- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768456910
作品紹介・あらすじ
「自由や、自由や、われ汝と死せん」と叫んだ自由民権家・苅宿仲衛の故郷、福島県の一角、福島原発から30km圏内の帰還困難区域・阿武隈村が「阿武隈共和国」としてついに独立宣言をした。「故郷の山河を棄てろと国が強要するなら、俺たちは国を棄ててもいい」が人々の想いだ。新宿西口、柱の傍に立ち毎週土曜日1時間、平和を守るための抗議のスタンディングをしている私は、その独立に立ち会うことになった…。
感想・レビュー・書評
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東北を舞台にした独立モノと言えば、何といっても井上ひさしの傑作『吉里吉里人』が筆頭に挙げられる。
この作品において吉里吉里人に独立を決意させる大きな要因は「お上からの理不尽な押しつけ」だが、この『阿武隈共和国独立宣言』も然り。作者の言いたいことはこの言葉に集約されると思う。
「故郷の山河を捨てろと国が強要するなら、故郷と国を天秤にかけて、俺たちは国を棄ててもいいとさえ思っております。棄てなければならないような土地にしてしまったのは誰なのだと叫び続けながら、何としても外地で、私は生きられる限り生き抜きたいと、決意しております。」(p.77)
この物語はタイトルが示すように、宣言をするまでの物語で、宣言するなり滅ぼされてしまうのだが、作者が書きたかったのは決して滅びの美学ではあるまい。
あの大震災以降の政府のバタバタぶりもそうだが、それそもそも原発を作ったのはそれ以前の政権だ。その、復帰した政権が何の反省もなく原発推進にまたぞろ舵を切ろうとしている。こんな恐ろしいことはない。
そんなことを思っていたら『吉里吉里人』を読み直したくなってきた。しかし、文庫本持ってないんだよな、単行本は通勤に持ち運んで読める厚さじゃないし…。
国家と個人との関係を問い直す、というのは3・11以降の僕たちが自覚的にすべきことではないかと思う。国の都合で人殺しに駆り出されるのだけは御免だ。憎くもない相手を憎むように教えられたり、神でもない人間を神と崇めるように強制されるのも。
なので、もうちょっとそういったテーマの小説を読み進める心算。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言論の自由の大切さ、被害者の力の弱さ・・・
秘密保護法が通ってしまったこの世の中で、これから何が起きてしまうのだろう。今、私も、本気にならないといけないと思った。 -
やや物足りなさもあるものの、コレは一つの詩ではないかとも思うのです。
シチュエーションから想像力をフル回転させて楽しむべし♪