学校の「当たり前」をやめてはいけない!: 現場から疑う教育改革;ゲンバカラウタガウキョウイクカイカク

著者 :
  • 現代書館
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感想 : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768435755

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』徹底検証!
教育行政主導の学校改革に異を唱える!

麹町中学校長、工藤勇一氏のベストセラー『学校の「当たり前」をやめた。』(時事通信社)を徹底批判。プロ教師の会の諏訪哲二氏が同書を一言一句、検証する。学校の「当たり前」を廃止して教育を合理化する工藤校長の学校改革は、はたして子ども、社会のためになるのか。教師は、個人の力量や経験だけではカバーしきれない部分を、学校の「当たり前」で補っているという持論を基に展開。工藤氏の『学校の「当たり前」をやめた。』を適宜引用しながら、学校共同体の大切さや定期テストの意義、担任の権威性、近代的人間が備えるべき教養など、著者の現場での経験を踏まえて幅広く言及し、学校のあり方を考える。

感想・レビュー・書評

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  •  1年半くらい前に出て話題になった某書に対して、真っ向からもの申した1冊。なかなか読み応えがありました。

     最初に、学校教育の役割とは、ということで、著者の考えが整理されます。この論点が納得できないと、その後は読んでもよくわからない、ということになると思います。詳しくはフレーズに登録しておきましたが、「人間形成」と「人材養成」という筆者の造語で定義された、教育に対する根本的な考え方の違いを理解して読み進める必要があります。簡単に言えば、「人間形成」は、勉強以外に人格形成まで学校が担っているという立場で、この本では、現場がその立場ということになります。一方、「人材養成」は、子どもはすでに人格を保有しているため、自己の利益のために勉強するのであり、学校の役割は、その勉強を教えればいいという立場で、この本では、教育行政がその立場のようです。ちなみに、筆者は現場の代表であり、この本で反論されている某書の筆者は教育行政側の代表ということになります。

     さて、某書で「やめた」と書かれている「当たり前」には何があるのか。この本では、「服装頭髪指導を行わない」「宿題を出さない」「中間・期末テストの全廃」「固定担任制の廃止」を取り上げ、考察しています。やめたと言いつつ実際にはテストの回数は増えているとか、そもそも担任はクラスに固定しているから担任というのに、なぜあえて固定担任制というのかとか、そうした表面的なところから、そもそもその「当たり前」にどんな意味や価値があるのか、あるいは、「当たり前」をやめるために校長がどのようにそれを学校に持ち込んだのか、その手続きなどについても、某書を読み解きながら考察しつつ本書は展開していきます。

     面白かったのは、某書の筆者が掲げている「教育の原点」であるとか「最上位の目標」に対する反論です。私は某書も読みましたので、そのときは、某書の筆者があえて子どもや保護者にわかりやすい表現を使っているのかなととらえていましたが、本書では、教育の歴史的な経緯であるとか、最初にご紹介した「人間形成」と「人材養成」の整理で考察しています。特に、歴史的な部分は、私はよく知らない部分でしたので、興味深く読むことができました。

     某書を読んだ感想で、私は次のように書いています。
    「さて、この実践が、本当に未来からも評価される実践となっていくのでしょうか。それを確かめるには、もう少し長い目で見ていく必要があると思います。楽しみです。」
     教育というような、評価が難しいものを、いろいろな視点から論じることはとても大切です。某書のようなアプローチもあれば、本書のような考え方もあるわけです。私は現場の視点も教育行政の視点ももっているのですが、どちらの本も納得しながら読むことができました。ただ、この本の中にも、p.118「<出題範囲が事前に示されない>とわざわざ言い切っているところをみると、授業でやっていない内容と範囲も出題するというのが本意だろう。」というように、やや筆者の推測となっている部分もあるので、できれば、筆者と某書の筆者の直接対決、あるいは対談のようなものを聞いてみたいと思いました。逆に、今度は教育行政の立場から本書検証するような本がさらに出ると、盛り上がると思いますが、誰か出さないですかね。

    2020.9.29追記

    本の感想を送ったら、図書カードが当たりました。ラッキー

  • 工藤勇一氏が書いた、『学校の「当たり前」をやめた。』のアンサーブック。工藤氏の本を読み少なからず感銘を受けたので、しかし、本当にそんなにうまくいっているの?現場の先生の意見は?など気になる点もあり、諏訪氏の本も読むことに。

    真っ向対決。ガチで批判的。内容は、確かにそうかもしれないと思うこともあった。いい本を読んで、鵜呑みにするのは良くないという学びになったと思う。しかし、ここまでけちょんけちょんにする必要はあるのか。工藤氏の本に根拠がないというけれど、諏訪氏の方も根拠は示されていると思いません。現場経験の長さで自信があるのかもしれませんし、多くの先生と工藤氏の本について語り、批判的な意見に共感を得てきたのだろう。こんな意見もありますよーというスタンスならもっと受け入れられた気がするが、諏訪氏の口調?というか文調は、工藤氏へのリスペクトがない。現場経験があり、年長者として、当たり前にやってきたことにはこんなに意味があるんだよと語って欲しかった。そして、文章が難しくて、私にはわかりづらかった。しかし、じっくり読めば、工藤氏の言葉に対する解釈を、そういう考えもあるのかと思った部分もある。

    多くの人が対比して読めるようなわかりやすさなら良かったな。もちろん、私の理解力のなさもあると思いますので、あくまで個人的な意見です。

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著者プロフィール

1941年千葉県生まれ。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年に定年退職。「プロ教師の会」名誉会長。作家。著書に『オレ様化する子どもたち』『いじめ論の大罪』『尊敬されない教師』など。

「2020年 『学校の「当たり前」をやめてはいけない!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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