シティズンシップの政治学―国民・国家主義批判 (フェミニズム的転回叢書)

著者 :
  • 白澤社
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768479322

作品紹介・あらすじ

「国家」と「わたし」の関係はどうあるべきか。過去のシティズンシップ(「市民権」)論、主にリベラリズムの議論を批判的に再検討しながら、「平等で自由な人格」がよりよく尊重されるための新たな理念を構想する。いかなる者の視点をも排除しない可能性を秘めたフェミニズム・シティズンシップ論につづき、誰かに依存せざるを得ない存在であるわたしたちにとって不可欠の「ケア関係」に着目した章を増補。本書は、「シティズンシップ」論入門として最適であると同時に、社会科学の新局面をひらく挑戦の書である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いわゆるリベラリズム批判の書だけれど,リベラリズムについて勉強になる本.

    著者が言うにロールズを代表とする「リベラリズムが正義に適った社会を構想するさい要請する理念的な個人に,いかにしたらわたしたちは近づけるのか,何がそうした個人と〈なる〉ことが妨げているのか,どのような社会であればそうした個人を生み出し,非暴力的な形で諸個人が対話を媒介としながら自らの力で社会を新たに構想していけるのか,と論じることで,リベラリズムの理念へと回帰していくような構成になっている」.

    本書の構成はリベラリズムを基底とするシティズンシップ論の紹介,それを批判する各論者を紹介していくスタイル.紹介というとあれだが,シティズンシップという論点において整理し,まとめあげたことが本書における著者のお仕事ということになろうか.実際,学部生や一般人向けにも書かれているようだ.様々な議論を知ることができ勉強になる.

    増補版で追加された章(初出2007年)でケアの倫理に触れている.今後の研究の第一歩となる内容である旨述べられているが,それから5年で話題となった『フェミニズムの政治学』として形にしていると考えると凄まじい仕事ぶり(もっとも,同書の出版は元になった博士論文の提出から1年ほどかかったというので実質4年ほどか).

  • 地域主権、地方分権時代に不可欠な住民参加について、
    そのインセンティブや公徳心に興味があり、本書を取りました。

    ダイレクトなヒントはないものの、シティズンシップの成り立ちに
    ついて、アリストテレス時代における市民性と
    ロールズに代表されるリベラリズムからの
    市民性の違いを知ることができ、今後の
    研究の基礎を作ることができました。

    本書のダイナミズムはフェミニズム論と平仄を
    あわせて市民性を考慮している点であります。
    しかしながら、私には難しすぎた。再読必要ありです。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

おかの・やよ
同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授。
政治学、政治思想。
著書に
『法の政治学』(青土社)、
『シティズンシップの政治学』(白澤社)、
『フェミニズムの政治学』(みすず書房)、
『戦争に抗する――ケアの倫理と平和の構想』
(岩波書店)。
共著に『憲法のポリティカ
――哲学者と政治学者の対話』(白澤社)。
訳書に
アイリス・マリオン・ヤング
『正義への責任』(岩波書店)、
エヴァ・フェダー・キテイ
『ケアの倫理からはじめる正義論』(白澤社)など。

「2018年 『思想の廃墟から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡野八代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×