三角寛「サンカ小説」の誕生

著者 : 今井照容
  • 現代書館 (2011年9月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768456583

作品紹介

昭和に忘却された呪われた小説家!説教強盗・満洲事変・二・二六事件、東京朝日新聞のスクープ記者から『オール讀物』を支える流行作家へ。

三角寛「サンカ小説」の誕生の感想・レビュー・書評

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  • 「サンカ(山窩)小説」を創り出した三角寛が、時代の「寵児」となるまでの時代(大正末期から昭和10年頃まで、いわゆる「エロ・グロ・ナンセンス」から満州事変・二二六に至る時代)を、三角の「活動」と時代の「うねり」を撚り合わせるように描き出したノンフィクションである。

     筆者(今井)はもとより三角を評価していない。寧ろ胡乱で胡散臭いと見ている。三角は大正の末に東京朝日新聞の「記者」として「説教強盗」を追いかけ「スクープ」をものにするが、これを手始めとして「実話」風の書き方を身につける。しかしその「実話」の中には三角の「空想」(手身近にいえばでっち上げ)が多く、三角はこの手法で後に「実話読み物」を「サンカ小説」にまで「昇華」させていく。現代の週刊誌に毎号連載されている「実話」(例えば毎号真っ先に読む週刊新潮の「黒い報告書」など)は対象が「サンカ」でこそないが、「サンカ小説」の末裔といえ、いつの世でも「エロ・グロ・ナンセンス」は我々大衆に受け入れられているのである。

     朝日の記者時代の同僚に、戦後「天声人語」を書くことになる荒垣秀雄がいるが、今井は荒垣の「胡乱」や当時の新聞がいかに言論封殺に荷担していたかも厳しく指摘している。

     にもかかわらず、僕は三角が巣鴨プリズンしか見えない焼け跡の池袋に人生坐を作り、昭和23年その屋根に日の丸をへんぽんと翻した心意気を諒とするものである。人生坐や文芸坐は僕が高校・浪人・大学生の頃、2本立て、3本立て、オールナイトで映画の楽しみを安く教えてくれた貴重な映画館であり、今なお(経営は変わっても)志が受け継がれていることに感謝している。

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