異邦人のまなざし―在パリ社会心理学者の遊学記

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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768468548

感想・レビュー・書評

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  • 『社会心理学講義』(筑摩選書)の著者による自伝的半生。
    たいへんにおもしろかった。常識にとらわれず、矛盾をとことん突き詰めて思考することの大切さを教えられた。
    こんなにおもしろい本なのに、絶版のままになっていたので、公立図書館から借り出して読んだ。ぜひどこかの出版社で文庫化してほしいと思う。

  • まずは、著者が余計な過去の話をしないことに対して、やや驚きつつも好感を持った。どうであったからこうした、ではない。そういう語り口を採らないのは、原因帰属がいかに恣意的でさまざまな要因に振り回されるか知っているからだろうか。
    フランス事情についても印象に残った。フランスに興味を持ってフランスを勉強しようとしている人は、とりわけ高校の科目になっている専門分野であれば教授になりにくい(アグレガシオンが必要だから)。まあそりゃそうだ。
    しかし、かといって小坂井氏はただ日本の情報をフランスに流してその差分で暮らすということには満足しない。その意識は、教師という職業に関しても言える。彼はどうすれば自分は二流じゃなくなるのかと悩み続けるが、その度にある意味で足元をすくわれるという過程を経ているように思われる。暴力を糾弾するアメリカ人への冷ややかな目線は結局は自分に向けられたものであって、どこか遠くや高くを望むこと、正義を名乗ることで耳を塞いでいるということに気付かされているのかもしれない。でも、それは彼の素直な体当たりの姿勢だから分かることだ。
    結局、「手品師」というところに落ち着く。いかに意外性を持って美しく演出するか。
    あと、学者の生態というところも印象的だった。歳をとって能力の限界が何となくわかり情熱を失っていくことが多いとしても、研究職を目指していけるのか。その結果として学内政治だ向精神薬だという話が出てきた。小坂井氏はどうやってそこを乗り越えたんだっけな。

  • 非常に文章がうまい。
    いわゆる「美文」ではなく、かなり淡々とした筆致なのだけど、選ばれる言葉が実に的確。
    だからこれといった大きなエピソードでなくても、つい引き込まれて読んでしまう。
    すごいな。題材・文体ともに一流のエッセイストの文章のよう。

    これは「掘り出し物」でした。

  • 社会心理学者の小坂井敏晶さんの半生記。

    著者の「人が人を裁ということ」において、裁判制度に関する、日仏の基本的な思想の違いに基づく分析を読み、何かについて考察する際に異文化環境に関し精通していることも重要なことなんだな、という印象をもった。
    その際、著者のプロフィールを確認したところ、パリ社会科学高等研究院修了・パリ第八大学教授、というあまりなじみのないものだったため、本書を読んだ。(現在絶版のようであり、愛知県図書館の蔵書)

    名古屋出身の陸上ホッケーに憧れた青年が、どうして現在の小坂井氏になったのか。
    これまでのテーマ・著作に取り組んできた背景は何か。
    などについて、ざっくばらんに著されている。

    他の著書で、小坂井さんに興味を持った人は一読すべき、ではないか。

  • いかに「異邦人」としてあり続けるか、そしていかに「異邦人」として研究をするのか。

    帰国子女だとか、似たような状況を一度経た人は:「こんな話を本一冊使った話しても。。。」といった感覚を覚えても仕方ないくらい、著者は異文化であることに拘り、ひたすら熱っぽく語る。

    その一方で、経歴としては確かに面白いし、文系の研究者を目指すものとしては一読する価値があるのだろう。

  • 著者の生き様に心を打たれました。熱い一冊です。「学問」に興味のある人はぜひ。

  • だいぶおもしろい。

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