憲兵物語―ある憲兵の見た昭和の戦争 (光人社NF文庫)

  • 光人社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769823988

感想・レビュー・書評

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  • この本は陸軍憲兵森本賢吉の生き様をよく書いていると思います。
    マクロな視点のことはほとんど「分からない」として書かれていませんがミクロな視点のことは細かいところまでよく書かれていて、北支で終戦まで過ごした人なので北支の対ゲリラ戦というか北支の治安戦の様子を勉強するには必携といえます。
    何にせよ我々が普段思っている「憲兵」という概念を覆すこと請け合いなのでオススメします。

  • 2003年(底本1997年)刊。アジア太平洋15年戦争期、中国北部(天津近辺)で憲兵職にあった森本賢吉の日誌・供述録取で構築された体験録。外地なので軍隊警察と諜報担当の両面が混在。◆彼の立ち位置が判るのは、①銃剣で強制された従軍慰安婦はおらず(が、軍とつるんだ女衒群が、騙しに近い手法で軍関係者相手のセックスワーカーを、日朝両国人問わずに集めた点は承認)、②占領地での強姦が誰彼となく所構わず行われたわけではないが、近隣から拉致した女性を輪姦した事例は多数。特に分隊長の程度が低い部隊に多数の例、という点。
    ◆特に慨嘆するのが日本軍の軍紀の低下。単に中国人に対する関係ではなく、①娑婆の上司に有益な軍機の漏洩。②物資横領。③指揮能力や敢闘精神を欠く上官・部隊構成員。中共ゲリラ戦に翻弄。④中共の浸透という現実の報告を握りつぶす上司。中共浸透が組織長の点数に響くため。⑤徴発責任者たる軍経済参謀や占領地行政の責任者たる特務機関と、中国人上層部・商人との癒着が顕著。等を開陳。◆日中戦争の泥沼化は、線と点の占領に過ぎないからとされるが、その点すら城邑しか把握できず、かつ、実戦時に城邑外の一般中国人を保護・保全できず。
    国民党軍・八路軍・日本軍に翻弄された民衆は、自分を守ってくれる部隊に尻尾を振るのは当然で、守ってくれない日本軍には面従腹背。日本の戦国時代につき、藤木久志氏が提唱する城の機能を彷彿させる逸話。◆中国人の反感を特に買ったのは物資の徴発。これを実力で取戻→日本軍に殺される→中国人の恨み→反撃で日本軍人が死傷→日本軍の恨み。この連鎖だという。この占領地支配・植民地支配のノウハウ欠如を指摘するが、一方、一部物資を民衆に流すことを黙認していた英人は反感を買わないという、身も蓋もない指摘も。
    ◆「慰安婦が居なかった」との主張をしたとしても、それと五十歩百歩の実例が、慰安婦を否定的に見る立場の、かつ実情を知りうる憲兵によって開陳されている点には注意。

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