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本 ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784767832944
作品紹介・あらすじ
聖剣エクスカリバー、聖杯、円卓騎士団、魔術師マーリン、湖の騎士ランスロット ……
マンガやアニメ、映画、小説、ゲームなどさまざまなジャンルで愛され続ける、 中世ヨーロッパ最大のファンタジーを、歴史的背景や多数の関連作品、主要な登場人物、異説の紹介など、あらゆる角度から徹底解剖!
【序章】「アーサー王物語」を読む前に知っておくべきこと
【第1章】英雄アーサー王が誕生し、円卓の騎士たちと世界を統べるまでのこと
【第2章】アーサー王の甥ガウェイン卿を中心とした円卓騎士団のこと
【第3章】最も穢れのない騎士ガラハッド卿と奇跡を授ける聖杯のこと
【第4章】ランスロット卿と王妃の不倫が円卓騎士団と王国の崩壊を招いたこと
【第5章】リオネスの王子トリスタンとアイルランドの姫イゾルデの悲劇のロマンスのこと
■監修者 渡邉 浩司(わたなべ こうじ)
岐阜県岐阜市出身。中央大学経済学部教授。フランス・グルノーブル第3大学大学院で高等研究免状(DEA)取得。名古屋大学大学院文学研究科博士課程(仏文学)満期退学。文学博士(課程博士)。専門は中世フランス文学。著書に『クレチアン・ド・トロワ研究序説―修辞学的研究から神話学的研究へ』、編著書に『アーサー王伝説研究―中世から現代まで』『幻想的存在の東西―古代から現代まで』(以上、中央大学出版部)、Voix des mythes, science des civilisations(Peter Lang)、共著書に『フランス中世文学を学ぶ人のために』(世界思想社)、『ケルト 口承文化の水脈』(中央大学出版部)、『神の文化史事典』(白水社)、『世界女神大事典』(原書房)、共訳書にマルカル『ケルト文化事典』(大修館書店)、ヴァルテール『中世の祝祭―伝説・神話・起源』『アーサー王神話大事典』(以上、原書房)、ヴァルテール『英雄の神話的諸相―ユーラシア神話試論I』『ユーラシアの女性神話―ユーラシア神話試論II』、『フランス民話集』全5巻(以上、中央大学出版部)などがある。
■編著 かみゆ歴史編集部
「歴史はエンターテイメント!」をモットーに、雑誌・ウェブ媒体から専門書までの編集・制作を手がける歴史コンテンツメーカー。扱うジャンルは日本史、世界史、地政学、宗教・神話、アート・美術など幅広い。神話・世界史関連の主な編集制作物に『ゼロからわ かる ケルト神話とアーサー王伝説』(イースト・プレス)、『マンガ面白いほどよくわかる!古事記』(西東社)、『エリア別だから流れがつながる 世界史』(朝日新聞出版)、『流れが見えてくる世界史図鑑』『流れが見えてくる宗教史図鑑』(ともにナツメ社) など。
感想・レビュー・書評
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昨年は神話や伝説にハマりかけていて、ギリシアを中心に読み漁っていた。
アーサー王物語もその一つだったが、初心者にやさしい解説書を見つけられず、今の今まで諦めていた。本書は今までに手をつけた中では、まだ一番分かりやすい方だったかもしれない。
「解剖図鑑」だから、ケルト諸語文化やアーサー王が実在したかどうかのバックボーンまでが丁寧に解体されていた。
アーサー王は一般的には伝説上の人物とされているが、複数の歴史書に彼の記述が見つかっている。他にも複数の歴史上の人物をモデルにしており、そのほとんどがローマの軍人である。ちなみにアーサー王も元はブリトン軍を率いる騎士だったという記載も見られるので、益々モデル説が濃厚になる…
そこに聖剣やドラゴン・聖杯といったファンタジー要素が加わることで、今日我々の知るアーサー王物語が成立したというわけだ。(かなり端的にまとめています笑)
アーサー王物語は6世紀頃のケルトが舞台となっているが、元を辿ればフランス語圏で語り継がれてきたという。
1469年にはイギリス人のトマス・マロリーが、集大成として『アーサー王の死』を刊行。本書ではその『アーサー王の死』を中心に、解説が展開されている。
一旦人気が下火になったものの、19世紀にはアーサー王熱が人々の間で再燃。そこからはワーグナー作のオペラや伝説を基にした作品群が世に放たれていった。(巻末にはそうした作品群が列挙されているが、その中に『インディージョーンズ 最後の聖戦』も含まれていた。主要人物がアーサー勢でないのに、インディー入れちゃうんだーと…笑)
少し残念だったのがイラスト。
