ、
    拙い描写とかわいさのリアルな再現、ゆるさ、
    なんかヘタウマ、そして“イカれた形”も。
    人々、生き物、植物や道具、神仏や仙人、六歌仙や英雄、
    富士山さえも、なんか丸っこくて、ユーモラスで、
    コロコロだったり、モフモフだったりのかわいさ全開!
    禅画という一面もあれども、多く作品が残っているのは、
    多くの人がこういう絵を好んでいたと考えられます。
    仙厓義梵の画は、初めて出光美術館で見たときに、
    あまりのユルさにびっくりしたことを思い出しました。

  • 今では当たり前にあるかわいいイラストや萌え絵の元(?)になった江戸の絵画。よくよく見ると全部かわいい。江戸特有のかわいい絵がいっぱいある。

  •  江戸の絵ってこんなに面白いの?と読んでてびっくりした本。

     現代を生きてる自分でも、かわいいー!って思えるような絵が散りばめられていて、ページをめくるたびわくわくする。200年以上前の絵でそんな感情が沸き立つのも面白く感じる。

    実際の絵を見たくなったし、他の日本絵画にも興味を持った。いい本。

  • 近年、蘆雪の犬がグッズ化されるなど、かわいい江戸の絵画人気が高まっています。
    犬好きとしては、蘆雪はもちろん、応挙や義梵のかわいい犬をたくさん見ることができて満足でした。
    猫派の方も、国芳のかわいい猫の絵が紹介されているので、満足できると思います。

    蕪村のデフォルメされた絵画もとてもかわいいです。
    どのページをめくっても、かわいいであふれた素敵な本でした。

  • 可愛かったぁ。
    そして年表かなぁ。

    宗達
    若冲“河豚と蛙の相撲図“
    応挙の描くフワフワとその眼
    長沢蘆雪”群雀図“
    知らなかった…鍬形蕙斎、三浦樗良。

    そして
    仙涯‼︎

    かわいい図鑑。

  • 「マンガでわかる日本絵画の見方」に続いて日本絵画本。円山応挙の子犬、伊藤若冲の河豚と蛙、歌川国芳の猫、長沢蘆雪の雀、仙厓義梵の犬。どれもこれも現代に通ずるかわいさ。ニヤニヤしながら読んだ。

  • テレビの 鑑定団の放送で、江戸時代の子犬の絵が、紹介されていて、犬を飼いたくなるような可愛い絵であった。

    図書館を訪れた時に、この本を手にした。
    この本の金子信久氏が、最初に書かれている「かわいい絵」にも美術史がある・・・とされている章で、近年まで、「かわいいもの」は美術史では、軽く見られていたとは、全然思ってもいなかった言葉であった。

    伊藤若冲の繊細な動物や植物の描き方に、なんとも言えない動きのある絵に 目を奪われる事があった。
    そんな中でも、「猿図」「伏見人形七布袋図」等、ユニークさのある絵もあり、楽しい。

    与謝野蕪村のアニメっぽい絵も、書けそうで書けないような絵であり、人間の動きを良く表している絵である。

    遠藤日人(えんどうあつじん)の「蛙の相撲図」は、見たことはあるのだが、作者の名を覚えていなかった。
    この相撲をしている2匹の蛙。手前の蛙の眼が、後ろについているように思うのだが、一瞬は、そんな事を考えずに、行司と観客の蛙と対象に 2匹の相撲の迫力を感じて眺めていた。

    表紙の丸山応挙の「雪中三狗子図」のモフモフ感あふれる絵に癒される。
    「鷺図」は、白い部分が大部分なのに、鷺の4羽が、浮かびあがって、輪郭がないのに、鷺と判る所が良い。

    歌川国芳の「其のまま地口 猫飼五十三疋」が、起点の日本橋から終点京都迄をダジャレで、猫の仕草で、表している所に、創意工夫の深さを感じる。
    その猫の仕草が、なるほど!と、思える姿ばかりであり、興味深い。

    長沢蘆雪の「狗子蓮華図」や「群雀図襖」等も動物一つ一つの動きが、良い。

    どれもこれも、ホンワカとした気にさせる絵であり、楽しんだ。
    1800円でなかったら、すぐにでも購入しておきたい本であった。

  • 「かわいい」の原点まるわかり。(アマゾン紹介文)

    もう表紙がずるい。
    オカルト好きとしては丸山応挙といえば『幽霊図』なんだけど、表紙にもなっている『雪中三狗子図(もふもふでころころの犬っころ×3匹)』は、そんな判断をも鈍らせる暴力的な可愛さがある。
    またほかにも、正統派な可愛さだけでなく、ゆるさやへたうま調なものも多々掲載されており、覚えておきたい画家が増えてしまった。

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著者プロフィール

金子信久(かねこ・のぶひさ)
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館などを経て、府中市美術館学芸員。担当展覧会に「亜欧堂田善とその系譜」(福島県立博物館、1990年)、「司馬江漢 西洋との接触、葛藤と確信」(府中市美術館、2001年)、「亜欧堂田善の時代」(府中市美術館、2006年)、「リアル 最大の奇抜」(府中市美術館、2018年)など。「亜欧堂田善の時代」展の企画と図録論文で第18回倫雅美術奨励賞受賞。主要論文に「亜欧堂田善の銅版江戸名所図群に関する絵画史的検討」(『国華』1220、1997年)、「迫真と形象化‐司馬江漢と亜欧堂田善の油彩画」(『民族藝術』22、2006年)、「司馬江漢 西洋風景人物図屛風」(『国華』1336、2007年)など。著書に『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館、2014年)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術、2014年)、『子犬の絵画史 たのしい日本美術』(講談社、2022年)ほか多数。

「2022年 『作って発見! 日本の美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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