陸軍の異端児 石原莞爾―東條英機と反目した鬼才の生涯

著者 :
  • 潮書房光人社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769815297

作品紹介・あらすじ

東條英機と反目した風雲児の生涯を描く!「王道楽土」「五族協和」の旗印を掲げて満蒙の曠野に理想郷を建設すべく満州事変を企画演出し、主役までも演じて新国家を誕生させながら理想と現実の乖離に苦悩し、失意の日々を送る世紀の風雲児の生涯。

感想・レビュー・書評

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  • 毀誉褒貶が半ばする人物ですが、この本は肯定的な視点で書かれています。

    彼は秀才だが、行動家でもあり、人情に厚く、是々非々で物事を捉えられる現実的思想家です。

    東条英機ではなく、石原が当時の日本のリーダーだったなら・・と詮無い夢想をしてしまいます。

    上官には絶対服従という鉄の規律の中、彼が連隊長になった当時に兵隊を宝として位置付け、意味のない私的制裁や虚礼などを極力廃し、本来最も必要な軍隊の統率を人間愛や尊厳というベクトルで編成し直しました。(p146)

    2・26事件の最中真崎甚三郎大将が戒厳司令部の行動に干渉がましいことを言ったとき、戒厳参謀であった石原の言葉が面白い。

    「そんなバカ大将が勝手な行動をとるから、こんなことになってしまったのです」
    「上官に対し、バカ大将とはなんだ。軍紀上許せない」
    「軍隊がこんあザマになって、なにが軍紀ですか」
    そしてこう続ける。
    「彼らの軽薄な研究と単純な知識から軍人としての本分を誤り、その上天皇の軍隊を勝手に私した行為に対してはいかなる理由があるにしても許すわけにはいかぬ。理非曲直はたださなければならない。純真な青年将校を扇動し、予想通りいったらそれに便乗してやろう、そうでなければ逃げ出そう、というような卑怯者に何ができるものか。・・」(P172)

    この反乱の、最高指導者であった真崎大将や将軍達は何ら罪に問われなかったという時点で、既に陸軍内部の腐敗堕落(派閥とこびへつらいの軍閥政治)は進行していたとみるべきでしょう。

    敵対する東条英機に関しては・・
    「皆は東條と私の間に意見の対立があるようにいうけれど、それはピント外れというものだ。なぜなら、私には多少なりとも意見があるけれど、東條には意見というものがない。それでは意見が対立しようにもできないだろう」(P200)

    終戦後、体の具合が悪く酒田で軍事裁判の証人として出廷したときも、自分を証人としてではなく戦犯として裁くべきだと持論をぶち上げる。

    新聞記者とのやりとりでも、マッカーサー軍政は大失敗だと発言し、その理由を3つあげる。

    敗戦国の精神を侮辱している、マッカーサー軍政は過去の日本がやった軍政と同じ侵略的統治をやっている、自主的な組織であった東亜連盟を解散させた。

    さらに、トルーマン大統領を落第生と呼び、彼こそが第一級戦犯だと米国通信記者に語る。

    日本の指導者だとふんぞり返っていた多くの戦犯たちが、それまで同胞に示していたあの傲慢な態度を忘れたかのようにアメリカ権力になびく卑屈さに比べ、表裏のない清々しさを感じます。

    本書とは関係ありませんが、戦争時には威勢のいい強硬派が主流になるという法則(腰抜、非国民、それでも男か、既に精神で負けている・・などという言葉に反論すれば、たちまち弱虫だとなじられる)が働き、当然やっても勝算の少ない無謀な戦争ですから犠牲者も増え、そうなると今度は弔い合戦だとばかり戦線拡大・背水の陣とばかりにさらなる犠牲者を量産するというパターンとなりがちです。

    こうした雰囲気やイケイケどんどん派に流されることなく、石原のように冷徹な視野と判断で国民と国益を守ること、それが最低限日本人が先の敗戦で学ぶべき遺産とすべきでしょう。

  • やや石原氏への賞賛が目立つものの、石原莞爾の思想・行動の一端が良く分かる内容であった。

  • どうも文体が気に入らず。合わない。浪曲調というか、勧善懲悪というか、読みやすいけど、いちいち単純な判断に無理矢理連れて行かれるような感じで、うげぇって思ってしまった。昔の人の書いた本という感じ。
    内容はそれなりに面白いので、残念だった。
    ただ、こういう人って、官僚的な組織の中ではうまくやっていけないだろうな、とも納得した。その傾向は今の日本ではますます強まっていると思う。

  • 尊敬する石原莞爾氏の人となりが感じれる本でした。石原莞爾氏の本はいくつか読みましたが文句なく一番です!!

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