畿内三守護の一つで、池田氏の家臣から身を起こし、信長・秀吉・家康と使えた中川家。秀成が豊後岡城に入城したのが文禄三年。改易もなく十二代続く。飢饉一揆もあったが、農業林業・商業・鉱業に目を向け、小京都と称され、発展した。
第一章 中川氏と不落の名城岡城
第二章 藩政の基礎づくり
第三章 商高農低の産業
第四章 教育の充実と花開く文化
第五章 改革に一揆、そして幕末
著者はフリーライターで、お寺の住職でもあるという。
最初、あとがきを読んで衝撃を受けた。本書は「インターネット情報などから岡藩に関する情報をピックアップし、それをつなぎ合わせて、私用の岡藩教科書を編集すること」から作業を始めたそうである。
極めて今日的であり当たり前の事であるが、参考文献にも載らないであろうネット上情報はどのように取り扱うのだろうかと心配になった。(本書はもちろん公共機関の文献資料や郷土史家の研究書も参考にしているという)
岡藩史以前の中川家について、中川清秀が熱心なキリシタンであるとか、荒木村重配下から寝返り12万石を領したとか疑問な点が多い。(寡聞にして知らないが、西国の大名なので私が知らないだけかもしれない)
著者が忖度して記述している部分についても、歴史的事実に照らし合わせてどうなのかと思う点があるが、岡藩の物語を解り易く知る事が出来る。
岡藩や中川氏のことを知りたい人がとっかかりの本として読むには良いのではないか。