彗星夜襲隊 新装版: 特攻拒否の異色集団 (光人社ノンフィクション文庫 404)

著者 :
  • 潮書房光人新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769824046

感想・レビュー・書評

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  •  戦中末期に於いて、特攻攻撃を拒否し、ひたすら正攻法に徹した芙蓉部隊について書かれた本。美濃部少佐の熱意とそれらにかける意志の強さはホンモノ。
     僅かな燃料と少ない時間の中で、夜戦に特化した部隊を作り上げるその手腕はすごい。本当に戦う為の部隊。整備員も搭乗員も全てが精一杯動いて作り上げる戦いは、アメリカに確かな痛みを与えていた。
     終戦間際の悲痛な決意に、胸打たれます。

  •  <A href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4769824041/houtouoperaha-22"><IMG src="http://www.h-opera.com/img/200506/2005061909.jpg" height="240" width="167"></A><BR>
     そんなわけで太平洋戦争末期、極一部の例外を除いて軍全体が「特攻しかあるまい」という考えで一色だった状況の中、「特攻なんかしなくとも、きっちり戦果を上げてみせる」と主張し、実際にやってみせて文句を挟めない状況にまで持っていった部隊のお話。<BR>
     稼働率が低くて使い物にならないと烙印を押され、各部隊で放置されていた「まともに動けば高性能機なんだけど……」を掻き集め、徹底した学習と訓練によって驚異的な稼働率を確保するんだから凄い。<BR>
     そしてこの部隊の司令は特攻を完全には否定していないというところも、注目に値する。特攻が非人道的だからとにかく駄目だというわけではなく、そもそも特攻よりも効率がいい戦い方があるんだからそっちをやればいいだけのことだ、という考えなのだ。この辺が感情だけで動いてない切れ味の鋭さを感じさせる。<BR>

  • 安直に特攻作戦ばかりする末期の戦局に対し、不断の努力で戦力化し夜襲にて沖縄戦を戦い抜いた芙蓉部隊の話です。末期の思考能力零な戦争指導に真っ向に反対し、きちんと成果を出し、奮戦した部隊の様子は対比的に印象に残る話でした

  • 戦争末期の日本海軍航空部隊で、安易な「特攻」に傾かず、ひたすら知恵と工夫で、沖縄航空戦を戦った美濃部正少佐率いる「芙蓉部隊」の戦史。周りが特攻の空気に呑まれる中、戦果を上げる事によって、その存在を示し続けた芙蓉部隊は指揮官の意志を部隊の末端まで浸透させ、貫徹する行動力と実践力で、歴史の中に光を放っています

  • 今夏、Yahoo!ニュースで特攻を拒否して戦った部隊が有った事をした。ミリオタの後輩がこの本を貸してくれた。
    日本人の民族性なのだろうか。
    同調圧力で、皆右習えでこうでなくてはいけないと決めつけ突っ走る。
    手段(この場合特攻=玉砕)が全てにおいて優先し、目的(勝利や戦局の打開や効率など)は無視や批難、或いは処罰の対象となる。
    現代社会においても何ら変わらないだろう。
    軍の最下層から虫けらのように命を使い捨てされる。坂の上の雲にも出ていたような二百三高地の幾多の無駄死にの死体の山も同様。そのミスリードを行った大本営のような人間が会社でも出世する。
    美濃部少佐のような人は現代でも叩かれる側だろう。
    現代は左遷程度だが、戦時中は命に関わる事だ。
    美濃部少佐の行動がいかに強い信念に基づいていたのかという事にただただ敬意を持って読了。

  • 総特攻と言われていた中で、唯一特攻反対を唱え、終戦まで正攻法で闘った芙蓉隊について。
    隊長の美濃部正少佐がカッコ良すぎる!

  • 「永遠の0」で参考文献に挙げられていたので購入。
    本書や大井篤「海上護衛戦」を読むと旧海軍上層部の愚かさがよくわかる。

    美濃部正少佐や彼のような男たちについて、もっと評価すべき思われ。

  • 日本唯一の軍事博物館、靖国神社付属の遊就館。ここに今も展示されている爆撃機「彗星」で最後まで夜襲戦法で戦った芙蓉部隊(芙蓉=富士山)の戦中記。この8月に読むのにふさわしいと思って、読んでみました。記録の列記になっている分読みにくさはありましたが、特攻だけが日本の戦い方ではない、その場その場で変わっていく戦局を見据えながら孤軍奮闘した部隊の戦い方は新鮮で、また自分は安全なところに身を置きながら特攻を指示した指揮官たちの姿が震災後の今の日本の姿とダブりました。そういう戦局でも、勝てる土俵を作り上げて戦った部隊がいた、ということに勇気をもらった一冊でした。

  • 評判はよかったものの、とても読みにくいと感じた。特攻に反対し、あくまで正攻法で戦った芙蓉部隊の戦記。記録としては面白いが、読み物的ではなかった。

  • 9784769824046  285p 2008・3・17 新装版

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著者プロフィール

昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる。主著に「回想の横空夜戦隊」(編者)「首都防衛三〇二空」「彗星夜襲隊」「空の技術」「異なる爆音」「戦雲の果てで」「航空戦士のこころ」「銀翼、南へ北へ」「太平洋戦争 日本の海軍機」「非情の操縦席」「敵機に照準」「倒す空、傷つく空」「兵器たる翼」「必死攻撃の残像」「海鷲戦闘機」「陸鷲戦闘機」「急降下!」「審査部戦闘隊」(潮書房光人新社)、「決戦の蒼空へ」「液冷戦闘機『飛燕』」(文藝春秋)、「日本海軍夜間邀撃戦」(大日本絵画)、「零戦戦史 進撃篇」(グリーンアロー出版)、「写真史三〇二空」(文林堂)、「写真集本土防空戦」(徳間書店)など。訳書に「ドイツ夜間防空戦」(潮書房光人新社)、「第二次大戦のドイツ夜間戦闘機エース」(大日本絵画)、「超・空の要塞B-29」(朝日ソノラマ)など。

「2020年 『局地戦闘機「雷電」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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