人物や出来事を表したイラストは、絵画か巻物かレリーフを基にしたのかもしれないが、何せ判別し辛い…!同一人物でも章によって違う風貌だから、読んでいるこちらは困惑してしまう。何を参考にして描いたのかを、せめて解説の中か注釈に入れて欲しかった。。
あとこれは超個人的なリクエストだが、(憶測でも良いから)年齢を書いてくれるとイメージが膨らみやすかったかも。あるページのアーサー王と王妃グウィネヴィアなんか、父親と娘くらいの年齢差に見えちゃったし…
人物名にフランス語読みが用いられる。円卓の騎士であるランスロットがフランスの生まれで故国に居城を構えたりしている。(更にはトリスタンとイゾルデが駆け落ちした際にはちゃっかり城に匿ってたりも…。2人の悲恋物語はアーサー王とは別物だと思っていたが、実は「取り込まれている」そう)
そんな風にフランスが頻出するのを不思議に思っていたが、どうやら『アーサー王の死』が執筆された頃はフランスとの百年戦争が終結したばかりで、マロリーはそれを意識したのではないかとの事。
ヨーロッパのほぼ全域を支配下に収めた(と伝えられている)ように、物語も当時のヨーロッパ史を丸ごと取り込んだ風である。
円卓の騎士にはイスラム教徒がいたというが(!)、後でキリスト教に改宗させられたらしい。ヨーロッパ史だな〜…(苦笑い) -
マロリー「アーサー王の死」を中心に、伝説の歴史や
様々の作品群を紹介する、アーサー王物語のハンドブック。
序章 「アーサー王物語」を読む前に知っておくべきこと
第1章 英雄アーサー王が誕生し
円卓の騎士たちと世界を統べるまでのこと
第2章 アーサー王の甥ガウェイン卿を
中心とした円卓騎士団のこと
第3章 最も穢れのない騎士ガラハッド卿と
奇跡を授けられる聖杯のこと
第4章 ランスロット卿と王妃の不倫が
円卓騎士団と王国の崩壊を招いたこと
第5章 リオネスの王子トリスタンと
アイルランドの姫イゾルデの悲劇のロマンスのこと
各章に資料解説とColumn有り。参考文献有り。
神話や伝説、時代やキリスト教文化の影響、騎士物語に戦闘、
対立と復讐、裏切り、ミステリーと決闘裁判、恋愛と不倫、
ロマンティック、そしてファンタジーのアーサー王の物語。
それらの集大成「アーサー王の死」で物語の概略を解説し、
更に、古くからの伝説や初期の物語をも紹介。
別の作品から取り入れられて主役級になったり、
初期とは性格も立ち位置も変わってしまったり、
ケルト神話に関わりはあれどキリスト教文化の影響で
改変されたりと、変容を比較できるのが面白い。
作品によって異なる人物名や人物相関図、
関連の現代の文学作品や映画、アニメ等の紹介もあり、
初めて「アーサー王」の物語に接する人には導きになるかも。
絵画についてはほとんど記述が無くて残念だけど、
イラストから、どの絵画や挿絵を基にしたかを
考察することができて、楽しかったです。 -
とにかく読みやすい。初心者には分かりやすくて大変良かった。参考文献や派生作品のまとめも要所要所にあるので、深く調べたい方はさらに調べやすくなっているのも良い。なかなかね。入門書の次を探すのが難しいので…。
欲を言えば全登場人物の関係図が欲しかったです。前の方に簡略版の家系図はあるのですが、それに入っていない人物もいるので、時々誰が誰だかわからなくなりました。 -
930-W
閲覧 -
アーサーの
父も意外と
ゲスだった
なんちゃってw
著者プロフィール
かみゆ歴史編集部の作品






登場人物がそれなりに多く、ストーリーも本によって種類があることを知り、改めて奥深い物語であることを痛感しま...
登場人物がそれなりに多く、ストーリーも本によって種類があることを知り、改めて奥深い物語であることを痛感しました。
『金色のマビノギオン』恥ずかしながら初めて知りました(゚o゚;; 画風がとても素敵ですね♪これから色んなアーサー王に触れていく中で立ち寄ってみたいと思います。教えていただきありがとうございます!
実は私も、数年前アーサー王入門書的なものを探していた時に偶然見つけたのがこの漫画だったんです。漫画自体はもちろ...
実は私も、数年前アーサー王入門書的なものを探していた時に偶然見つけたのがこの漫画だったんです。漫画自体はもちろん解説本ではないですが、作者の山田南平さんも関わっている、みずき書林『いかにしてアーサー王は〜』で始まる長い名前の本は、日本における受容が中心ではありますが読みやすい解説本でした!
もしご興味あればぜひ〜^^
続いてもう1冊教えてくださり嬉しいです(*^▽^*)『いかにしてアーサー王は〜』を調べてみましたが...
続いてもう1冊教えてくださり嬉しいです(*^▽^*)『いかにしてアーサー王は〜』を調べてみましたが表紙が何種類か描き下ろされているんですね…!
今回日本への普及過程についてもっと知りたかったのとイラストが残念だったので、どこかで読んでみたいと思います♪いつもありがとうございます!!