- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784769820031
感想・レビュー・書評
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撃沈されるところから始まる珍しい戦記。
類書があまりないので面白く読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太平洋戦争中、敵潜水艦の魚雷攻撃により沈没した軍艦名取の生存者、27歳の先任将校以下195名の15日間に及ぶ戦いの記録。
帝国海軍士官っていう人たちがどんな人たちなのかっていうのがものすごく伝わってくる物語だった。気力、体力、機知、判断力に富み、あらゆることに気を配り、食料、真水、航海用具もなく海に放り出された195名を15日間統率する。並大抵の人物ではない。「スマートで、目先がきいて几帳面、負けじ魂これぞ船乗り」という言葉通りの男たち。
海軍兵学校の伝統や教育はもちろん、子ども時代の経験から漁師の知恵、祖母の教え、古代ミクロネシアの航海術まで総動員して陸地を目指す。
部下たちの言動に気を配り、部下との接し方、話題の提供、情報の出し方によって、士気と秩序を保っていく。
20代の若者がここまで出来るというのが、同じ20代の自分には信じられない。
自分の、リーダーシップに関する座右の書です。 -
船を沈められてからカッター三隻で三百マイル離れたフィリピンを目指す海軍軍人195人の実話。
著者は次席将校で、指揮を執った先任将校やその他の軍人、航法やら何やらを書いてておもしろい。
有事の際の指揮とはいかにあるべきかとか、そういった面で学ぶところ大な本です。 -
4769820038 329p 1993・1・10 ?
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・フィリピン沖で沈没した戦艦名取の乗組員200名弱が、3艘の短艇で300マイル先のフィリピン海岸まで2週間かけてたどり着いた。
・絶望的な状況の中、青年将校の見せる統率力は美いと思えるほど。今の社会にこんな力のある20代がいるだろうか。
・今の幹部自衛官達も、当時の将校のような自覚と責任、統率力を持っているのかなぁ。当時は将校に対して世間も完璧に理解をしていただろうけど、今は自衛官に対してそうじゃないよね。そう考えると同じものを求めるのは酷なのかも。
・短艇上で航海士が見せる知識は素晴らしい。漂流する時の備えが少し出来たよ。
・数名の士官で200人近い兵卒を相手に、良く反乱が起きなかったもんだ。統率力と信頼が完璧にバランスした一例。
・しかし良くたどり着いたな。2週間漕ぎっぱなしですよ。乾パン1日2枚ですよ。
・著者の連想も楽しい。ポリネシア民族を思ってみたり、故郷の山や川を思ってみたり。このあたりの愉快と思える位の柔軟性は凄い。
・天文航海法に興味を持った。かなりの事が天体と地球の相対運動で割り出せるんだな。 -
フィリピン沖で沈没した軽巡洋艦「名取」の生残りの200数十名が、短艇でフィリピンの陸地まで自力でたどり着くまで、様々な困難を乗り越えて行く話し。極限状態の漂流生活の中、軍人としての規律や統制の取れた行動を維持しつつ、兵員の中で各々の得意分野を活かした生活風景など、とても読んでいて普段の生活にも役立てられる内容がいっぱいの一冊でした。
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