本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784769810858
感想・レビュー・書評
-
特攻隊について描かれたドキュメンタリー・ノベルです。現代の航空事故の話から、段々と特攻の話に目が向けられていきます。
これは特攻に関する三部作の最終巻で、数年前に一作目を読んだことがあります。事実に脚色を加えることなく(勿論、小説にはなっていますが)、それぞれの特攻兵、家族の過酷な運命が描かれているのですが作者の目はとても優しく、鎮魂の文として泣けます。
戦争そのものが悪であることは間違いありませんが、命をかけて大切な者を、国を守ろうとした若者たちの姿が忘れられていく現代において、小説という形で私達は何かを考えさせられるのではないでしょうか。
そして是非、あとがきも読んで頂きたい一作です。2003年に刊行された本作あとがきには、2001年のテロに起因する、憎悪と報復が繰り返される世界の様子が記されています(書かれたのは2002年)。
それから二年が経った今、世界のおかれている状況は悪化の一途をたどっています。これは悲しむべき事実です。
戦争そのものの善悪を問うのではなく、そこに存在した一人一人の姿に目を向けて欲しい作品です。
(2004年6月15日)詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示