修羅の翼 零戦特攻隊員の真情 (光人社NF文庫)

著者 :
  • 潮書房光人社
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本棚登録 : 54
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784769825852

作品紹介・あらすじ

『直掩隊は爆装隊の楯となって、全弾身に受けて爆装隊を進めよ』あまりにも非情な命令のもと、直掩機のベテラン搭乗員が見た爆装機突入のその瞬間!笑って征くかのごとき特攻隊員がかいま見せる素顔と苦悩に心を痛めつつ、自らも爆装隊員となった零戦パイロットが克明に綴ったありのままの戦争!遺骨なき戦友に捧げる鎮魂の譜。

感想・レビュー・書評

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  • 元零戦の搭乗員だった角田さんによる回想。中国戦線からソロモン海、そして特攻隊の直掩をおこない、多くの死を見つめそして生き残ってきた人による当事者にしかかけないドキュメント。
    また戦後の生き方、とくに遺族をめぐる旅が印象にのこった。
    これだけの戦争をした人がいう「たとえ平和のためであっても戦はしてはならない。二度と遺族をつくってはいけない」という言葉に重みが出る。
    同じ言葉を違う人がいっても説得力がないが、経験からうまれる言葉はかくも強いものかと。

  • 筑波海軍航空隊記念館で進められた本。
    「永遠の0」の百田さんはこれを参考されたと言う。当時特殊な技能を持つ飛行機乗りの感性ゆたかなドキュメンタリーであった。一緒に角田さんと空を飛んでいるかのような錯覚に陥った。あまりにも非日常すぎる当時の南の空での体験は過去も未来も日本人が今後も経験する可能性は少ないであろう。まずそのパイロットとしての視野の広さが普通の戦記とは違う。そして自分の責任で死んでしまった方達やその事件に関しても臆する事無く描いてる様子は今の政治家や経営者や自分を含めた一般的日本人にはありえない。角田さんにはその辺全てを背負う覚悟があるし、そう言った小さな事は全て超越してるのだろう。そのすなおさゆえにそれ以外の文章全てに説得力が増している。どんな思いでこの本を書いているの想像するだけで切ない。書かずにはいられなかった事だけは理解できる。

  • 大空のサムライ→(ゼロ戦)→ゼロ戦撃墜王→(岩本徹三)→修羅の翼(本書)という流れで、読み終わった。

    本書に掲載された角田和男さんの写真を見ると、デビュー間もない頃の俳優勝新太郎さんに似ていると思います。

    巻頭に掲載された当時の写真の中でも、昭和19年5月の海軍記念日に撮影された集合写真は「戦争中か?」と思えるほど皆さん屈託の無い笑顔なだけに、約一年後の終戦にはこの中のうちの3名しか残らなかったというコメントが重く響きました。

  • 海軍搭乗員の戦い、生活、心情、そして特攻について知りたかったらこの一冊を読めば充分だと思う。
    角田さんが生き残ったのはこの一冊を書くため、同じ立場で死んでいった若者たちのことを後世に伝えるためとしか思えん。
    何度も読み返してしまう。
    愚痴も恨み言も美化もない気高い青春記。

  • 予科練、大陸、ラバウル…そして硫黄島、比島。
    どんどんと敗戦色が濃くなっていくのが文字の間からにじみ出る。もう立っていることすら、不安になるほど、目の前が崩れていくようだった。

    自分のミスで、かわいい部下たちが死んでいく。
    帰ってこない隊長たち。仲間たち、部下たち。
    髪の毛がぞわぞわと逆立つのが分かる。地団太を踏みたい、でもどうしようもない。

    特攻のあたりは…本を閉じてしばし目をつむらねばならないほどだった。読み進めていくのがつらく、しかし読まねばならないのだ。
    特攻の歌を歌って飛んでいった隊員、私にもその背中が見えた気がした。

    しかし、この攻撃は日本人だからこそ、の発想のような気がする。このような状況下――仕事していても会社では時折見られるが、その時にくだす決断や対応が、当時の軍に似ているのだ。何もこの国は変わっていない…。
    決して自爆テロとは違う。一緒ではない。皆「死にたくない」と思っていた。何かを憎んでもいなかった。信じてもいなかったかもしれない。でも戦況を見れば、特攻であっても直掩であっても「死ぬ」のだ。
    終いには、「死ぬことが成果」となっていた特攻。…今の世の中でも、そんな「姿勢」はごろごろしている。

    日本人が日本人である限り、また「特攻」は姿を現す。私はそう思ってため息をつくしかなかった。

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